「宝塚歌劇団で培われた家族の様な絆が卒業すると無くなるのが残念で、年に一回くらいは皆で一緒に仕事がしたい、というキッカケから始めた公演が5年続き、多くのお客様にご支援いただき感謝しています。」と語るのは第1回から作・演出を担当している植田紳爾氏。
「昨年の『桜絵巻狸源氏』は男性から見た女性を描いたので、今年は是非逆の、逆性から見た男性を描きたいと思って創りました。」と、今回の作品の狙いを説明します。
また、芝居の演出、ショーの構成演出を担当する酒井澄夫氏も「宝塚の卒業生は、それぞれ素晴らしい時代で辞めることになるので、その才能を埋もれさせるのは惜しいと思っていました。この公演も5年経って、植田先生独特のコメディセンスで、他には無い新しいコメディ劇団が出来たようになって来ていると感じています。ショーも、最初の頃のようにただ懐かしいだけではなく、どんどん発展させて行っています。」と年々進化する“狸”シリーズに自信のコメント。
お二人の言葉にも伺えるように、今回の公演は、芝居・ショー共に新作となり、さらにスケールアップ。
第1部『狸合戦桜囃子』は、ギリシア喜劇であるアリストパネス『女の平和』にヒントを得て、戦好きの男狸たちと平和を大切にしたい女狸たちの争いに端を発した物語で、現代の世相を風刺した喜劇。
第2部『ショー・イズ・オン '06』では、宝塚歌劇の名曲の数々を中心に、華やかなショーナンバーを、宝塚歌劇出身の圧倒的な歌唱力と表現力を持つ実力派スターが披露します。
第1部の主人公、満月城の若殿・狸千代を演じるのは、5年間連続出演で、この一座の座長とも言える鳳蘭さん。
「日本は暗いニュースばかりですけれど、この狸御殿を観て、皆さまにひととき大笑いしていただけたらとても幸せです。人間は笑って居る時にアドレナリンが分泌されて悪玉菌を殺すと聞いています。この狸を見て笑って全てを跳ね除けていただければと思います。」と、楽しい舞台になることを確約。
また、今年初参加の鳳八千代さんは、「半世紀ぶりに宝塚の舞台に出られるとは思いませんでした。現役の先生方、先輩の淡島さん、後輩のトップスターたちと共演して、少しでもオーラと若さを頂戴して千穐楽まで元気にやりたいと願っています。」と、笑顔を見せます。
そして昨年に引き続き2度目の出演となる淡島千景さんは「“狸御殿”は、毎年違う新しい脚本でやっていますので、「観たことがある。」と思わずに、皆さんに毎年観ていただきたいと思います。自分でも出演しながら、「こんな楽しい芝居、こんな素敵な芝居もあるんだな。」と感じていますし、後輩の皆さんのショーも付いていて、宝塚は良いものは引き継いで行きますので、懐かしくて新しい舞台をお見せします。」とコメントにも力が入ります。
他にも、榛名由梨さん、順みつきさん、峰さを理さん、高汐巴さん、平みちさん、若葉ひろみさん、南風まいさん、麻乃佳世さん、と歴代のトップスターたちが今年も一同に会しました。
既にレビューの稽古が始まっているとかで、「家族同様、」と出演者が口を揃えるように、明るい雰囲気で、笑いの絶えない出演者たちは、「今回の舞台で男役に戻るのではなくて、男役が本来で女優は偽りの姿、未だに男役が一番生きていると思うし、男役の方が自然に出来てしっくりくる。」との鳳蘭さんの言葉に、男役だった全員がうなずき、「今回の稽古で、燕尾を着て踊っていると、ドンドン身体が男っぽくなるになる。」「辞めて長く経っても燕尾の男装をすると気分がスカッとして、女優よりも気分がいい。」などの発言が相次ぎ、ファンだけではなく、出演者全員がこの公演を楽しみにしていることが伺える記者会見となりました。
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