年が改まっての公演初日と言うことで、開演前には劇場入口に特設されたステージで鏡開きが行われ、座長の小林幸子さんを始め、共演者の三浦浩一さん、伊藤つかささん、そして南かなこさんが登場。
　「皆様明けましておめでとうございます。新しい年を向かえて、お正月に小林幸子公演を行わせていただきます。一生懸命頑張って歌い演じさせていただきます。」というご挨拶の後、一ヶ月間の公演の成功を祈って「よいしょ！」の掛け声と共に勢い良く四斗樽を開くと、外の寒さをものとももせずに待ち構えた大勢のファンから「さっちゃん！」の声が飛び、小林さんも笑顔で応えます。

　公演の第一部となるお芝居は、2004年公演に引き続いての「お幸奮闘記シリーズ」第2弾、『代書屋お幸奮闘記 幸せとどけます』。まだまだ字の書けない人が多かった時代に、6年間の行儀見習いを終え、「代書屋」と書いて「こいぶみや」と読ませる代筆業を始めたお幸（小林幸子）。その恋文は評判となり、次々と恋の橋渡しを成功させて行きますが、再会した幼馴染で今は同心となっている内藤清一郎（三浦浩一）との仲は中々進まない内に、抜け荷の阿片を巡る陰謀に巻き込まれて行きます。
　「コマ劇場で24年間公演をやらせていただいていますが、今回初めてお芝居がハッピーエンドで終わるんですよ。嬉しくて仕方がない状態です。明るく楽しく綺麗に華麗に、そして華やかに派手にという舞台です。」という小林さんのコメント通り、涙あり、笑いあり、そして最後の幸せそうな笑顔まで、女優・小林幸子の魅力が満載の舞台です。

　共演は、相手役の三浦浩一さんの他、飛脚問屋を営む父親役に山田吾一さん、一癖ありそうな廻船問屋の主人に田口計さん、ひょうきん者の番頭役に高松しげおさん、お幸の妹・お光に伊藤つかささんなど、多彩な実力派が顔を揃えました。

　休憩を挟んでの第二部のショー「'06華麗なる幸子の世界」では、1曲目の「♪心のままに」で、8mの高さまで垂直に上がるという特殊リフトが登場。
　「去年ラスベガスのショーで見て、是非欲しいと思って購入しました。日本で使うのは私が多分始めてで、今まで宙乗りやクレーンなど色々な事をやってきましたが、今回は恐いくらい高く上がりますし、足場が本当に狭くて衣裳の裾で見えないので凄く恐いですね。」という小林さんは、このために一億円の保険に加入したそうですが、ショーの冒頭からの度肝を抜く演出は、観客を一気に夢の世界へと引き込んで行きます。

　その後もイリュージョン（イリュージョンデザイン＝デューク松山）や、次々と変わる衣裳など、目で耳で楽しめるステージが続き、ゲストコーナーでは、小林さんの秘蔵っ子で、1月1日に1stアルバム「かなこのはじめてのアルバム」をリリースした南かなこさんが登場。パンチの効いた歌声で昨年11月30日に発売した「♪木遣り恋歌」を熱唱します。

　そしてショーのラストを飾る「♪越後絶唱」では、昨年の紅白歌合戦で文字通り見事に花開いた衣裳がそのままの姿で場所を移しての登場。「♪越後絶唱」は2005年3月に小林さんの故郷である新潟市と周辺13市町村が大合併を行い、新・新潟市が誕生したことを記念しての楽曲で、一昨年の新潟中越地震の傷が未だ癒えない故郷に向け「歌い終わったときにこの想いが故郷新潟に届くようにと思っています。」と力を込めます。

　「昨年も色々な事件がありましたが、今年は幸せになれる年であって欲しい。皆さんが素晴らしい年でありますように、自分も健康に気をつけて良い歌をこれからもずっと歌い続けていきたいと思います。」と言う小林さん。

　最近では磁気治療器やカップラーメンのＣＭでも良く見かける小林さんですが、その豪華絢爛で魅力溢れる生のステージは、決して画面には収まらない迫力と温かさと元気に満ちています。
　2006年の年初め、新宿コマ劇場に足を運ばれて、ご自身の眼と耳でお確かめになってください。