そのトップを切るのは、リニューアル記念公演として神奈川県立青少年センターホールで2月17日(金)から2月21日(火)まで行われる、南アフリカの演劇作品『モローラ
―灰』。
今回が日本初演となるこの舞台は、今、世界の演劇界で脚光をあびる南アフリカの女性演出家ヤエル・ファーバーの代表作で、父を殺した母クリテムネストラを、娘エレクトラとその弟オレステスが復讐する物語、ギリシア悲劇オレスティア三部作を大胆に翻案し、物語の舞台を現代の南アフリカに置き換え、アパルトヘイトや世界中で止むことのない戦争を暗示しながら、復讐の循環と許しを巡る物語が伝統音楽に包まれて進行します。
続いて、神奈川県立音楽堂で2月19日(日)に上演されるのは、これも日本初演となるヴィヴァルディ作曲のオペラ『バヤゼット』全3幕。
輝くばかりの瑞々しい演奏で世界中に旋風を巻き起こしたファビオ・ビオンディ(音楽監督・指揮・ヴァイオリン)と彼の率いるイタリア・バロック音楽再生の象徴的存在であるエウローパ・ガランテ(演奏)が、ヴィヴァルディの幻のオペラを携えて待望の来日となりますが、残念ながらこの公演のチケットは既に完売となっています。
そして、今回のフェスティバルの目玉と言うべき作品が、2月24日(金)、26日(日)の両日に神奈川県民ホール大ホールで上演されるオペラ『愛の白夜』3幕5場。
第2次大戦下に揺れる白夜のリトアニアで、迫害から逃れるユダヤ人らポーランド避難民に、心の声に従い通過ビザを発給し続けて6,000人もの命を救った日本人外交官・杉原千畝の史実に着想を得て制作される新作オペラで、辻井喬のオリジナル台本に一柳慧が作曲。指揮に外山雄三、演出には演劇界より白井晃を招いて、井原秀人、天羽明惠、塩田美奈子、鈴木
准、平野忠彦、近藤政伸、鵜木絵里ら実力派の歌手たちと、ダンスカンパニー、レニ・バッソが、人間の強さと美しさをドラマティックに描き出す感動の舞台で、世界初演となります。
また、3月4日(土)、3月5日(日)には、フランス国立リヨンオペラ座バレエ団が、いずれも日本初演となる3演目を持って5年ぶりに来日し、神奈川県民ホール大ホールで公演を行います。
高度なバレエ・テクニックをベースに、現代の振付家の多彩な作品に挑戦するリヨンオペラ座バレエ団は、世界の現代ダンスシーンを塗り替える刺激的な作品を次々と創り出している3人の女性振付家、マギー・マラン、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル、サシャ・ヴァルツが、それぞれバッハ、ベートーヴェン、シューベルトといったクラシック音楽に挑んだ3作品を日本初演。コンテンポラリー・ダンスの最前線を体感できる贅沢なプログラムは必見です。
フェスティバルの最後を飾るのは、3月19日(日)に神奈川県民ホール大ホールで上演される、日本を代表するプリマ・斎藤友佳里がタイトルロールを踊る東京バレエ団公演『ジゼル』全2幕。
今回の公演では、パートナーのアルブレヒト役にボリショイ・バレエ団屈指のダンスノーブル、セルゲイ・フィーリンを迎え、斎藤の出身地である横浜で、もっとも愛し得意とするロマンティック・バレエの名作『ジゼル』全幕を披露します。「上演の度に新たな伝説を生み出す」といわれる斎藤友佳里の繊細な叙情あふれる究極の『ジゼル』。ぜひお見逃しなく。
オペラ、バレエ、コンテンポラリー・ダンス、演劇の大型の芸術作品に触れられる絶好の機会であるこの「祝祭!舞台フェスティバル」。
首都圏からでも足を運ぶ価値は充分にある演目揃いと言えそうです。
なお、各公演の詳細は神奈川芸術文化財団サイトからご覧いただけます。
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