“LOVE HANDLES”=「ラブハンドル」、ちょっと可愛い感じのする言葉ですが、実はこれアメリカの俗語で、お腹の周りについた贅肉のこと。
このラブハンドルがそろそろ気になりだした微妙な年代の恋愛を描いたコメディ『ラブハンドル』が2月4日に東京・渋谷のPARCO劇場で幕を開けました。
このビターテイストなコメディを創り出したのは、これまでも『ビューティフル・サンデイ』(2000年)、『ペーパーマリッジ』(2001年)、『今度は愛妻家』(2002年)、『お父さんの恋』(2005年)と、面白くも切ないロマンティック・コメディを生み出し、その温かい肌触りの舞台が観客の共感を得ている、中谷まゆみ(作)・板垣恭一(演出)の名コンビ。
TVドラマ「火消し屋小町」(NHK)「ウォーターボーイズ1、2」(CX)などのヒット作を手掛けた中谷と、三谷幸喜作『VAMP
SHOW』、飯島早苗作『パ・ド・ドゥ』、倉持裕作『SLEEPLESS』などで、登場人物の細やかな感情の機微を鮮やかに描き出して評価の高い板垣が創り出す作品は、登場人物の強さや弱さ、隠された一面などを、丁寧に、時には温かく、時には残酷なほど冷静に描き出しながら、一見シビアな題材を軽やかな会話でくるんで、「笑って泣ける」新感覚のコメディ誕生と高い評価を得てきました。
今回の出演は、バツ1で、一見ちゃらんぽらんだが根は善人、正義感溢れる独身弁護士に、「ネプチューン」の原田泰造。バラエティのみならず、俳優としてもそのキャラクターを活かした自然で柔軟な演技での活躍が光る原田さんにはまさにうってつけの役どころ。
その秘書で恋人、長すぎた春に終止符を打とうと結婚を焦る女性を体当たりで演じるのは、演技派として知られる富田靖子。舞台で等身大の女性を演じるのは、ほぼ初めてとのことで、その熱演には期待が掛かります。
弁護士の娘の“自称”恋人で、登場人物の中では唯一20代のガテン系な青年を演じるのは瀬川亮。「超星神グランセイザー」主演で子供たちのヒーローになり、NHK朝ドラ「ファイト」の品川太郎役で一躍お茶の間の人気者となった期待の新星です。
離婚騒動を巻き起こす弁護士の姉夫婦には、中谷・板垣コンビの第一作となった『ビューティフル・サンデイ』に主演した長野里美と小須田康人。中谷・板垣の劇世界を知り尽くした二人が、この舞台でもしっかりとその骨組みを支えます。
そして、一見イイ男風、実は片思いに悩んでいて、果ては弁護士の家に居ついてしまう妙な依頼人には、舞台出演が9年ぶりとなる石黒賢。さわやかで端正なルックスと、二枚目からコメディまでこなす演技力で、どんなキャラクターを作り出してくれるのかが楽しみです。
初日の前日に行われた公開舞台稽古を前にして報道陣とのインタビューに応じたのは、原田さん、富田さん、石黒さんのお三方。初日を前にしての心境を、それぞれ
石黒さん「舞台をやるのは9年ぶりなので非常に緊張してドキドキしていますが、早くやりたいという気持ちも有るのが本音で、複雑な感じです。」
原田さん「ホントに早くやりたいです。何か解らないけど、いい興奮状態でこのままパーンと行ってみたいな、というのが今の心情です。」
富田さん「早くやりたい気もするけれど、このままこの取材が永遠に続いて本番がもうちょっと先でもいいかな、と思うくらい緊張とドキドキ感でいっぱいかも知れません。」
と語ります。
今回の舞台では10年越しの恋人同士を演じる原田さんと富田さん。原田さんが「富田さんとは恋人をやらせて貰って、いい感じになっております。富田さんが僕に「結婚してくれ、結婚してくれ」と言って来て、僕は「イヤだイヤだ」と言う・・・」と言いかけると、「何かちょっと納得が行かないんですけれど・・・」と割り込む富田さん。原田さんが「そうですね」と納得して、周囲からも笑いが起こります。
一方、エプロン姿で会見に臨んだのは石黒さん。「これは、こちらの立花法律事務所でお手伝いしている時の正装です。主に掃除をやっています(笑)」とのことで、「似合ってますよ」の声に「ありがとうございます。結構気に入っているんですよ。普段の生活では着ていませんけれど。」と応えて、また笑いが弾けます。
また、夢のシーンでは出演者全員が学生服、セーラー服で登場するそうで、「これが皆似合っていて違和感が無いんですよね。不思議な光景です。観てください」と話す原田さん。
他にも冨田さんはパジャマ・看護婦・メイド服など数々の衣裳を着るため、衣裳替えが大変だそうですが、「凄くエロ可愛いという感じです。可愛さも有りながら色気も持っている、みたいで、とても似合っています。」という原田さんと石黒さんの言葉には、照れ笑いを浮かべます。
今回の弁護士役は原田さんをイメージして書かれているとかで、「本当に駄目な役なんですよね(笑)。「僕、こんなに駄目かな」と思いながら演じてみたら、すんなり役に入れたんですね(笑)、こんなものなのかな。」と苦笑いの原田さん。「役作りはやったことがないです。自然に自然に、そのままで演じています。」とのことですが、「前回(2005年『キスへのプレリュード』)と比べて、前回はセリフが多かったんですけれど、今回はもっと多くて毎日頭の仲が混乱していました。毎日セリフ覚えに一生懸命で、賢はいいな、といつも思っていました。」と、やはり苦労は有った様子。
「チームワークは良くて、自然にセリフあわせが始まったり、何となくイイ感じでした。」という出演者たち。
「ラブハンドル。凄く面白い舞台になっているので皆さん是非宜しかったら観に来てください。お願いします。」とメッセージを残して最後の舞台稽古へと向かって行きました。
ニヤッと笑いながらも、いつしか切なくなって身につまされ、最後には登場人物が愛しくなってくる新感覚の恋愛コメディ『ラブハンドル』
ラブハンドルが気になりだした方はもちろん、まだまだ自分には縁が無いと思っている方にも、きっと暖かい何かが心に残る。そんな舞台と言えそうです。
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