最初に岡さんから挨拶の指名を受けたのは、ファンテーヌ役のシルビア・グラブさん。公演に掛ける意気込み・思い出を聞かれて「思い出は凄く有ります。実は私、初演の子役でコゼットのオーディションを受けていて、17年経ってやっとここに来たかということで、驚いています。逆にびっくりしてどうしたら良いか解らない状態なんですけれど・・・」と知られざるエピソードを明かします。さらに岡さんから「私のココを見てくださいというのは?」と聞かれて「私の肩幅を見てください、ですか(笑)」と答えると、すかさず岡さんから「ジャンバルジャンが抱く時に大変でしょうね、その肩幅が引っ掛かって。バリケードと同じくらいの肩幅ですよね。」と突っ込みが入り、場内は笑いに包まれます。
続いてのご挨拶は同じくファンテーヌ役の本田美奈子.さん。岡さんに「びっくりした、エポニーヌじゃなかったんだね」と聞かれ、「私もびっくりしました(笑)。ずっとエポニーヌでお世話になっていて、一つの作品で違う役をいただいたのは今回が初めてなんですね。そういう意味でも、また感じ方や考え方が全然違うと思いますし、とにかく一つの生命を大切に、コゼットのことを一生懸命愛して、コゼットのために舞台の上で生きていけたらと思っております。」と答えた後で、「真面目ですみません(笑)。後で突っ込まれると思って、最初に真面目にしておきました。」と笑います。
最近はクラシックのアルバムも売れ行き好調な本田さん。「前はアンジョルラスとエポニーヌで一緒に若者同士でキャッキャやっていたんですけれども、お互い大人になりましたね。頑張って行きましょう。」と岡さんもエールを送ります。
次にご挨拶に立ったのはコゼット役の知念里奈さん。「私は恥ずかしながら、この作品を初めて観たのが去年の夏の帝劇の公演なのですが、どうして今まで観ていなかったのだろうと過去を後悔するくらい心温まる素敵な作品でした。まさか自分が今回出させていただくとは思っていなかったので凄く吃驚しているのですが、コゼットの縦巻きロールが似合うかどうかだけが凄く心配です。一生懸命頑張りたいと思います。」と話しますが、岡さんから「この前迄は『ミス・サイゴン』のキム役を4ヶ月演って、本当に可憐な役だったのですが、舞台裏では可憐ではなく、イカした女でした、知念里奈。今度のコゼットも表は可憐に、裏はイカした感じで。」と言われて、岡さんを恨めしそうに見詰めます。
続いてはマリウス役の藤岡正明さんが「マリウスはどんな役ですか」との問いに、「知念さん以上に恥ずかしながら、僕は未だ『レ・ミゼラブル』を観た事がありません。」と衝撃の告白。「10月か9月かにコンサートは観させていただいたのですが、未だ本物の『レ・ミゼラブル』を観ていないので、その僕が説明するのも変な話ですが、革命を起こす青年の一人です。」と答えると、「知念さんが演じるコゼットと恋に落ちるんですが、隣に居てどうですか」と更に聞かれて、「いや、ドキドキしています。」と照れを見せます。会見のメンバーでは一番若い21歳ということで、そのフレッシュさ純真さがマリウスにどう生かされるのか楽しみです。
そしてテナルディエ役の佐藤正宏さん。いきなり「同じくマリウス役の佐藤正宏です。フレッシュさが売り物の、若い・・・。」と切り出して会場は笑いに包まれます。「私は気持ちとしては初めてなので、本当に小学一年生みたいな気持ちなんですけれども、でも実際の立場的には用務員さんのような感じもします(笑)。」と言うコメントも流石の佐藤さん。テナルディエに対しても「混乱の時代で、いわゆるその時代の善悪とは別の価値観を持った男で、もう生きるためには何でもやる。でも信念は強いものを持っている。エネルギーは沢山持っているという、そういう男だと思っています。」と述べますが、「何と言っても問題は歌だな、と思っています。歌が肝心ですから。」との言葉に、「これは全部歌ですから。」と突っ込まれて「歌は、楽曲としては素晴らしいです。私が歌わなければかも知れませんが。」とやや自信なさ気。しかし「でも歌っていてとても楽しいので、その歌をしっかりと歌えれば自ずとその役柄とかその感情とかはきっとついてくるんだろうな、と思います。空中を歩くような無理が必要だと思いますが、お客さまを楽しませると言う点では一緒だと思いますので、是非とも楽しみに帝劇に足をお運びください。」とのことで、こちらも楽しみと言えそうです。
