『屋根の上のヴァイオリン弾き』といえば、日本でも1967年の初演以来、森繁久弥さんの主演で再演を重ね、先日、松本幸四郎さんの『ラ・マンチャの男』が新記録を達成するまで、同一主演者ミュージカル上演回数の日本記録(900回)を保持していたヒット・ミュージカルです。
その後、主役のテヴィエは西田敏行さんに引き継がれ、1994年から2001年までさらに261回の上演を記録。上條恒彦さんが演じた7回を加え、これまでの上演回数は1168回にもなります。
そして来年4月、新たな演出、新たなキャストで新しい『屋根の上のヴァイオリン弾き』の幕が開きます。
今回、テヴィエ役に挑むのは市村正親さん。これまでにも数々のミュージカルで主役を演じてきた市村さんは、『モーツァルト!』に続いて二度目の父親役となります。そして、その妻ゴールデに夏木マリさん。それぞれに自分の恋を見つけていく娘たちには、香寿たつきさん(長女:ツァイテル)、知念里奈さん(次女:ホーデル)、笹本玲奈さん(三女:チャヴァ)が扮します。
記者会見で市村さんは、「森繁さん、西田さん、両方のテヴィエを観ていますが、自分なりに新しいテヴィエ、スピーディーなテヴィエを演じたい。追われていく民族のユダヤ人の話ですが、“追われていくから悲しい“のではなく、追われていてもなお強く生きていく人間を演じたい。世界中に悲しい現実がある中で、“可哀相な”ではなく、必死に生きる人間のエネルギー、ハードで強くメゲない、運命に耐えて生かざるを得ない、アナテフカの人の代表としてのテヴィエを演じたい。」と語り、新しいテヴィエ像の誕生を予感させます。
「翻訳・演出・衣裳・装置など全ての面において見直しを行います。作品の原点に立ち帰るため、新しく翻訳しなおす作業から始めています。」と語る演出の寺崎氏。現在、ブロードウェイでもデヴィット・ルボー氏の演出で上演の準備が進められているとのことで、新しい『屋根の上のヴァイオリン弾き』創造に、一段と力が入ります。
また、今回の上演は東京では「東京芸術劇場中ホール」と、今まで公演されていた帝国劇場の半分以下のキャパの劇場での上演。さらにその後、中日劇場(名古屋)を始めとして、札幌から佐賀まで、全国15都市での上演が予定されているということで、こちらも新たなスタイルと言えるでしょう。
果たして、どんな『屋根の上のヴァイオリン弾き』が誕生するのか、来年の4月まで、ミュージカルファンの注目を集めそうです。
この製作発表会見の模様と公演の詳細は、改めて動画を交えて特集としてお届けする予定にしております。どうぞ、楽しみにお待ち下さい。