時は1730年代、天下を治める、第八代将軍徳川吉宗は、日本を情報という力を使い、天下泰平を目論んでいた。
しかしただ一カ所、幕府の口車にまったく乗らない、ドンちゃん騒ぎな町があった。八百八町江戸の端、どんと構えた小さな町その名は「カブク町」。
娯楽と芸と江戸っ子の粋で、幕府に毅然と立ち向かう。旗を振るのはカブク町きってのスター役者 寅之助、江戸一の歌舞伎者が江戸幕府に情報戦のガチンコ勝負を挑む!
「PARCO歌舞伎」「コクーン歌舞伎」と話題の公演が行われる春三月、一足早い1日に東京・大久保のグローブ座で幕を開けたのが『KABUKU
〜寅の巻〜』。
総合プロデュースの黒谷通生は、「THE
CONVOY SHOW」のプロデューサーでもあり、今村ねずみの舞台創りに対するスピリッツを受け継ぐただ一人のプロデューサーとして活躍する。黒谷自身が、以前より気になっていた「傾き者」というテーマをもとに、時代劇の中に、コメディ、エンタテインメントを織り込み、自らが創り上げ発想してしていくことをコンセプトに、「自分たちが、自分たちの意志で時代を生きる、今、自分の時代をかぶく」を掲げ、『KABUKU』というタイトルを名づけた。
この舞台を創り上げるには、脚本、演出、舞台、美術、音響、照明、ヘアメイク、振付、音楽、どれも欠かすことの出来ない存在であり、一緒に創り上げられ、それぞれがKABUKUMONOであるということが、必要だった。
以前から小劇場に足を運び面白いと思っていた劇団の米山和仁を脚本に、昔から役者仲間だった小浦一優を演出に起用。その他、制作スタッフも含め、一流のスタッフ陣を集結させた。
その出演者は、カブク町きっての千両役者で、今カブク町の総合プロデューサーの市川寅之助に、「THE
CONVOY SHOW」メンバーで、ダンスの表現力ではメンバーの中でもピカイチと言われる石坂勇。
劇作家を目指すが今まで一度も本を書き上げた事がない青年、文三には、モデルとして活躍の後、「仮面ライダー龍騎」で俳優デビュー。近年では三池崇史演出の舞台『夜叉ヶ池』にも出演した小田井涼平。
そして、その文三にひそかに思いを寄せる遊女、おふみには。TV、映画、CMなどで幅広く活躍。最近では『ユーリンタウン』『キレイ
神様と待ち合わせした女』『ジキル&ハイド』など舞台活動も活発な鈴木蘭々。
徳川第8代将軍で、江戸の悪を成敗するご存知「暴れん坊将軍」の異名を持つ徳川吉宗 には、ロック系バンド「SHAZNA」を経て、現在では俳優としての活躍も目覚しいIZAM。
徳川隠密軍団の長で、情報戦の達人。倹約の世の中で、唯一にぎやかなカブク町制圧に乗り出す服部伝衛門には、劇団四季を経て「THE
CONVOY SHOW」に参加。長身を活かしたダイナミックな演技とダンス、そしてその独特のキャラクターでも人気の徳永邦治。
寅之助の無謀な業務のアシスタント。勢いで突っ走る寅之助を陰でサポートする桃奴には、『プロデューサーズ』『眠らない音』などのミュージカルで活動の一方、自らのカンパニーで構成・振付も手掛ける藤林美沙。
と、個性的な実力派が揃いました。
シアターフォーラムでは、『KABUKU 〜寅の巻〜』が上演中の東京・グローブ座にお邪魔して、出演者の石坂勇さん、小田井涼平さん、IZAMさん、徳永邦治さんの4人の方々にインタビューを行い、この舞台の見どころなどを語っていただきました。
ウォーミングアップを兼ねた稽古を済ませた後、開演前の貴重な時間をいただいてのインタビューでしたが、既に幕が開いて3日目とあって皆さんリラックスした雰囲気。
音楽も担当したIZAMさんが「皆で一つの事を創って行くので、音楽も作っていて楽しかったですね。それに自分で作った曲を舞台でみんなが歌ってくれるのは初めてなので、初日は感動しました。」と語れば、石坂さん、徳永さんも「いい歌で気持ち良く歌っています。たまに歌っていて涙が出ます。」とお気に入りの様子。
また、IZAMさんと小田井さんは初めてタップも披露するそうですが、その感想を聞かれて「前世はダンサーだったんでしょうね(笑)」とのIZAMさんの言葉には、「来たね!」と思わず笑いが起こります。
「時代劇ですが、話の内容もその枠を飛び越えた挑戦ですし、心に響くメッセージがあります。エネルギッシュでパワーが与えられる舞台をお見せします。」と語る出演者の皆さん。
「見せ場はそれぞれの場面、それぞれの人物にあります。」との事ですので、最初から最後まで、様々に楽しめる舞台となりそうです。
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