シアターフォーラム    
シアターフォーラム 三谷幸喜×戸田恵子 『なにわバタフライ』製作発表会見

三谷幸喜
三谷幸喜

戸田恵子
戸田恵子

小竹満里
小竹満里

 人気劇作家、三谷幸喜氏の3年ぶりの新作であり、また初の“一人芝居”ということで発売前から大きな話題を呼んでいる舞台『なにわバタフライ』。

 浪花の伝説的名女優にして、日本が誇るコメディエンヌであるミヤコ蝶々さんをモチーフに書かれるというこの新作、これまではごく断片的な情報しか発表されていないために、「どんな芝居?」「現在の状況はどうなの?」と心配されていたファンの方も多いと思いますが、11月25日に製作発表会見が行われ、その概要などが明らかにされました。


 この日、出席したのは作・演出の三谷幸喜氏、出演者の戸田恵子さん、そして劇中で生演奏を行う小竹満里さんの三人。

 パルコプロデュースでは『ダァ!ダァ!ダァ!』(1993年)以来、15本目となる公演ですが、一般発売に先駆けて11月13日から19日まで行われたPARCO劇場サイトでのインターネット先行予約には10,000件を超える応募が有ったそうで、この舞台に関する関心の高さを伺わせます。
 また、上演は三部構成で休憩なしの90分〜100分程度を予定し、稽古は既に11月12日からスタートしているとのことでした。


 会見冒頭の挨拶で三谷氏は「しばらくTVの脚本を書いていたのですが、演劇が僕のバックボーンなので古巣に帰ってきた気持ちです。今までやった事の無い新しいジャンルに挑戦したくて一人芝居にしました。既に脚本は出来あがっていて、公演一ヶ月前に出来ているのも僕には画期的で、ニュー三谷幸喜誕生だと思います。」と述べて会場の笑いを誘います。
 既に稽古が始まって10日余りということで、その感触を聞かれ「一人芝居はやるもんじゃないなと思いました。静かな淡々とした稽古場は寂しいし、製作発表も寂しい。」とぼやきつつも、「出来上がりには、今までの一人芝居の概念を打ち破る楽しいコメディで、こんなに面白い、こんなに退屈しない、こんなにワクワクする一人芝居があったんだろうかと皆様に思っていただけるモノになる自信があります。」と一転して強気のコメントになる三谷さん。
 古本屋で見つけた本(ミヤコ蝶々さんの自伝)に触発されて今回の脚本を書かれたそうで、「泣けて笑える見事な人情コメディの人生だと思い、これはドラマにするしかないと思った。世界に誇れる人生ドラマを描きたい。」と前を見据えます。

 この新作に一人で挑む戸田恵子さんは「一人芝居は生まれて初めてで、全てが未知の世界で何を基準に物を考えて良いのか解らないんです。稽古場は静かだし。喋る量が多いので口と顎が疲れて、普段は何も話したくない毎日です。」と、まだ戸惑いがある様子ですが、「三谷さんに声を掛けて貰わなければ無かったチャンスで、この先も二度と無いと思うので、今までの一人芝居の概念を覆すように、楽しい素敵なお芝居に仕上がるように頑張って稽古したい。」とこちらも意欲を覗かせます。

 また、演奏者としてこの作品に参加する小竹真理さんは「打楽器で全てを編成して、BGMやSE(効果音)を全部生で演奏します。元々私はプレーヤーで作曲家ではないので、勉強しながらチャレンジしていますが、毎日稽古していると、どんどん面白くなっていると実感しています。皆さんに音楽も楽しんで貰いたいですね。」と笑顔を見せます。


 この二人について三谷氏は「僕は大学出たての頃から戸田さんの大ファンで、花束を買って、芝居が終わった後に面識もないのに打ち上げに出て渡したことがあります。女優に花を買って渡したのは戸田さんだけです。戸田さんは覚えていないようですが、その分私が覚えています。その戸田さんとがっぷり組んだ一人芝居が出来ることを夢のように思ってます。」
「小竹さんは『オケピ!』のパーカッション演奏者ですが、演奏する姿が美しくて格好良くて、打楽器の素晴らしさを感じて、皆さんにも見て欲しくて、今回、打楽器の力強さ暖かさがこの芝居の雰囲気に近いと思ってお願いしました。芝居をやりながら音楽、BGM、効果音、そして漫才の相手役の声をトーキングドラムで表現して貰っているので、そういうのも楽しんでもらえる見どころだと思います。」と、大きな信頼を置いている様子。

 そして「今回の舞台は、ミヤコ蝶々さんをモチーフにした喜劇女優の7歳からの半生記を描いたものですが、その名前は出てきません。また、登場人物は全部で10人ですが、戸田さんが演じ分ける訳ではなく、見えない人があたかも居るかのように会話が進んでいきます。

