シアターフォーラム    
シアターフォーラム 森光子・東山紀之 出演『ツキコの月 そして、タンゴ』製作発表

 2005年秋、東京・帝国劇場と名古屋・中日劇場で公演が行われる新作『ツキコの月 そして、タンゴ』。
 森光子・東山紀之という協力コンビの出演となるこの舞台は、メディアミックスとして様々な分野でのコラボレーションが行われることでも話題となっていますが、8月10日に都内で行われた製作発表会見で、その全容が明らかにされました。

会見全景

 その“1” 音楽
 今回の舞台のテーマ曲「♪月夜のタンゴ」は作詞:竹内まりや、作曲:山下達郎の手になるもので、実はこの曲が全ての始まりとなっています。その曲が生まれた経緯などを含めて、お二人からの声のメッセージが製作発表会場に届けられました。

 「この度、テーマ音楽を担当させて戴く事となりました、山下達郎です。森光子さんは私にとりましては第2の母とも申すべき存在です。表現者として、また人として多くのご教授を賜りました森さんに少しでも恩返しが出来ます事をとても光栄に存じております。原作の伊集院さん、共演の東山さん、石田さん、古くからの仲良しが大勢いらっしゃいます。素敵な舞台を楽しみにお待ち申し上げております。」

 「今回の主題歌「♪月夜のタンゴ」の作詞を担当させて戴いた、竹内まりやです。この歌は今回のお芝居の企画が持ち上がってから書いた作品では無くて、もう今から7〜8年前に森さんとお食事をした時に森さんがふと仰った「私は『月』と『タンゴ』が大好きなんですよ」という言葉を聞いて、「じゃ、いつか私たちが「♪月夜のタンゴ」という曲でも創ってプレゼントしましょうか」と言った事がきっかけで、出来あがった曲なんですね。仕事とは全く関係の無い、極々私的な森さんへの歌の贈物だったということなんです。それから永い月日を経て、森さんの新しいお芝居の原作を伊集院さんが書かれることになり、そのテーマ曲として「♪月夜のタンゴ」が今回使われる運びと成った事をとても嬉しく感じると同時に、大好きな森さんのお芝居にこんな形で参加出来る事をとても光栄に思っております。キャストの皆様、そしてスタッフの皆様、素晴らしい舞台となる事を心よりお祈り申し上げます。竹内まりやでした。」

 作詞:竹内まりや、作曲:山下達郎によるテーマ曲「♪月夜のタンゴ」は、アルゼンチンタンゴの第一人者であるビクトル・ラバジェンが編曲を担当し、森光子さんが歌ってレコーディングが行われるとの事。
 森光子さんにとっては、995年11月の「♪カーテンコール」以来10年ぶりとなる歌のCDとして、『ツキコの月そして、タンゴ』の帝国劇場初日となる10月5日に、株式会社ジャニーズ・エンタテイメントから発売されることが決定しています。

 その“2”文学
 今回の舞台の原作となる小説「ツキコの月」は、現代文学のベストセラー作家、伊集院静氏が、森光子の演技と「♪月夜のタンゴ」から影響を受け、氏にとって初の舞台原作書き下ろしとして、「野性時代」(角川書店刊)で2005年4月号から現在まで連載中のもの。
 製作発表の席上、伊集院氏は今回の作品について、次の様に語りました。

伊集院静 「芝居の原作を書く、と言うか、それが芝居になると言う事で書くのは初めてでして、5年くらい前に森さんと山下達郎さん、竹内まりやさんなどと食事をする――東山さんもいらっしゃって――機会がありました。それで去年、「♪月夜のタンゴ」という曲をプロデューサーから聞かされて、「これで森さんでお芝居にならないかな」というのを聞かれまして、「それはならない事は無いんだろうけれども、それは本にして売れるのか?」と言うと、「いや、『放浪記』で1700回やっておられるから、君のヤツも1700回くらいやったらかなり原作料が入って来るんじゃないか」と言われて(会場笑)、「では、やろう」と(会場笑)。
 後で「そんなに出来るかな?」という事はちょっと考えたんですけれど、そんな形で始まりまして、『放浪記』を名古屋まで、――丁度名古屋で競輪が有ったので、――観に行きました。私は未だ両親が幸い元気にしておりますので、両親に観せるものが一つくらい有ってもいいんじゃないか、と思っています。「タンゴ」という事で、アルゼンチン、ブエノスアイレス、だったら移民という事で、――森さんが大正ロマンというのがお好きだと言われたので、――大正から昭和に掛けての時代背景にしよう、と言う事です。今日脚本家が来ていないのは多分私の原作のラストシーンが未だ出来ていないからだと思うんですけれども、私は出来ていなくても堂々と来ているんですけれども(場内笑)、ともかくお芝居の製作発表ですが、原作は「ツキコの月」と言うので、それも少し宣伝していただければありがたいな、と。お芝居はきっと上手く行きます。」

