シアターフォーラム    
シアターフォーラム 8人の女優が“華”と“毒”を競う。『8人の女たち』製作発表

 クリスマス・イヴ。雪に閉ざされた大邸宅で、一家の主人が何者かに背中を刺されて殺される。容疑者は主人の妻、妹、娘、義母、メイドなど、主人との間に何らかの関係をもつ8人の女たち。
 家族団攣の雰囲気から一転、お互いが疑心暗鬼に陥ってゆく。バービー人形と見まごうほどの美しくも豪華さ溢れる8人の女たちは、“華やかさ”の反面、そこからは想像もつかぬ“毒気”を帯びた内面を持つ。



 ダニエル・ダリュー、カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアールら、フランス大女優の夢の競演を果たした『8人の女たち』。2002年にフランスで公開されたこの映画は、ベルリン国際映画祭では8人全員に銀熊賞<最優秀芸術貢献賞>が授与されるという前代未聞の伝説的話題作となりました。

 そして2004年11月、その映画の元となったRobert thomas(ロベール・トマ)原作の戯曲『Huit Femmes(8人の女たち)』がテレビ東京開局40周年記念、アトリエ・ダンカンプロデュースとして東京・天王洲のアートスフィアで上演されることになり、その製作発表会見が稽古を始めて3日目という先日、都内の稽古場で行われました。


 今回の日本公演を演出するのは、俳優として、また演出家、翻訳家としても数々の実績を持つ江守徹氏。
 そして8人の女性キャストは、木の実ナナ、山本陽子、安寿ミラ、鞠谷友子、佐藤江梨子、ソニン、岡本麗、喜多道枝(加藤治子さん病気降板のため配役変更)という、ベテランから若手までの華やかな顔ぶれが揃いました。

 会見では最初に演出の江守さんが「女性だけの出演者の舞台の演出というのは、俳優になって41、2年になりますが初めての経験で、演出家冥利に尽きるというより怯えています。年齢も様々の個性的な女優陣で、意見もキツクて目を合わせるのも怖いのですが、立ち稽古になったら女優たちの演技を見つめなければならず、それが怖くもあり、楽しみでもあります。
 ロベール・トマは好きですし、舞台と映画とは違いますが、そこにある良さ、ファッショナブルさは心得えていますので楽しみにして欲しいですね。」とこのミステリー作品に掛ける意気込みを語りました。


 続いて出演者の挨拶に移り、一人づつが今回の作品に向けての抱負を込めてのコメントとなります。

木の実ナナ
木の実ナナ
山本陽子
山本陽子
安寿ミラ
安寿ミラ
毬谷友子
毬谷友子
佐藤江梨子
佐藤江梨子
ソニン
ソニン
岡本麗
岡本麗

木の実ナナさん「ミステリーは始めてで、犯人は誰だろうと言う面白さ、「誰が? 何が起きる?」という面白さがあるので、必死になって今までに無い経験に取り組んでいます。江守さんの演出は、一言言って直ぐダメが出るのが新鮮ですね。女8人が集まって、誰が犯人か・・・そこは見てのお楽しみですが、私はミステリアスに、妻でありながら、愛をお金を女を演じてみたいですね。女の戦いですから、普段は皆でうんと仲良くして、輝いて、皆で「良いもの創ったね。」って言えるように仲良くして欲しいです。」

山本陽子さん「マルセルの妹は一番最後に登場する人物で、私が登場するまでかなり時間があります。稽古をしていて、登場するまでの間に皆さんの声を聞いていると、本読みでも素晴らしくて、後から出て行くのが怖くてしょうがないです。得体の知れない女性というふうに皆が言っているので、何か雰囲気をもって出たいのですが、その辺がまだつかめていません。江守さんの演出は2度目ですが、役者のクセ、喋り方のクセをこれから稽古で変えてくださると思うので、江守さんの目をじっと見て直していただいて、お客様に、それぞれの役者がそれぞれの個性で素晴らしかったと言われるように、一生懸命取り組んでいきたいですね。」

安寿ミラさん「一度は御一緒したいと思っていた女優さんたちと一度に共演出来て光栄です。女優としての引出しがまだ少ないので、自分でも解らない新しい面を江守さんに引き出して貰えるのではないかと期待して、江守さんに付いて行きたいですね。私の役は一番攻撃的で取っ組み合いの場面も有るので、長丁場でもありますし、身体に気をつけて怪我をしないように、普段は明るく仲良く千穐楽までやって行きたいと思います。」

