シアターフォーラム    
シアターフォーラム 全曲ユーミンソングで綴るミュージカル『カールフレンズ』

 1972年のデビュー以来、常に時代をリードするアーティストとして第一線を走り続けている“ユーミン”こと松任谷由実
 1フレーズの短い中にもドラマのような情景や心の機微が描かれているユーミンの歌の世界を生かし、30数曲の楽曲の歌詞を紡いで、2人の女性の10数年に渡る恋と友情の物語を綴る新しいスタイルのミュージカルが『ガールフレンズ』です。12月1日より東京・銀座の博品館劇場で上演されることになり、作・演出の馬場康夫氏をはじめ、出演者が揃っての制作発表会見が行われました。

会見風景
左より: 馬場康夫、堀内敬子、華原朋美、池田有希子、武部聡志

 馬場氏といえば、ホイチョイ・プロダクションズの代表として、ユーミンの曲を効果的に使った「私をスキーに連れてって」(1987)や「メッセンジャー」(1999)などの大ヒット映画を生み出した監督であり、またテレビ、ラジオ、出版など幅広いメディアでの流行仕掛け人として知られるヒットメーカー。

 その馬場氏が、今度はストーリーも登場人物も場面も全てユーミンソングの歌詞と音楽で表現し、出演者は一言もセリフを語らず歌だけで物語が進行するという今までにない新しいスタイルのミュージカルを完成。そして自身初のミュージカル演出に挑みます。

 出演者は、ナイーブで内向的な女性・真理子に、今年『赤毛のアン』『ザ・ビューティフル・ゲーム』と2本のミュージカルに出演し、目覚しい活躍を見せるアーティスト・華原朋美と、劇団四季を経て、近年では『レ・ミゼラブル』『GODSPELL』『ゴルフ・ザ・ミュージカル』などのミュージカルを始め、ストレートプレイ『12人の優しい日本人』、映画「THE 有頂天ホテル」など幅広く活躍の堀内敬子のWキャスト。
 そして、恋愛に積極的で外交的な裕子は、『ロッキー・ホラー・ショウ』『阿国』『LITTLE VOICE』『OUR HOUSE』など数々のミュージカルに出演し、またTV出演やヴォーカリストとしての活動も目覚しい池田有希子が演じます。


 会見では、今回の企画に至ったいきさつを「26年前にユーミンの「♪サーフ天国、スキー天国」を聴いて、その詞の内容や描かれている背景を考えているうちに「私をスキーに連れてって」の映画が出来ました。初めて聴いてから7年かかりました。それから26年掛けて、今度は歌詞だけを使って話を繋げて行くと言う、――ユーミンファンなら誰でも「この歌詞を繋げたら絶対一つのストーリーになるよな。」ということは考えると思うのですが、――ミュージカルを完成させました。今日素晴らしいキャストと音楽監督を迎えて、ここに座って居られる事は、これ以上ない喜びですし、ユーミンファンには申し訳ない思いですけれども、絶対に期待に背かない作品になると思いますのでよろしくお願い致します。」と熱く語る馬場氏。

 また今回の音楽監督を務める武部聡志氏は、1983年より松任谷由実コンサートツアーの音楽監督を担当している、まさに今回の企画にうってつけの人物。
 「楽曲にスポットを当て、その歌詞だけでストーリーを構築していくという、素晴らしいアイデアの画期的な作品で、良く出来るなあと驚きました。」と感心しつつも、実際の製作過程では色々と苦労も多かった様子。それでも「「こんな思いの歌を・・・」と曲を探して行くと、300数十曲在る中に見事に心情にハマる曲が見つかります。ただ、歌詞を基本に選んで行くので、それを音楽的にどう繋げて行くのかが、難しいところでもあり、楽しいところでもあります。」と、新しいエンターテイメント作品の誕生に向けて力が入ります。


 こうしたこれまでの経過を、この席上で初めて聞いた出演者たちはそれぞれに

華原朋美「『ガールフレンズ』では、女同士の恋の話や友情、強い気持ち、そう言うものを仲良く表現していけたらと思っております。これまでの私の歌の世界観とは違って、全ての曲に現実味があるというか、現実にある世界を歌っていると感じました。私の歌では未来とか夢を唄いつづけていたので、物凄く興味をもちましたし、現実味のある曲なので、楽しく出来ると思います。今回このような素晴らしい舞台に出演できることには凄く責任を感じます。一生懸命頑張って、ユーミンファンの皆さんに喜んでいただけるように、笑顔で楽しく演じたいと思います。」

堀内敬子「馬場さんのお話で26年にわたるプロジェクトだと伺って責任が重くのしかかっている感じがします。私はユーミンファンで、先日のコンサートも見に行ったのですが、凄くパワフルで感激して、命がけでやろうと心に誓いました。今回の舞台ではあまり知らない曲も使われていて、こんなに多くの楽曲があったのかと、改めてユーミンの凄さを感じています。ユーミンファンも沢山来て下さると思うので、本当に裏切れないと責任重大な気持ちで一杯です。」

