1989年に銀座・セゾン劇場『レティスとラベッジ』からスタートしたこの企画は、2000年からはパルコ・プロデュース公演となり、これまでに19作品を数えて、1996年には『幸せの背くらべ』『マスター・クラス』では毎日芸術賞、読売演劇大賞・大賞、および最優秀女優賞を受賞するなど、高い評価を受けています。
そして記念すべきシリーズ20作目として、10月11日に幕を開けたのが『ルーマーズ』。1990年にシリーズの2作目として『口から耳へ、耳から口へ』というタイトルで上演され、2時間の上演中に700回以上も爆笑が起こったという、伝説の作品です。
喜劇の王様ニール・サイモンがニューヨークの豪邸に集まった4組のセレブカップルが巻き込まれ、巻き起こす一夜の大騒動を描いた傑作喜劇で、再演を希望する多くの声に押されてのリニューアル上演となりました。
ニューヨーク郊外に建つ市長代理の豪邸へ結婚記念日のパーティーに呼ばれた4組のセレブカップル。最初にやってきたクリス(黒柳徹子)とケンの夫婦は、この家の主人がピストルで耳たぶを撃って意識朦朧で倒れているのを発見。二人はこの名士の友人のスキャンダルを隠すため、次々とやってくるカップルに、その場しのぎの作り話でゴマかそうと躍起になります。しかしその作り話が噂に噂を呼び、全員とんちんかんな大騒ぎになる中、ついには警察官までがやって来て・・・。
出演はクリスの夫で弁護士のケンにコミカルな演技もシリアスな演技も定評のある益岡徹。公認会計士夫妻にオンシアター自由劇場出身の個性派・大森博史と華やかかつ知的な存在感を持つかとうかず子。精神分析医夫妻には劇団四季で長年活躍し退団後初舞台となる光枝明彦と「3年B組金八先生」の教頭先生役でお馴染みの茅島成美など、豪華で達者な顔ぶれが揃いました。
10月10日に行われた舞台稽古の後、舞台衣裳のままで会見を行った黒柳さんは、今回の演目について「16年前に演ったものの再演なのですが、昨年が二人だけの非常にしっとりとした作品でしたので、(演出の)高橋さんが「今年は人数が多くて賑やかなのがいいね。」と言うことで、再演の要望も多かったこの作品になりました。」と説明、「共演者が全員違いますが、ニール・サイモンの作品は時代が経ってもあまり変わりませんし、私が16年歳を取ったくらいで、あまり変わったことは感じなくて、最初から勉強しなおしました。」と、改めて評判の高かった作品に取り組む意欲を見せます。
その共演者たちとも「凄く仲が良くて、こんなに仲が良くていいのかと思うくらい和気藹々で、旦那さまの役の益岡さんは優しくしてくれますし、かとうさんも素敵な女性で、磨きが掛かっているのを見ていただけるし、楽しみながら皆で演っている感じです。」ということで、喜劇に大切なチームワークはバッチリの様子。
また、今回の舞台設定はセレブのパーティということで、女性陣のそれぞれに趣向を凝らした衣裳も見どころの一つ。「衣裳がかなり重く、全部で5キロ近い総ビーズの衣裳なので、階段の上がり降りを優雅にするのが大変で、昔の人は大変だったろうと思います。」という黒柳さんは、「100歳まで舞台に立ちたいので、毎日しているヒンズースクワットと2階への階段での上り降りに加えて、30分歩くようにしています。」との事。「2階への階段を格好良く上がろうと思って、片手で裾を持って綺麗に上がるのは大変ですが、上半身に筋肉が付くし、着て立っているだけでも体力が付く気がします。」と、体調も万全のようです。
「初演もスピードが有って笑っていただける良い舞台だったので、今回はもっと充実して笑っていただけると思うし、色んな辛いこと、悲しいことを忘れて、2時間半笑っていただければいい。」と言う黒柳さん。
「良い喜劇、上質の喜劇を観ていただきたいと思って舞台を演っていますが、舞台で演じるのは、お客様の反応がすぐ解るし、お客様と空気がふわーっと結びつくのが良いと思うんです。特に喜劇は笑っていただけるので、毎日笑いが増えるように研究して、前回は700回でしたが、今回もカウントしますし、お客様に笑っていただくためには、どんなことでもしようと頑張っています。」と言うことで、
「本当は階段の手すりを上から下まで滑って降りようと思って、自分では出来ると思ったんですけれど、(演出の)高橋さんから「止めてくれ」と言われました(笑)。でも、手すりが壊れるから千穐楽ならやっても良いと言われたので、千穐楽はやってみようと思っているし(笑)、自分では出来ると思っているんです。」と、最後には仰天のプランまで明かしてくれました。
“女優”黒柳徹子が演じる、10秒に1回爆笑できる、ジェットコースターコメディ『ルーマーズ』
大いに笑って爽快な気分で劇場を後にすることが出来る、そんな爆笑喜劇で秋の一日を過ごされてはいかがでしょうか。
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