 伊集院静氏にとっても、3年半ぶりとなる長編小説「ツキコの月」は、2005年9月に単行本として角川書店より出版される予定です。

 その“3”演劇
 今年で女優生活70年目を迎えた森光子さんが、東山紀之さんと2年ぶり6回目の共演となる今回の舞台。共演者も石田純一野村昭子山本學中田喜子雛形あきこ馬渕英里何と、豪華なキャストが参集。また、脚本は堀越真、演出は栗山民也と、当代随一のスタッフが顔を揃えました。
 今回の公演では、初めて「姉と弟」を演じることになる森さんと東山さんですが、それぞれ次のようにご挨拶を行いました。

 森光子さん「『ツキコの月 そして、タンゴ』。伊集院静さんが初めて演劇の世界に手を染められるという、とても記念すべきそのお芝居に出して戴く幸せをとても感じております。実は去年、名古屋の中日劇場で『放浪記』をやっております時に、それを伊集院さんがご覧になって、そして芝居の方にちょっと興味を持ってくださったのが御縁だと思います。待ちに待った作品なんですけれど、いつもスタート台に上がる時は心許無くて、申し訳無いんですけれど徐々に助走をつけて自信を取り戻して行きたいと思います。それにはいつも助けてくださる皆さんがいらっしゃるし、初めてのキャスティングでやっとご一緒になれた方もいらっしゃるし、皆助け合って――今日はちょっと心細いんですけれど――皆助け合って宜しくお願いします。今、山下達郎さん・竹内まりやさんご夫妻のお声が聞けて、ちょっとホッとしました。音楽では私はタンゴが好きだったんですけれど、その前にお月様が好きで、未だに“お月様”と様を付けて呼んでいるんですけれど、それがこうしてお芝居になっていく。南米という日本人が移民をした土地、そこが舞台になって「野生時代」でずっと読ませていただいていました。素晴らしいお芝居にさせないと、と責任が重いです。沢山の方に観ていただけるようにご協力をお願いします。」

 東山紀之さん「本日は政治が混乱する中、沢山の方に来ていただいて、誠にありがたいです(場内笑)。森さんを中心に、――森派の決起集会では無いですけれど――頑張って行きたいと思っていますし、僕は森さんのお芝居が大好きで、伊集院先生の作品が大好きで、竹内まりやさん・山下達郎さんの曲が大好きで、そんな大好きな方達とご一緒させていただいて、本当にいい夢が見られそうですし、また僕が見た夢を、観ていただいた方にご自分の夢に繋げていただけたら、とても幸せに思います。」

森光子

森光子、伊集院静、石田純一
森光子、伊集院静(原作)、石田純一
馬渕英里何、中田喜子、山本學
馬渕英里何、中田喜子、山本學
野村昭子、雛形あきこ、栗山民也
野村昭子、雛形あきこ、栗山民也(演出)


 音楽・文学・演劇と、当代一流のアーティストによる最高のコラボレーションが実現した今回の公演。
 夜空の月がその姿を様々に変えるように、それぞれの角度から観る「ツキコの月」はどのように私たちの目に写るのか。この秋の出来あがりが多いに楽しみなところです。

 なお、今回の製作発表席上での出演者の方々のコメント、ならびに公演の詳細などは改めて掲載させていただきます。


帝国劇場10月特別公演
中日劇場11月特別公演
 『ツキコの月 そして、タンゴ』
    原作:伊集院静  脚本:堀越真  演出:栗山民也

【東京公演】
日程  2005年10月5日(水)〜10月30日(日)
会場  帝国劇場
料金  S席 12,000円 A席 7,500円 B席 3,500円 (全席指定)
前売  2005年8月20日(土) 前売開始
お問合せ  帝国劇場 03-3213-7221

【名古屋公演】
日程  2005年11月5日(土)〜11月30日(水)
会場  中日劇場
料金  A席 13,000円 B席 6,000円 (全席指定)
前売  2005年9月10日(土) 前売開始
お問合せ  中日劇場 052-263-7171


東宝サイト 

森光子さんと伊集院静氏

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