芸術座3・4月公演は、小樽運河の傍らに立つジャズ・クラブ「サーティーンズ・スクェア」の最後の二日間に、高校時代の悪友たちと、かつてのマドンナが再会するところから始まり、35年前の回想シーンを交えて描く『港町十三番地』。
劇中ではサックス奏者本多俊之を筆頭に舞台中央に5人編成のバンドが陣取り、その生演奏に乗せてジャズの名曲・美空ひばり・あしたのジョーまで飛び出す、賑やかでちょっぴりセンチメンタルな音楽劇です。
その製作発表会見が20日に行われ、主演の宮本信子さんが歌う「港町十三番地」、鈴木綜馬・尾藤イサオのお二人による「シング・シング・シング」などが、報道陣と集まった観客の前で披露されました。
宮本信子さん、鈴木綜馬さん、尾藤イサオさんは1950年生まれの同級生という設定。最初の場面では、18歳の高校生姿で登場するとのこと。
御自身が小樽生まれで、ひばりさんの歌が大好きだという宮本さんは「三年前から歌を歌い始めて、音楽劇を演ってみたかったんです。毎日、ナマのバンドが入る贅沢さに感動しています。きっと楽しい良い舞台になります。」と、既に初日が待ちきれない様子。
また劇中では、御自身が作詞、音楽監督で出演者でも有る本多さんが作曲した「いつか夢みて」というナンバーも歌われるとのことで、こちらも楽しみです。
一方、一年前に亡くなり、幽霊で登場して劇中ではピアノを弾き、歌も歌うという鈴木綜馬さんは「これまでミュージカル中心でしたので、お芝居の魅力を再発見し、刺激を受けています。家でピアノ弾きながら練習していると、ついホロッとしてしまいます」と、こちらも準備は万端と言ったところ。
また、高嶺ふぶきさんは、25歳で50歳の鈴木さんと結婚した押し掛け女房。しかし一年後に死別という役どころ。「今回は、歌も踊りも見ているだけで、新鮮で楽しく、役者として認められたみたいで嬉しいです。お芝居で頑張って、お客様に楽しんで貰いたい。」と楽しげに語ります。
芸術座始まって以来かも知れない、という生バンド入りの音楽劇。35年前・1968年といえば、川畑康成氏がノーベル文学賞を受賞し、霞ヶ関ビルが完成、そして三億円事件が起きた年。「あしたのジョー」「巨人の星」「アタックNo.1」などのスポ根漫画が流行った時代です。その頃に思い出の有る方も、御存知の無い方も、新春の芸術座に足を運ばれてはいかがでしょうか。
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