 舞台の設定は昭和50年代後半、とある劇場の楽屋で、一人の女優が芝居の公演を終えて、自分の半生を、彼女の自伝を口述筆記するために来ている記者に語ります。初舞台の日からステージパパとの話、恋の話、最初の結婚の話、劇団を作って全国を廻った話、2度目の旦那の話、徐々に喜劇女優としてステータスが上がる話など。
 そして50代で、これからの人生の後半、60過ぎて舞台を演っていくうえにあたって、何をどういうものをやれば良いか、どういうものに挑戦していこうか、どんな風に前向きに残された人生を生きていこうか・・・というところで、これからを予感させる形で幕を下ろします。

 装置は基本的には楽屋で、場面転換ではなく、そこに置いてあっても可笑しくない小道具を使っていきます。戸田さんもメイク・衣装を変えたりせずに7歳から50代までを演じるようにするのが現在の課題で、今スタッフと頭をひねっています。」と、この作品と演出について語ってくれました。


 また、科白は全て大阪弁であるため、戸田さんの要望に沿って、三谷氏が書いた脚本を俳優である生瀬勝久氏が細かく修正し、稽古場にも顔をだして方言指導をしているとのこと。単純に大阪弁にするだけではなく、そのニュアンス、感情、思いなどを含んでの言葉の選択ということで、三谷氏も「方言指導には演技力が必要だと思っていました。その点でも生瀬氏は適任、と言うか彼以外には考えられません。」と評価し、「理想は戸田さんが大阪の人間だったんだとお客様に思って貰えること。」とその成果に期待を寄せます。

 「今回の目標は、ミヤコ蝶々を知っている人には楽しんでもらいたいし、名前しか知らなかったり、全く知らない世代にも、こんな人がいたことを伝えたい。出来れば外国の人にも、こんな人生を歩んだ喜劇女優がいたことを伝えたい。世界に誇れるクォリティーを持った女の一生で、“ミヤコ蝶々”の名前を外しても通る、その歩んだ凄い人生を見ていただきたい。」と力の入る三谷さん。

 戸田さんとミヤコ蝶々さんとの共通点については「一見気風が良く見えて、裏側では女の情が有って、更にその奥には男らしい芯が通っている。カバーが三重に掛かっているイメージが二人に重なるので、戸田さんでこの芝居をやる必然性を感じているんです。」と語り、「一人芝居は始めてで想像がつかなかっのですが、会話や喧嘩のテンポある面白さは一人芝居でも変わらないし、――相手の科白が無いのが違いますが、――聞いて喋るので、稽古が終わると架空の出演者が居たような気がして不思議な感覚です。戸田さん以外の出演者はお客さまには見えないだけで、普通に創っていますし楽しいです。」と稽古での手応えを語ります。

 「女性の話を書くのは苦手でしたが、今回は蝶々さんの恋愛の歴史にビビッと来て、ある面、恋愛遍歴のドラマになっています。一人の女性として見た時に、複雑な感情を持った人だという事が引っ掛かって、初めての女性向けドラマになっていると思います。」と三谷さん。

 最後にはお二人で「初めての一人芝居で長丁場ですが、沢山の登場人物が見えたら良いなと思って稽古をしています。是非観に来てください」(戸田さん)
 「楽しい一人芝居、エンターテイメントとしての一人芝居が有ることを知っていただきたい。」(三谷さん)
 と締めくくり、『なにわバタフライ』の製作発表会見は終了となりました。



パルコ・プロデュース公演

 『なにわバタフライ NANIWA BUTTERFLY』
     演出/三谷幸喜
     出演/戸田恵子
     生演奏/小竹満里・山下由紀子

■東京公演
会場 
PARCO劇場
日時 
プレヴュー公演  2004年12月18日(土)〜12月20日(月)
本公演  2004年12月22日(水)〜2005年1月26日(水)
<12/21、12/28、1/1-3、1/11、1/18 は休演>
一般前売 
2004年12月 4日(日) 10:00〜  <電話・店頭>
料金 
プレヴュー公演 \7,500 / 
本公演 \8,000 <全席指定・税込>
お問合せ 
パルコ劇場 03-3477-5858

■大阪公演
会場 
シアター・ドラマシティ
日時 
2005年 2月 2日(水)〜 2月13日(日) <2/7(月)・休演>
一般前売 
2004年12月25日(土) 10:00〜
料金 
\8,000 <全席指定・税込>
お問合せ 
キョードー大阪 06-6233-8888

パルコ劇場サイト 
三谷幸喜公演サイト    
 


フォロミー 過去のニュース
次のニュース
当サイト掲載の情報・写真等の転載を禁じます。
Copyrigh(c) Theater forum 1999-2007 All Rights Reserved