毬谷友子さん「映画ではエマニュエル・ペアールが演っていて、何も言わないでお盆を持って出てきただけで匂いが残って妖しいような謎の深いメイドで、殺人劇の第一目撃者の妖しい役です。
 八輪の大輪の花が勝手に咲いている感じで、稽古場に来ただけで、その匂いと毒気と美しさにやられてしまいそうですが、8人で力を合わせ、江守さんに助けていただいて頑張りたいです。」

佐藤江梨子さん「今回の役は木の実さんの娘で、ソニンさんの姉です。初日の台本読みしか出来ずに、一昨日はメガネドレッサー賞、昨日は万年筆賞をいただきまして、今日は『8人のおんなたち』。「佐藤さん忙しいですね」って言われるんですけれど、これは2年半〜3年前からいただいたお話で、その時から(プロデューサーの)池田さんを含めて沢山の方から「この役は佐藤さんなんだ」って言っていただいた役なんです。本当に台詞は長いしずっと出ずっぱりで大変な役なんですけれど、自分の中でこれは賞を頂いたのと同じくらい素敵な役ですから、本当に必死こいて頑張ろうと思います。沢山の個性派女優さんに囲まれて幸せです。頑張ります。」

ソニンさん「小さい舞台は一度経験したことが有るんですけれど、こんなに大きい舞台は初ということで、緊張も不安も有るんですが、一番周りに言われるのは、「大御所の女優さんばかりなので大変でしょ!」。結構沢山の人に言われるんですけれど、全然大変じゃないんですね。皆さん本当に優しくて、――こういうことを言ったらちょっと失礼かもしれないんですけれど――稽古場も楽しくて楽しくて、私は台本読みながら一人でくすくす笑っているんです。早く立ち稽古に行って、早く舞台で本番を迎えたいな、って思っているくらいで、ワクワクしてしょうがないです。
 唯一つ不安なのは、凄く長い台詞、一人でず〜っと喋っている台詞が有るんですけれど、それが覚えられるかどうかがちょっと不安なだけで、後は皆さんの台詞とかお芝居を聞いていて、本当に勉強になる部分も沢山ありますし、江守さんからの演出も「ああ、そうか」と思うところも沢山ありまして、本当に発見の毎日で楽しいです。絶対に舞台は面白くなると思います。お客様に楽しんで帰って貰えるような舞台に私も頑張って演りたいと思います。」

岡本麗さん「私は随分長いこと芝居をやってきましたが、出の5分前というのは怖くて怖くてしょうがないんです。誰かが先に舞台に出て暖めてくれて、お客様も馴染んでくださった頃に出るのはそうでもないんですけれど、頭で出て行くというのは物凄く怖いんです。ところが今回のこの台本と言うのは、先ずマミーが出て、でも何も言わず意味有り気に去っていくだけで、その後に私が出てきて、開口一番「シュゾンがイギリス留学から帰ってくる、それを出迎える」という一声を出すんですけれど、それがどこから声を出したら良いのか解らないような状態で、この不安は楽まで続くと思います。
 演出家としての江守さんとは初めてのお付き合いなのですが、本読みの段階で、――ご自身が役者をやってらっしゃいますので――凄く私たち役者には解りやすいダメだしをなさってくださるので、今後がとても楽しみです。サスペンスですので、映画を見た方も、脚本を昔読んだ方にも、結果が解っていても観ている過程のサスペンスをワクワク・ドキドキさせるのが私たちの仕事だと思いますので、それを江守さんにビシビシとダメ出しをしていただきながら、頑張っていきたいと思います。華はとっくに有る方たちでございますので、後は江守さんに宜しくお願いいたします。」


 8人の女優が、上品かつ豪華な大邸宅というワン・シチュエーションで繰り広げる犯人探しのミステリー劇。次第に彼女たちそれぞれの秘密が暴かれることにも繋がってゆく密室推理劇の中で、女性同士の強烈な個性のぶつかり合いが、ユーモアたっぷりに描かれます。

テレビ東京開局40周年記念 アトリエ・ダンカンプロデュース
 
『8人の女たち』

  原作  ロベール・トマ
  演出  江守 徹
  期間  2004年11月19日(金)〜12月12日(日)
  会場  アートスフィア
  料金  S席 10,000円  A席 8,000円

お問合せ  サンライズコーポレーション 03-5772-7399
チケット  アートスフィアチケットセンター 03-5460-9999(10:00〜18:00) 他


アトリエ・ダンカン サイト  
アートスフィア サイト  

(※ 当初、マミー役としてキャスティングされ、製作発表にも出席されていた加藤治子さんが、稽古中に体調を崩され、“不安定狭心症”と診断されて出演が不可能となりました。その代役として喜多道枝さんが出演し、公演は予定通り行われることが11月1日に発表されました。)


   

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