「耳なし方一」「雪女」など日本の古典や民話をもとに自身の想像を膨らませて書かれた作品集「怪談」。時代を超えて人々を魅了し続け、映画やドラマ、漫画、能、歌舞伎などに形を変えて多くの人々に親しまれています。
その作者である小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は1850年にギリシャに生まれ、仕事で訪れた日本に魅せられて日本人として生き、数々の書物を遺しました。
今年、2004年は八雲の没後100年に当たり、朗読会が開かれるなど改めて注目を集めていますが、極め付けとして、その生涯が日本のオリジナルミュージカル、しかもソロ・ミュージカルとして上演されることになり、10月20日に公開リハーサルが行われました。
今回、このソロ・ミュージカル『YAKUMO』を演じるのは、ミュージカル俳優の沢木順さん。
東宝ミュージカル『ファンタスティックス』日本初演で鮮烈なデビューを飾り、『オペラ座の怪人』や『美女と野獣』など劇団四季を代表する作品で主役や重要な役どころを演じ、退団後は、ミュージカルの他、コンサートやショー、ソロパフォーマンス、CD発売など多様な創作活動を続けています。
コメディからシリアスなものまで柔軟にこなせる高い演技力と卓越した歌唱力で人気を博している沢木さんが、今回は新しい分野であるソロミュージカルに初挑戦。
八雲の4歳からこの世を去るまでの生涯と、更には八雲に関わった30人を超える人物を、ソプラノからアルトまで幅広い声域を活かして1人で演じ分けます。
今回の舞台について、沢木さんは
「お客様に少しでも喜んでもらいたい。1人で演じることの難しさに直面して苦闘していますが、今持っている全ての力と誠意を持って尽くしたいと思っています。
今回ほど多くの人々に支えられていると思った事はありません。初日を迎えられる事に感謝あるのみです。」とコメント。
また、公演の見所については
「自分1人で30人近くの人々を演じるので、役者として多種多様な面を出せていると思います。その結果、いろいろな部分を観ていただけます。
どのシーンというのではなく、全編がクライマックスといえる作品です。最初から最後まで目を離さずに八雲の人生を追ってほしいです。」と自信を覗かせます。
沢木さんにしか実現不可能であっただろうこの画期的な試み。
小泉八雲の人生と彼を取り巻く人々を1人でどう演じるのか、現代に甦る小泉八雲の生涯に注目が集まりそうです。