女は907号室。
オーシャンフロントのデラックスツイン、シングルユース。
男の部屋はその真下、807号室。
スタンダードツイン、シングルユース。
女は誰もが名を知るシナリオライター。
そして男は、知る人ぞ知る、かつての有名脚本家……。
二月。沖縄。シーズンオフのリゾートホテル。
その一階、“サンセット・バー”で再開する二人。
3年前になくした恋を、
いまふたたび、紡ぎあうために……。
脚本の野沢尚氏による10年ぶりの舞台書き下ろし作品。そして役所広司さんが7年ぶりの舞台出演と話題の舞台、パルコ劇場30周年記念『ふたたびの恋』の舞台稽古が、6月30日に同劇場で行われました。
この公演、出演者は3人のみ。場所もホテルのバーと、ホテルのベランダの2箇所だけ。
バーテンダーの見守る中、二人が紡ぎ出すストーリーは、お互いの恋愛感にも重なる。プロとしてのプライドが噴出するストーリー作り。蘇る恋愛感情を探り合うかのような台詞選び。―どこまでの台詞が虚構で、どこからが現実なのか?―
舞台稽古に先立って行われた記者会見では、「下り坂の脚本家らしく」ということで、無精ヒゲを生やして登場した役所広司さん。意気込みを問われて「今は逃げたいような気分ですが、初日になればお客様が後押しして、盛り上げてくれるのを期待して頑張ります。」と、流石に7年ぶりの舞台出演に緊張が隠せない様子。役作りの苦労を聞かれて「一生懸命セリフを覚えました」と、3人で約3時間の公演だけに、台詞の量も半端ではないようで、「失敗しても演りなおしが出来ないから、舞台は怖い」と話します。
一方、相手役となる永作博美さんは、「キャラクターの幅が広くて、パワーの要る役柄ですが、テンションを落とさないように頑張ります。」と、初日に向けて着々といったところでしょうか。
バーテンダー役の國村隼さんは、劇中で登場する様々なカクテルをタイミングに合わせて出すために、色々と研究をしたそうで、「この芝居ではカクテルも主役。お客様が舞台を観終わった後、バーに行って飲みたくなるようなカクテルを仕上げたい。」とのこと。シェーカーを振る姿もカッコ良いと、役所さんのお墨つきです。
また、この脚本の原作となる小説「ふたたびの恋」は、文芸春秋社より発売中です。ちなみに、舞台で國村隼さんが演じているホテルのバーテンダーは小説には登場しないとのこと。一味ちがった舞台と小説、比べてみるのも面白いかもしれませんね。