池田有希子「この場に私が座っているのが正しいかどうか・・・、実はユーミンソングを知らずに育ってきて、話をいただいてから初めて聴いた曲が多いんです。でも新鮮でいて、どこか懐かしいし、歌詞がディティ―ルに入り込んでいるのに普遍的だったり、全ての歌に自分が感情移入出来る事に本当にびっくりしました。このポスターの可愛さにもやる気が起きて、今は演らせていただくことに凄く感謝しています。」

と、改めて今回の舞台の舞台に向けての決意を新たにした様子。
 と言っても決して堅苦しい雰囲気では無く、会見中でも華原さんを中心に笑いあったり、囁きあったりと、既に気心の知れた親しい友人同士のように見受けられます。

華原朋美
華原朋美 (真理子・Wキャスト)


堀内敬子
堀内敬子 (真理子・Wキャスト)

池田有希子
池田有希子 (裕子)

馬場康夫
馬場康夫 (作・演出)

武部聡志
武部聡志 (音楽監督)

そして、今回の音楽スーパーバイザーを務める松任谷正隆さんからは
 「このミュージカルは、馬場さんがいつから温めていたのか解りませんが、渾身のミュージカルだと思います。もう何度も何年間にも渡って打ち合わせをして、正直、3度くらい降りようと思いました(笑)。馬場さんには自分の確固たる世界観があって、作者が「それが違う」と言っても彼が「それは違う」と押し切るくらい独断と偏見でこのミュージカルを創っています(笑)。まだ揉めている所もありますが、最終的な仕上がりはどうなるかと期待しつつ、本番を観に行きたい思います。是非成功させてください。」と言う激励のビデオメッセージが届きます。

さらに、松任谷由実さんからも
 「この企画を初めて伺った時には、「私の歌だけで本当にストーリーが展開されるのかな?」と半信半疑でしたが、ディティ―ルにこだわることで、私自身にも思いも依らなかった歌の世界が繰り広げられたりするかな、という期待も持ちました。
 馬場さんと初めてお会いしてから20年くらい経ちますが、私の歌に対する思い入れが年々激しさを増すような気がします。本人を差し置いて「その解釈は間違っている」と叱られたりするんですね(笑)。だからつくづく歌というのは創り手のものではなく受け手のもので、馬場さんのように才能と情熱が凄くある人には、独自のユーミンワールドがあるのだな、と。それも含めて、凄くこのミュージカルを見せていただくのが楽しみです。
 武部さん、本当にご苦労さまです。感情の流れが曲の繋ぎ方にあらわれるので、物凄いエネルギーだと思いますが、きっと楽しいんじゃないかと思います。そして、キャストの皆さん、32曲も覚えるのは本当に大変だと思うのですが、私自身もその歌を創っている時点で本当に入り込んで楽しみながら、手塩に掛けて快感を持って生み出した歌たちなので、大変だったとしてもきっと楽しめると思います。もの凄いファンタジーなんだけれど、逆に実人生に役立つと言うか、「ユーミンの歌にこんなフレーズがあったな。」なんて後で振り返ったときに、思ってくださることが沢山有ると思いますので、時空を超えて協力し合って良いミュージカルにしているような感覚があります。
 馬場さん、情熱を持っていただいて有り難いなと思いますし、その吐きそうな程の情熱が(笑)この有り得ない企画、世界初くらいの勢いが、馬場さんの情熱で無し得ると思うので、よろしくお願いします。」と長いビデオメッセージが届いて、キャストを感激させます。


 このメッセージを聞いた馬場氏は、「お二人の話を聞くと、「どれだけ勝手な奴なんだ!」と言う感じですが、少なくとも、私は松任谷夫妻に「この曲の解釈は違うぞ」と言った覚えは無いんですが。」と苦笑いの体。 しかし「ユーミン世代のファンの代表としてこういう風に聴いてますよという話はしたことがあります。本当に何度も徹夜しましたが、こんなに創るのが楽しかった仕事は初めてですし、ユーミンファンならば誰でもそうだと思います。」と力の入ったコメントが続き、「ダンスシーンも凄くありますし、ダンスだけのナンバーもあります。出演者は出ずっぱりになると思います。」と舞台の完成に向けて、さらなる情熱を見せます。


まさにユーミンの歌でなければ実現できない、画期的なスタイルのミュージカル『ガールフレンズ』。全編に流れるユーミンの曲と共に、観る人の心にそれぞれに“あの頃”の情景がよみがえるステージが、この冬に幕を開けます。

 また、本公演では銀座の託児所「キッズ花花」(03-3549-0369)とのコラボレーションで、託児付きの特別観劇プランも設けられました。ご夫婦で、親しい仲間同士で、時にはお子さんを預けて、ゆっくりと“あの頃”に戻ってミュージカルを楽しむ冬の一日を作るのも、良いかも知れませんね。



ユーミンソング・ミュージカル
 『ガールフレンズ』

 作詞・作曲:松任谷由実  企画・原案:ホイチョイ・プロダクションズ
 作・演出:馬場康夫  音楽監督:武部聡志 
 音楽スーパーバイザー:松任谷正隆

日程  2006年12月1日(金)〜12月26日(火)   全30回公演
会場  博品館劇場
料金  8,400円 (全席指定・税込)
チケット  博品館1F TICKET PARK 03-3571-1003  ほかプレイガイド
お問合せ  博品館劇場  03-3571-1003

 


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