シアターフォーラム    
シアターフォーラム 帝劇に集う美女絵巻。『細雪』舞台稽古

 東宝公演としては1966年の芸術座での初演以来、出演者、上演形態を変えつつも、これまで1071回の上演回数を記録している、文豪・谷崎潤一郎の不朽の名作『細雪』
 昨年の大阪・梅田コマ劇場(2月)、福岡・博多座(3月)、名古屋・中日劇場(11月)での上演に続いて、2004年6月3日より東京・帝国劇場で3年ぶりの上演が行われることとなり、その舞台稽古が公開されました。

 『細雪』は大阪・船場を舞台に、かつては豪商と鳴らした徳川時代から続く木綿問屋「蒔岡商店」の四姉妹の愛と人生を、日本の美しい四季を織り交ぜながら描いた物語。
 今回の公演では、格式ある本家の暖簾を守る長女・鶴子役の佐久間良子さん、芦屋に分家を構える社交性のある次女・幸子役の山本陽子さんのお二人が昨年の公演より続投。そして、姉妹の中で一番内気で、はにかみやの三女・雪子役に東宝公演には10年ぶりの出演となる紺野美沙子さんが初挑戦。家名に束縛されず、万事に積極的で自立を試みる現代的な四女・妙子役は、昨年の名古屋公演では三女・雪子にも挑戦した南野陽子さんが再び演じます。


 舞台稽古の後、舞台上で会見が行われましたが、今回が初参加の紺野さんは「ただ緊張しています。ラストの桜のシーンが印象的なので、このシーンに参加出来て『細雪』に参加出来た実感が湧きます。」とコメント。また舞台となる船場・芦屋の言葉には苦労されたそうで「家でも家事の合間にテープを聞いていました。」とのことでした。

 又、平成12年からこの作品に出演されている佐久間さんは「暗い世の中なので、日本の良き時代を描いたこの作品を観ていただいて、一時でも谷崎文学の世界を楽しんでいただけたらと思います。」とメッセージ。ご自身では「役に馴れてしまうことが怖いので、毎回新たな気持ちで挑戦しています。」と、ベテランらしい心構えを覗かせます。

 今回が5回目の出演となる山本さんと南野さんは「豪華な衣裳と、品のある芦屋の世界を演じる事が夢物語の様に楽しいです。」「日を重ねる毎に、本当の兄弟みたいに甘えさせて貰っています。」と語り、それぞれこの作品を楽しんでいる様子。


 また、先日行われた製作発表会見では、大きなカンザンザクラを背景に最終景を飾るお花見の晴れ着を着て登場した出演者たち。それぞれ

 「桜の美しい時期に『細雪』の舞台となる平安神宮の満開の桜を見てきましたた。最後のお花見のシーンで「どんな世の中になってもこの花だけは咲き続けるのやろな」という科白が有るのですが、今の暗い世の中にその気持ちを強くして、『細雪』の世界が身近に感じられました。」(佐久間良子さん)

 「次女は実際にもしっかり者が多いと聞いていますが、私も四人兄弟の二番目で、しっかり者だと思っています。上の人の生き方、下の人の生き方が日常生活の中で目に入って、纏めてあげなくてはならないというものを自然に背負って生活している立場なので、非常にオーバーラップしているところがありますね。品を無くさないよう心掛けて谷崎文学を演じたいです。」(山本陽子さん)

 「今回の舞台は私一人が初参加で緊張しています。伝統ある『細雪』の世界の一員になれたことを嬉しく思っていますし、皆さんに迷惑をかけないようにしたいです。また、ずっと前から雪子役を演っていたと言われるように、自然に皆様の中に溶け込んでいけたらいいなと思います。」(紺野美沙子さん)

 「『細雪』は私にとって特別な作品で、関西出身なので地名などに馴染みが深いんです。一昨年の帝劇公演から四女で、名古屋で三女を演って、一つの作品を違う角度から見ることができて、滅多に無いことで凄く勉強になって恵まれていると思いました。佐久間さん、山本さんには女優としての生き方、演技など色々なことを暖かく教えて戴き、紺野さんにはテレビで初の時代劇の時に優しくして貰いました。とにかく新たな気持ちで創りあげて楽しんでいきたいです。」(南野陽子さん)

と、この作品に対する思い、そして今回の公演に対する抱負を語っていました。


 谷崎文学の美しいたおやかで気品あふれる日本語の響き、そして豪華な出演者たちの纏う絢爛な衣裳の数々は全26点で5000万円だとか。目で耳で、そして心で楽しめる名作舞台は6月の27日まで、帝国劇場にて上演中です。
 そろそろ、うっとしい梅雨の季節となりますが、それを吹き飛ばす艶やかな世界を堪能しにお出かけになられてはいかがでしょうか。
















制作発表より
公演は 2004年6月3日(木)〜6月27日(日) 
東京・日比谷の帝国劇場にて

前売及び電話予約開始は 2004年4月24日(土)より
東宝テレザーブ(03-3201-7777)他
お問い合せは 帝国劇場 03-3213-7221

東宝サイト    


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