レナード・バーンスタインが、世界最高の風刺文学といわれるヴォルテールの作品を原作に書き上げたミュージカル『キャンディード』
2001年にオペラ歌手、ミュージカル俳優など、総勢50名のオーディションキャストと40名のオーケストラという非常に贅沢かつ大胆なプロダクションで、初の日本語上演を果たした宮本亜門が、2004年、タイトルロールのキャンディードにミュージカル三作目の出演となる中川晃教を配して、新たな歴史を刻むジャパニーズ・オリジナルヴァージョンでの上演に挑みます。
2004年4月26日に初日を開ける、その『キャンディード』稽古初日の顔合せが、3月10日、都内の稽古場で行われました。
まず、冒頭の挨拶で演出の宮本亜門氏は「初演は2001年、“9.11”の前で明るい21世紀・次の時代を期待して上演しましたが。その後、世界情勢が変わって、再び新たな『キャンディード』を上演する意味が出来たと思います。オペラ、ミュージカル、芝居、色々な方が入っていますが、全員が一緒になってお互いに学び合って一つの作品を一緒に創りましょう。素晴らしいチームにしましょう。」と出演者に呼びかけます。
続いて、今回指揮を担当する、デイヴィッド・チャールズ・アベル氏が「日本には過去二回来ていますが、仕事で来るのは初めてで嬉しいです。」と挨拶。さらに「アメリカでも『キャンディード』のチームは全員が同じ波長であると言っています。私は幸運なことにバーンスタイン氏と最後の10年間を共に過ごすことが出来ましたが、彼はオペラとミュージカルの真ん中に存在するものを創ろうとしていましたので、この皆が一同に集まっているところを見たら喜んだろうと思います。」と、今回のプロダクションに期待を寄せます。
また、主役のキャンディードを演じる中川晃教さんは、ちょっと緊張した面持ちながら「僕にとってこのキャンディードというのは想像もしていなかったくらい難しい役です。僕は音楽家としてこのキャンディードというレナード・バーンスタインが書いた音楽に挑むと同時に、ミュージカル、役者としてもこのキャンディードを精一杯演っていきたい。と思います。」と力強く抱負を述べました。
今回の上演ではジャパニーズ・オリジナルヴァージョンでの上演が認められたとの事で、「今の時代に合った観客を魅了することが出来る舞台にしたい、原作の訴えるテーマを織り込みながらも、基本的にはコメディです。」と語る亜門さん。
そして中川さんは「昨日、本屋へヴォルテールの原作を買いに行ったんですが、有りませんでした。」と告白。初めて会った時の亜門さんの印象を「亜門さんと話してトキメクものがありました。作品を一緒に創っていく気持ちが大切に僕の中にあって、それを初めて会って語った時に目がきらきらしていて素敵な方だと思いました。」と信頼を寄せている様子です。
そんな中川さんを亜門氏は「とにかく純真無垢・プレーンで居て欲しい。楽天主義を信じているキャンディードに中川君はぴったりで、本当に純真で汚れていない。色々なものを感じて、それを全部吸い込んで、舞台の上に存在してくれればいい。原作のヴォルテールの印象にあっていると思う。」と、自信のキャスティングの模様。
セット・衣裳などを含め、前回とは変わってオリジナルで創られる2004年の『キャンディード』。稽古初日から、自己紹介に笑いや突っ込みが起きるなど和気藹々の様子で、果たしてどのような舞台を創り上げてくれるのか、大いに期待したいところです。
なお、この稽古初日の模様は、近日中に動画にて掲載を予定しています。
どうぞ、楽しみにお待ち下さい。