シアターフォーラム    
シアターフォーラム 浦井健治・安寿ミラ musical『アルジャーノンに花束を』製作発表

 
会見風景
後列左より:小田島クリスティン、小野妃香里、永山たかし、宮川浩、戸井勝海、朝澄けい、森新吾[D☆D]
前列左より:荻田浩一(演出)、浦井健治、安寿ミラ、斉藤恒芳(音楽監督)

1959年に中編小説として発表され、その後1966年に長編小説として書き改められて世界中でベストセラーとなったダニエル・キイスの小説『アルジャーノンに花束を』。
 1968年には「Charly」(邦題:「まごころを君に」)としてアメリカで映画化され、主人公を演じたクリフ・ロバートソンは第41回アカデミー主演男優賞を受賞。日本でも1978年に翻訳出版されて以来多くの人々に愛され続け、2002年には翻案されてユースケ・サンタマリア、菅野美穂らの出演でテレビドラマにもなりました。

 パン屋で働く知恵遅れの青年チャーリィは、まだ研究段階にある脳外科手術の被験者となり、一般人を上回る知能を手に入れます。しかしそれと引換えに、周囲の人々の素顔や、今まで気付かなかった欺き、家族の意図などを知ることになり、苦しみも味わうことになります。チャーリィは同じ手術を受けた天才白ネズミ・アルジャーノンに親近感を持っていましたが、アルジャーノンは徐々に不可解な行動をとるようになり・・・。

 知能指数の低い人間を外科手術によって人為的に天才に作り変える、と言うSF的なアイデアで書かれた小説でありながら、深遠なテーマと鋭い洞察力による人間描写によって、ジャンルの枠を超えたヒューマニズムと詩情に溢れた名作として高く評価されているこの作品が、日本で初めてミュージカルとして上演されることになり、その脚本・作詞・演出を担当する萩田浩一氏、音楽の斉藤恒芳氏、そして出演者全員が出席しての製作発表会見が1月23日に都内で行われました。

 今回のミュージカル化について荻田浩一氏は「とても高名な原作でファンの方がとても多いので、その皆さまのご期待に添うように、原作で感動されたその思いを裏切らないように、でもミュージカルとして新しく創り直して、そこにまた新たな魅力・息吹が備わるようにしたいと思います。まだ稽古が始まったばかりなのですが、スタッフ・キャスト一同で頑張っておりますので、初日までに完成させたいと思います。」と、その意気込みを語ります。

 音楽監督の斉藤恒芳氏は「ミュージカルはたわいの無いお話を音楽と演出で凄く盛り上げる作品が多いんですけれど、お話だけでこれだけ完成度が高いと、そこに音楽をどういう風に入れていいのか、というのがとても悩むところです。今回はとても歌の多いミュージカルなので、その歌の中でも微妙な心の変化とか、色々な取り巻く人々の気持ちとか、ちょっとづつお客様にも解かるように変えて行くのが一番の僕の研究課題です。まだ創っている最中ですので、今ここで喋っているのもちょっと心苦しいところなんですけれど、まだ頑張って書きたいと思います。」と、生みの苦しみの中でも手応えを感じているようです。

 今回の出演者は9人。主人公チャーリィを演じる浦井健治と、アリス役の安寿ミラの2人以外は場面によって複数の役を演じることとなります。これは、主人公にとって、その存在が持つ意味合いが同じ場合、またはまったく反転する場合、それぞれを効果的に見せ、劇的効果を高めるためとの事。

 主人公のチャーリーを演じる浦井健治さんは、「今回初主演という事もありまして、とても緊張しているのですが、何よりも僕はこの作品が本当に大好きで、チャーリーという役を演じられることを幸せに思っています。このチャーリーという役は並半端な気持ちでは絶対に演じられないと自分の中では思っているので、色々と自分なりに歌い方を知識に合わせて変えてみたりだとか、役作りとして色々な施設を廻ってみたりだとか、自分なりに色々と役に対して熱を注いでいる最中です。頑張るので宜しくお願いします。」と、力を込めて語ります。

