シアターフォーラム    
シアターフォーラム 松本幸四郎 VS 杉浦直樹『実を申せば』舞台稽古

 歌舞伎俳優であり、ミュージカルや翻訳劇などでも活躍の松本幸四郎さんが、日本人の若手による新しい現代劇創造を目指して立ち上げたユニット「シアターナインス」(九代目・松本幸四郎丈に由来)。

 これまでに、『バイ・マイセルフ』(1997年:三谷幸喜作/山田和也演出)、『ヴェリズモ・オペラをどうぞ』(1998年:市川森一作/遠藤吉博演出)、『マトリョーシカ』(1999年:三谷幸喜作・演出)、『夏ホテル』(2001年:岩松了作・演出)と話題作を成功させてきた「シアターナインス」が今回上演するのは、劇団M.O.P.を率いる他、最近では新国立劇場での演出や、NHK朝のテレビドラマ「まんてん」の執筆など多彩な活動を展開するマキノノゾミ氏の新作書き下ろし『実を申せば to tell the truth』。

 このシリーズでは、伝説の役者、謎めいたファッションデザイナー、マジシャンと演じてきた幸四郎さんの今回の役どころは詐欺師。その軽妙さと押しの強さで周囲を煙に巻きながら、自分のペースで物事を進めていきます。
 共演は、昔の詐欺師コンビであり対照的に重厚な紳士に、幸四郎さんとは初共演となる杉浦直樹さん。杉浦さんの娘役に水野真紀さん。そして、騒動に巻き込まれる「劇団・東京マヨネーズ」の団員に松本紀保さん、木下政治さんと顔ぶれが揃いました。


 幕が開くと、そこは9月のある日、武蔵野の面影が残る雑木林に囲まれて建つ、昭和30年代築の木造家屋・秋山家。
 このやや時代がかった洋館の、広々としたリビングから話は始まります。
 この家の主サネトモ(杉浦直樹)は妻を病気で亡くして以来、パジャマも脱がずに家で半分ひきこもりの生活。そんなある日、娘・奈緒子(水野真紀)が「街で偶然出会った」と秋山の旧友・風太郎(松本幸四郎)を連れてきます。
 サネトモと風太郎の間には何やら遺恨があるようですが、風太郎の舌先三寸に周囲はどんどん巻き込まれて行き・・・。


 最後の通し稽古を前に開かれた記者会見で、「毎回、良いキャスト・スタッフに集まっていただき、7年間で5作品を送り出せたのが嬉しい。続けてきて良かった。」と、これまでの活動を振り返る幸四郎さん。今回の公演については「今まではどちらかというと若い方と創ってきたので、ベテランの杉浦さんが参加してくださって、稽古で毎日発見があって幸せでした。明日が初日でワクワクしています。」と、新しい挑戦を楽しんでいる様子です。

 幸四郎さんと初共演となる杉浦さんは「騙し騙されと言いますが、どこまでが本当でどこまでが嘘なのか定かでないお芝居で、自分で自分を騙している気分。」と、意味深なコメント。作・演出のマキノノゾミさんは「今まで稽古をして、詐欺師集団としてお客さまを騙しきることが出来るかドキドキしています。きっと楽しい夢をみていただけます。」と語るなど、どうやらストーリーには色々と仕掛けが施されているようです。

 今回の見所を尋ねられて、水野さんが「全編が見所ですが、見逃せないポイントが2幕の頭にあります。何が、とは言えませんが・・・」と言葉を濁すと、幸四郎さんも「見所は2幕の最初の劇中劇。「阿修羅城の瞳」「染五郎」「杉浦さんがサボテン」これだけしか言えない。」と謎めかして答えるなど、既に騙しが始まっているよう。

 最後にコメントとして
 「一流の役者は一流の詐欺師でなければ。2時間ちょっとの間、お客さまに夢を見ていただくために頑張ります。」(幸四郎さん)「お客さまとの共同作業で舞台は完成するので、今年の夏は淋しい夏でしたが、暑気払いのつもりで観に来て多いに笑っていただきたい。」(杉浦さん)「観終わった後、隣の人と確認し合いたくなり、もう一度観たくなります。細かい綿密な計算をしているので、2回観ると解るし楽しんでいただけます。」(水野さん)「一言一句聞き逃さず、見逃さず観てください。見逃すとついてこれなくなります。」(松本紀保さん) と語る出演者の方々。

 果たしてどんな展開がPARCO劇場で観客を待ち構えているのでしょうか。

 

 公演は8月30日(土)〜9月26日(金)、
  東京・渋谷のPARCO劇場にて
 お問合せは パルコ劇場 03-3477-5858 まで

 【パルコ劇場サイト













左より:マキノノゾミ、水野真紀、杉浦直樹、松本幸四郎、松本紀保、木下政治


    

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