出演者は、プレイボーイの兄・アラン役に独特のコメディセンスで役者としても意欲的に活動するザ・コンボイの瀬下尚人、内気な弟・バディ役には、野沢那智の長男で俳優の野沢聡と、勝野洋とキャシー中島の長男、勝野洋輔のダブルキャスト。
さらに、アランの恋人・コニーに片岡仁左衛門の長女で元宝塚歌劇団男役の汐風幸、兄弟の母親役には初演に引き続いての沢田亜矢子、頑固な父親役に横内正など、多彩な実力派が揃いました。
製作発表会見の冒頭、初演に引続いて演出を担当する竹邑類さんは
「日本でも家族の崩壊とか、母親の本能が大丈夫か、という風潮になっていますが、これは1961年、40年以上前にニューヨークを舞台にして家族のあり方を描いた作品で、ニューヨークという街に日本がやっと追いついたのかと思っています。
この本を読むと、日本じゃないかと思うくらい日本人的で異常に頑固な父親と日本人的なとても優しい母親、そして愛はいいけれど結婚まではと思っている兄と、愛と自由に羽ばたきたいという弟、今の日本に欠けているような家族の愛情がとても色濃く描かれている珍しいサイモン作品ですが、彼の感性が詰まっていると感じられます。」と、作品の時代性と、今回改めて再演する事の意義を語ります。
続いて出演者からのご挨拶となり、兄・アランを演じる瀬下尚人さんは
「台本を読ませていただいて、非常に楽しい作品で、まず一番自分でポイントかなと思ったのが、この作品では設定として自分の両親を“パパ・ママ”と呼ばなくちゃいけないので、それがどんなものかなと思ったんですが、今日初めて(両親に)お会いして「もろ呼べるな」と思いました。私生活までカッコ良い方なので、このままパパになっていただきたいし、楽しい雰囲気で、――人数は少ないんですけれども、――一家の物語を楽しくやっていけたらいいな、と思っております。
登場人物が個々に面白い設定になっていて、無理に笑わせようと思わなくても作品自体の面白さで、そのまま演れば面白い舞台になると思っていますので、あとは我々の力で、オリジナリティのある青春物語の作品に出来たらいいなと思っております。」と意欲的なコメント。
また、弟・バディをWキャストで演じる野沢聡さんと、勝野洋輔さんは
「どきどきしていますが、内気な弟バディの役なので、今だったらいい芝居が出来るんじゃないかな、とちょっと思ったりしております。ここにいらっしゃる横内さんのお父さんと沢田さんのお母さんの家庭の中で、ギューッと閉じ込められているお坊ちゃんが、瀬下さんが演じるアラン兄さんの所に行ってどうなるのか、僕も楽しみです。科白が沢山あるので、噛まない様に頑張ります。」(野沢さん)
「凄い大先輩の方に囲まれて、本当に凄く緊張しています。この作品で家族の暖かさというのを自分なりに表現出来たら、――多分皆さんに影響されて凄い暖かいものが出来ると思うので――頑張ります。」(勝野さん)
と、こちらは少し緊張気味の様子。
そして兄弟の両親を演じる横内正さん、沢田亜矢子さんは
「自分の体験、家族というものの捕らえ方、それをどういう風に活かしていくかという事で僕なりに考えていますが、こういうパワー溢れる若い方に囲まれてお芝居を演るのは久しぶりなので、大変楽しみにしております。私は時代劇が多いので、久しぶりの翻訳劇という事で、新劇時代を思い出して、大いに皆さんのパワーに負けないように、頑張って大声を出して発散しようと思っています。」(横内さん)
「私はこれが2回目の出演になるのですが、さっき「パパ・ママと呼んで良いか」という話がありましたが、――呼ばせたくないわね、本当はね(笑)――理想の家庭に憧れるという意味では、ニューヨークでも日本でも、昔でも今でも同じ、そんなに変わらないという気がいたします。親が子供を思う気持ち、子供が親から羽ばたきたい、それは両親に対する裏切りではなくて、自らの幸せを求めるということで成長なんだよという子供からの問題提起、これは何年何十年経っても古今東西変わらない、ということがテーマだと思います。力いっぱい勤めさせていただきたいと思います。」(沢田さん)
と、ベテランらしくユーモアを交えて抱負を語ります。
さらに、「コニーは結婚が決まるのか決まらないのか。決めたいけれど決まらないような微妙な立場にありまして、その微妙な女心をはっきりと演じていけたらと思っております。そういう役どころは初めてなので、類先生がどう引き出してくださるか、出演者の皆さんがどう引き出してくださるか、皆さまに身を委ねて精一杯頑張りたいと思います。」と笑顔で語るのは、宝塚を退団して2年余り、さらなる飛躍を目指すアランの恋人コニー役の汐風幸さん。
アランの遊び仲間で女優志望のペギーを演じる本田祐子さんは
「ペギーは明るくてポジティブで、呑気に女優を目指している可愛い女性なので、可愛らしく演じられればいいなと思っております。この作品に参加させていただけることを大変光栄に思っております。」と久しぶりの舞台復帰に気合が入ります。
最後に「謎の女」と竹邑さんに紹介された渚みちよさんは
「謎の女ということで、謎ですので言えません。よろしくお願いします。」と取材陣を煙に巻くご挨拶。
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