ここからは、革命のリーダーで、最後は撃たれて死んでいくアンジョルラスを演じる4人のご挨拶。まず一番手は岸祐二さん。「この機会を与えていただいた皆さんにまず感謝したいです。3,4,5月はプリュジョンという、テナルディエの手下の強盗役のアンサンブルも兼ねて演りますので、アンサンブルから見てアンジョルラスをどういう風に支えて行けばいいか、アンジョルラスが学生の皆をどうやって引っ張って行ったらいいか、というのを両方考えながら演っていけると思います。役に深みを増せるといいな、と思って頑張って行きたいと思っています。」とその意気込みを語ります。
前回の『レ・ミゼラブル』、そして今年の『ミス・サイゴン』にも出演していたという岸さん。「帝国劇場ってどんな感じですか」と聞かれて「何か異空間という感じがしますね。今まで出ていた小さめの劇場とかはお客様との距離も近い感じがしますけれども、やっぱり帝国劇場は大きいし、そこで表現される物語もやっぱり大きいものが殆どなのですが、その割にお客様との距離が近く感じられるというか、空気で凄く作品が良くなっていくという不思議な劇場で、僕はとっても好きなので光栄に思っています。」と、お気に入りの様子。
アンジョルラスの二番手は小鈴まさ記さん。「僕は前回(2000年〜2001年)と前々回(1999年)、岡さんがアンジョルラスを演っている時にコンブフェールを演っていまして、来年はコンブフェールとアンジョルラスを演らせていただきます。同じ革命家で凄く近い位置に居る人間なので、コンブフェールの時は「どうアンジョルラスを蹴落としてやろうか。」と考えながら・・・(岡さん「そういうつもりで演ってらしたのですか(笑)」)。仲間ですけれどね、蹴落とすというと言葉が変なのですけれど、戦争とかそういう中で、それぞれ同じ方向に向かっているけれども、個人の考えとか、微妙な違いで争いが生まれたりするという部分で、ここ近年の戦争が有る中、カッコイイ役ではあるんですけれども、カッコイイだけではなくて、凄く土臭くて、血生臭く。来年演るこの時代での革命というものに、そういう今の時代を盛り込みたいというか、何かを伝えられたらと思いながら、来年はアンジョルラスを演らせていただきたいと思っております。」と、こちらも意欲満々のコメント。
三番手は前回から引き続いて同役を演じる坂元健児さん。「前回の帝劇での公演の時に、学生たちと一緒に芝居を演っていて、アンジョルラスを「次にこの作品をやる時は、絶対俺はアンジョルラスを演りたい」という目で見ている学生が物凄く多かったんです。岸さんもその中の一人で(笑)、とうとうアンジョルラスの座に上り詰めてきて、今回4人でこのアンジョルラスを演ることになりました・・・ちょっと話が纏まらなくなりましたけど、とにかく仲良くしてください(笑)。」と、4人の中では先輩格ながら、ちょっぴり弱気のコメント。そして「皆さん『レ・ミゼラブル』に出ている人たちって本当に身長が高い方ばっかりなんですよ。で僕だけちょっと低いので、前回の製作発表の時に「本番までに何とかしたいです」って言ったんですけれど・・・・すみません! 嘘付きました! 今回はそれはもうどうしようもない、という事に気が付きましたので、それを利用して庶民的なアンジョルラスを演じようと思います。」と、新しいアンジョルラス像の創造を宣言します。
最後は東山義久さん。「「まさか自分が」とか、「私が」と何人かの方が仰っていらしたのですけれど、僕ほど「まさか自分が!」というのが似合うのは、この中にもいらっしゃらないんじゃないか、と思っているんです。というのも僕は、隣にいるシルビア・グラブさんなどが歌っている中で踊っている方だったので、「何で今自分がここに居るのか?」という凄く不思議な気分です。」と語りますが、最近の歌・芝居での成長は誰もが認めるところ。「どんなしなやかなアンジョルラスになるのか、死ぬ時なんてそれはそれは綺麗なんじゃないか。」と岡さんに言われて、「そうですね、あそこだけは命を掛けて、必要以上に反ってみようかと思っています。」と答え、バリケードでの最期の姿はファンならずとも楽しみなところとなりそうです。
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