 そのチャーリーの教師で、初恋の相手でもあるアリスを演じる安寿ミラさんは、「荻田さんもさっき言いましたけれども、誰もが知っているこの原作をミュージカル化するという時に生まれる、――他の方がなさる時も感じる事なんですけれど、――不安というものを多少なりとも私も感じておりましたけれども、稽古場に行って1日目に斎藤さんの創られた曲を聴いた時に、その不安が全部消えてしまいました。それくらい心癒される、とても素晴らしい珠玉のメロディたちです。今は、――殆どオリジナルミュージカルと言ってもいいと思いますけれども、――それを創って行く難しさ、大変さを感じながら、同時に一つの目標、到達点に向けてゼロから創って行く目に見えない連帯感ですとか信頼感を感じて、お稽古場にワクワクと通っております。個人的に自分の役としては、久しぶりに毒の無い役で(笑)、清らかなアリスで、初主役となる浦井君を本当はサポートしなくちゃいけないんですけれど、まだまだ自分の事でいっぱいいっぱいで、最終的にはいい感じでサポート出来ればと思っております。いつも自分の出ている作品を「観て下さい」と言うのが中々苦手で言えないんですけれども、今回は本当に沢山の方に観て頂きたい、とても素晴らしい作品になると思います。」と、この作品にほれ込んでいる様子。

 そして彼に手術を施すストラウス博士役の宮川浩さん。「今回のこの作品、皆さんもご存知の通り、本当に原作も脚本も本当に素敵な作品です。これを生かすも殺すも主役の浦井健治次第なんで(会場笑)、プレッシャーを掛けながら、そしてちゃんとサポートしながら、いい作品に仕上げたいと思います。」
 同じく、彼の経緯を見守るニーマー教授役の戸井勝海さん。「今回、ニーマー教授という、僕が今迄ミュージカルであまり挑戦したことの無いタイプの役どころに挑戦させていただきます。本当に有名な作品で、僕も原作を何度も読んだことがあったのですけれど、「いったいどんなミュージカルになるんだろう。」って凄いドキドキしながら稽古場に行きまして、曲が本当に素敵で――安寿さんも仰っていましたけれど、――一曲づつ取り出してもそのまま成立しちゃうような音楽がとっても多くて、――僕も一昨日辺りにとっても素晴らしい(笑)ソロをいただきまして、今悪戦苦闘しておりますが、――本当に素晴らしい作品になると思います。どうぞ劇場の方にいらしていただけるようにお願いいたします。」

 ニーマー教授の下で研究をするバート役の永山たかしさんは、「今回僕は、バード・セルドンという役と、他にフランクという役、そしてもう一つリロイという役、3つ演るんですが、それぞれが抱えているもの、――この作品のいい部分だと思うんですけれど、――葛藤と成長、それはチャーリーだけじゃなくて、ここに居る全ての人々に言える部分で、徐々にその成長を僕自身が描ければいいな、と思っております。それと、それぞれのキャラクターに、観ている人たちそれぞれが感情移入できるようなキャラクターが揃っているのではないか、と思っています。ちょっと湿っぽくなりましたが(会場笑)、皆さん、是非博品館で逢いましょう。」とテンション高くご挨拶を行います。

 そして、今回の舞台で注目となりそうなのが、チャーリーと共に脳外科手術を受ける白ネズミのアルジャーノンを生身の俳優が演じること。
 そのアルジャーノン役の森新吾さんは、「皆さんも言われている通り、こんな素敵な作品に出られることを本当に幸せに思っています。アルジャーノンはチャーリーと同じ手術を受け、頭の良くなるネズミですけれども、今回それを人が演るという事で、自分が出るシーンで不思議な空間が創れたらいいな、と思っています。DIAMOND☆DOGSとしていつも7人で活動していますが、今回初めて1人でこういう舞台に出させて貰うので、初舞台の気持ちで頑張りたいと思います。」ということで、ダンサーとしての彼の肉体がどのようなアルジャーノンを創り出すのか興味深いところです。

 さらに、チャーリィの隣人フェイを演じる小野妃香里さんは、「フェイという役は天才になってからのチャーリーしか知らない唯一の登場人物なので、周りの人たちとはまた違った幸せな空間をチャーリーに作ってあげられたらいいな、と思っています。そしてそれをチャーリーを通してお客様と共有出来ればいいな、と思っております。」と、優しくコメントし、また、看護婦のヒルダとルシルを演じる朝澄けいさん、小田島クリスティンさんも、「皆さまに一生懸命付いて、頑張りたいと思いますので、宜しくお願いいたします。」(朝澄)、「とても素敵な作品なので、一生懸命頑張りたいと思います。宜しくお願いします。」(小田島)と、それぞれに控えめながらも決意を語りました。

