インタビュー
 蜷川幸雄氏−3

蜷川幸雄さんに聞く−3

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野田さんは自分の作品だから、稽古場でかなりセリフを足してったり引いてったりしているようなんですが、蜷川さんは今回、稽古場で何かなさいましたか?
【蜷川】 戯曲をいじるってことは原則としてもちろんしてませんし、野田さんの方から、どういうふうに変えたいとか、自分の方はこういうふうに変えると言うので、いいと思うのは取り入れて、嫌なのは嫌だと、元の方がいいと言ったりはしますが、僕の手で何かを改変するということはありません。
脚本はいいんですよね。とってもね。後は僕の責任。キャスティングを含めて、僕が悪きゃ悪いんで。俳優はだけどいいですよ、僕の方は(笑)。

これをやられると決まった時に、「大竹さんを是非」と言われたと聞いたのですが
【蜷川】 そうそうそう、そうなんだよ。(脚本を)読んでさあ、これ、大竹さんじゃないとできないなあって、こんな難しい役はね。で、(マネージャーの)北村さんに頼んで、大竹さんを出して欲しいとお願いしたんですね。でも、やっぱりそれだけのことはあって、やっぱりいいですよ、上手いなあ。

役者さんの上手さを感じられる要素というのはどこなんでしょう?
【蜷川】 言葉にね、言葉に実体がない、言ってみれば遊戯化された演技が野田さんの芝居には多いように思うんですね。でもそれに本当のその実体ってものを与える俳優たちがやったら野田さんの世界はどういうものになっていくのかと、そういうアプローチの仕方があっていいんじゃないか。野田さんはもちろん野田さんのやり方で、それは優れたものも沢山あるんですけども、違うやり方でも野田さんの世界が成立するんだということを、野田さんのために、野田さんの才能のためにオレは実証するんだって。まあ、悪口一見言ってんだけど、それは友情でね、彼の才能に対する尊敬はあるわけで、「ホラ、こういうやり方だって野田、あるだろう? そんな容易い友達ばっかり集めんな、おまえって(笑)。得手じゃない人も集めて世界を作らなきゃ」ってなことですかね(笑)。
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