アット・ニフティ シアターフォーラム
 第7回『ニッセイ・バックステージ賞』 【受賞者の業績・経歴】


岡田 文江 氏
(Fumie Okada) 演劇鑑賞団体の運営

 大阪生まれ。20才の頃「新劇」と出会い、虜となる。「新協」「新築地劇団」が発足して暫く後のことで、我が国が戦争準備に向かいはじめ、日常の不安な気持ちが「北東の風」や「遁走譜」の舞台展開によって癒される思いがしたためと振り返る。
 ところが、漸く戦時色が強まった昭和15年に劇団は解散、新劇活動が再開されたのは敗戦の翌年の昭和21年春であった。かっての感動を求めて劇場通いをはじめたが、戦後の新劇は必ずしも満足出来るものではなかった。「何かが違う」の感性が芝居にこだわり、日本最初の演劇鑑賞団体運動を手掛ける切っ掛けとなった。
 昭和24年、大阪労演(大阪勤労者演劇協会)を立ち上げる。それは、戦後急速に華ひらいた新劇が、混沌とした世情のなかで、急激に衰微してゆくのに心を傷めた多くの人たちが、公演を維持するには「一定数の観客、それも観続ける人たちが芝居を豊かにするだろう」との発想で「会員制の観客組織」をつくることであった。
 組織発足時から事務局長として50年余、芝居を愛する人たちも含めて多くの人たちの協力で活動を続ける。また、全国演劇鑑賞団体の中心的活動家として創立から参画し、いまの「全国演劇鑑賞団体連絡会」の基礎をつくることに大きく貢献した。その間、「よい観客がよい演劇を育てる」と訴え続けている。今後とも大衆団体としての演劇運動に関わりたいと語る。

大阪勤労者演劇協会・事務局長
日本新劇経営制作者協会賞、大阪府文化功労賞、大阪市文化功労賞、大阪文化賞 等受賞

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宮崎 隆男 氏
(Takao Miyazaki) ステージ・マネージャー

 東京生まれ。昭和21年、国会議事堂前のGHQチャペルセンターでのサロンオーケストラのステージ係を振り出しに、近衛管弦楽団、日本フィル、新日本フィル、サントリーホールを経て、紀尾井ホール設立の際にホール設計時から参画、現在同ホールのステージアドヴァイザー。また、水戸室内管弦楽団ステージ・マネージャー。
 ステージ・マネージャーの草分け・名人として50年以上の永きにわたり活躍、その間に手掛けたコンサートは6000回以上にのぼり、また今なお現役として多くのコンサートを支えている。
 本番前にセッティングした譜面の高さ、各プルトの椅子間の程よいピッチ、楽員の視力や好みにまで気を配る等々、指揮者や演奏家が安心して演奏に専念出来る腐心の配置は芸術的で職人芸の極致。時には鋭い眼光に姿勢を正され、またある時は、“マーチャン”の愛称で親しまれる人なつっこい笑顔に心を和まされることも多く、関係者から全幅の信頼を受けている。
 海外からの評価も高く、ウイーン・フィル、ベルリン・フィルなど世界一流のオーケストラの来日公演時にはステージングを依頼され、また水戸室内管弦楽団の海外公演でも小澤征爾氏に請われて同行している。
 雑用的イメージであったステージングを、ノウハウの要る誇り高い仕事として認識を改めさせ、職業として確立させたこと、また氏の薫陶を受け多くのステージ・マネージャーが育って来たことで、日本のホール・オーケストラの活動を裏から支えて来た貢献度は計り知れない。

今年10月下旬「マエストロ、時間です」〜サントリーホール・ステージマネージャー物語〜を刊行予定(ヤマハミュージックメディア発行)
日本芸能実演家団体協議会表彰状、日本指揮者協会感謝状、新日鐵音楽賞特別賞 等受賞

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垣ヶ原 美枝 氏
(Mie Kakigahara) 演劇の通訳

 東京生まれ。高校時代に米国へ留学し、外国語でのコミュニケーションの面白さに目覚める。教員になるつもりで、大学・大学院で英文学を専攻。ところが昭和45年に至り別の進路が見える。尊父の友人で日生劇場に在籍していた町田裕氏に、ロイヤル・シェイクスピア劇団の来日公演で通訳のアルバイトをしないかと誘われ、舞台裏で英語を使う仕事に出会う。日生劇場は、日本語の舞台用語を学ぶことからはじまる厳しくて楽しい訓練の場でもあったと振り返る。今日でも、観劇に訪れると、里帰りをしているような気持ちになるという。
 その後、来日した数多くの英米の劇団、舞踊団、オーケストラなどの通訳を経て、日本人の俳優を演出に来る演出家の通訳と演出のアシスタントが仕事の中心となる。通訳の仕事を通じて、裏で沢山の人が力を出し合っているのを目の当たりにし、舞台を創る喜びに携わることを知る。そして、文化の異なる演出家、プロデューサー、俳優、スタッフの間で、単に言葉を英語、日本語に訳すだけでなく、文化の知識や理解度、心理状態まで推し量りつつ、言葉を補い、アドバイスまでするのが演劇通訳の仕事である、と確信するに至る。
 通訳の仕事と共に多くの戯曲の翻訳の依頼を受け、外国の文化、とくに言語を理解する努力を重ねている。
 「アマデウス」、「マクベス」、音楽劇「ハムレット」、「レ・ミゼラブル」、「ペンテコスト」など、数え切れないほどの意義深い公演に携わり、人生がどれほど豊かになったことか計り知れないと語る。

第一回湯浅芳子賞、日本演劇興行協会賞 等受賞

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