 会見の後に、小野妃香理、朝澄けい、小田島クリスティンの3人ををバックコーラスに劇中のナンバーを披露した浦井健治さんは、最後に「ミュージカル『アルジャーノンに花束を』。テレビドラマとも映画とも小説ともストレートプレイとも違う、色々な魅力が詰まった作品になると僕は信じています。皆で協力して創り上げていこうと思っているのでご期待ください。」と力強いメッセージを残して会見を締め括りました。

荻田浩一斉藤恒芳
左より:荻田浩一(演出)、斉藤恒芳(音楽監督)
浦井健治安寿ミラ
左より:浦井健治、安寿ミラ
宮川浩戸井勝海
左より:宮川浩、戸井勝海
永山たかし森新吾
左より:永山たかし、森新吾
小野妃香里朝澄けい
左より:小野妃香里、朝澄けい
小田島クリスティン
小田島クリスティン

小田島クリスティン、小野妃香里、朝澄けい、浦井健治
左より:小田島クリスティン、小野妃香里、朝澄けい、浦井健治
浦井健治


浦井健治,安寿ミラ,宮川浩,戸井勝海,永山たかし

 シアターフォーラムでは、この製作発表の後で、今回ミュージカル初主演となる浦井健治さんに単独インタビューを行い、この公演に掛ける意気込みなどを熱く々々語っていただきました。
 このインタビューと、製作発表会見の模様は動画で掲載しております。


ミュージカル
 
『アルジャーノンに花束を』
   原作:ダニエル・キイス  脚本・作詞・演出:萩田浩一(宝塚歌劇団)
   出演:浦井健治、安寿ミラ、永山たかし、森新吾、小野妃香里、朝澄けい、小田島クリスティン、戸井勝海、宮川浩

日程  2006年2月22日(水)〜3月5日(日)
会場  銀座博品館劇場
料金  7,800円 (全席指定)
チケット  博品館チケットパーク 03-3571-1003  ほか
お問合せ  東京音協 03-3201-8116

≪ 静岡公演 ≫

日程  2006年3月8日(水) 18:30開演
会場  静岡市民文化会館 中ホール
料金  S席 7,000円  A席 6,500円
お問合せ  ビートクラブ 054-273-4444 (平日 10:00〜19:00)

≪ 大阪公演 ≫
日程  2006年3月9日(木) 18:30開演
会場  大阪厚生年金会館 芸術ホール
料金  S席 7,800円  A席 6,000円
お問合せ  キョードーチケットセンター 06-6233-8888 (10:00〜19:00)

≪ 名古屋公演 ≫
日程  2006年3月10日(金) 18:30開演
会場  愛知厚生年金会館
料金  7,500円
お問合せ  SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100 (10:00〜18:00)

 関連ニュース
 浦井健治・安寿ミラ ミュージカル『アルジャーノンに花束を』

特集・動画ページ

【 キャスト 】

浦井健治 チャーリィ・ゴードン(ベーカリーの店員・脳外科手術被験者)
安寿ミラ アリス・キニアン(ビークマン大 知的障害成人センター教師)
永山たかし バード・セルドン(ビークマン大 心理学専攻の大学院生)、フランク(ドナーベーカリー店員)、他
森 新吾(DIAMOND☆DOGS)  アルジャーノン(白ネズミ)、チャーリィ(子供)、アーニィ(ベーカリー店員)、他
小野妃香里 フェィ・リルマン(チャーリィの隣人)、ジョー(ベーカリー店員)、他
朝澄けい ヒルダ(付属病院の看護婦)、ファニィ(ベーカリー店員)、ローズ(チャーリィの母・幻想)、他
小田島クリスティン  ルシル(付属病院の看護婦)、ノーマ(チャーリィの妹・幻想)、他
戸井勝海 ハロルド・ニーマー教授(ビークマン大学心理学部長)、ギンピイ(ベーカリー主任)、他
宮川浩 ジェイ・ストラウス博士(ビークマン大学付属病院 精神科医・脳外科医)、アーサー・ドナー(べーカリー店主)、他

 集合写真


フォロミー 過去のニュース
次のニュース
当サイト掲載の情報・写真等の転載を禁じます。
Copyrigh(c) Theater forum 1999-2007 All Rights Reserved