1886年に出版されたR・L・スティーブンソンの同名小説を原作に、1990年テキサス州ヒューストンで幕を開け、1997年にはブロードウェイ進出を果たし、トニー賞4部門にノミネート。プレビューも含め1585回の上演回数を記録したミュージカル『ジキル&ハイド』。
2001年11月・日本初演、2003年1月・再演、2005年11月・再々演と3度に渡る公演で日本ミュージカル界に衝撃を与えたこの作品は、現代社会の誰もが抱える心の闇を映し出し、人間の内面にまで踏み込んで、観る者に新鮮な発見と衝撃の連続を与え、その心を捕らえてきました。
とりわけ、一瞬にしてジキル博士とハイド氏を演じ分け、その心の揺れ動きを繊細かつ大胆に表現し、エマとルーシーという2人の愛する女性とのロマンス、2つの人格の中で葛藤する男の悲哀を円熟した演技で見せた鹿賀丈史、そして、この作品でミュージカル界に彗星のごとく現れ、その歌声で観客の心を貫き魅了したマルシア。
この2人は2005年ヴァージョンでは菊田一夫演劇賞をW受賞するという、快挙を成し遂げました。
今回の公演ではこの2人に加え、前回の公演では本格的ミュージカル初挑戦ながら透明感のある歌声と凛とした立ち振舞いで好評を博した鈴木蘭々が、引き続きジキル博士の婚約者エマ役で出演。さらにエマの父親でありジキルの研究に理解を示すダンヴァース卿には初演以来の持ち役である浜畑賢吉が重厚な演技で舞台を引き締め、ジキルの親友・アターソン博士は『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』などで好演の戸井勝海が今回初参加で勤めます。
そして、このミュージカルのもう一つの魅力である楽曲の数々。
世界的作曲家F.ワイルドホーンならではの躍動感と格調の高さが溶け込み、人生最大の決意に直面したジキルの感情の高まりが見事に表現された名曲中の名曲と言われる「♪時が来た」をはじめ、ルーシーが唄う情熱的なナンバー「♪連れてきて」と切ない女心を歌い上げる「♪あんなひとに」、そしてピュアな気持ちを余すところなく表現した「♪新たな生活」、さらに、舞台のサスペンス性をさらに高める「♪事件、事件」など枚挙に暇がありません。
中でも、特殊効果を一切使わず、自らの肉体だけで二つの心の葛藤を表現した「♪対決」は、舞台の醍醐味であるライブ感を堪能させてくれる一曲と言えるでしょう。
演出はミュージカル、商業演劇、翻訳劇とジャンルを超えた様々な作品を演出し、枠に捕らわれないダイナミックな演出力で、役者・スタッフからの厚い信頼を得ている山田和也が初演以来引き続いて担当。装置(大田創)、照明(高見和義)、衣裳(小峰リリー)、振付(上島雪夫)ら日本最高峰のスタッフと共に、さらに進化した舞台創りに挑みます。
21世紀のミュージカルとしてこれからも長く語り続けられることになるであろう『ジキル&ハイド』。
鹿賀丈史ファイナル公演となる今回、伝説の誕生となる歴史的瞬間に立ち会える喜びを是非劇場で味わってください。
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