1964年の初演以来これまで1168回の上演を数え、多くの観客に支持され続けてきたミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』。そして2004年、主演のテヴィエに市村正親を迎え、新たな演出・キャストで上演が行われます。既に2月から稽古は始まっていますが、関係者が一堂に会しての顔寄せが3月11日に都内の稽古場で行われました。
全員の紹介の後に行われた会見で、市村さんは「上演時間から内容から、本当に新しい『屋根の上のヴァイオリン弾き』を創って、新たな歴史を作りたいと思っています。」と力強いコメント。そんな市村さんに、一新されたテヴィエ一家の面々も「市村さんに付いていきます。」(夏木マリさん)「私は夏木さんに付いていきます。」(知念里奈さん)「パパ、ママに付いていきます。」(香寿たつきさん)「私は全員に付いていきます。」(笹本玲奈さん)と、既に家族の絆が固まっている様子。
過去、森繁久弥さん、西田敏行さんが演じたテヴィエ役ですが「僕が一番ミュージカルの本数も出ているし、期待度も高いと思うので、新たなキャラクターで新しいものを創ります。見所はスピード感。場面転換や、芝居の流れもポンポン行きます。」と過去には囚われない舞台創りを目指す市村さん。「今の世で会社からはリストラされ、娘からは阻害されるお父さんに、ポジティブに明るく前向きに頑張る父親像で頑張りましょうと言いたい。」と意欲を見せます。
そして、この物語の一つのポイントとなるのがテヴィエ一家の家族愛。市村さんが「稽古場に夏木さんがいると亭主になれます。徐々に稽古を重ねて、娘に翻弄されて行く父親の気持ちが、今までに無い経験ですけれど解かってきました。」と語れば、その妻・ゴールデ役の夏木さんも「しきたりを守りながらも、キャパシティが広くて頼れる、理想的な父親。」とテヴィエを評し、「ゴールデは、男を立てて、信仰心が厚くて良く働く肝っ玉お母さんで、自分には珍しい役です。昔の話ですけれど、今でも新鮮。今、見て欲しいドラマです。」と、自信の様子。
娘役の知念さん、香寿さん、笹本さんも「家族の愛、そして新しい家族を作るための愛。色んな形の愛があり、自分の家族への愛も再認識しました。色んな世代の方に観に来ていただいて、それを感じて欲しい。」と口を揃えます。
「前半では、色々なことに疲れて、重たいダラーッとした歩き方になるので、ファンの方は「市村も老けたな」と思われるかも知れませんね。」と役作りの一端を明かした市村さん。
21世紀の新しい『屋根の上のヴァイオリン弾き』は、新しいファミリーで観た人にパワーを与える、力強さを持った舞台となりそうです。