今回の出演者は、八千草さんの演じるエセルの夫で、自身の老いにとまどいながらも、それを前向きに捉えていこうとする79歳のノーマン役に、映画・舞台・テレビと常に挑戦を続け、幅広い年齢層の支持を集める長塚京三、父との角質を持ち8年ぶりに両親のもとを訪れる娘・チェルシーに14年ぶりの舞台出演となる賀来千香子、その娘の新しい恋人ビルに元東京キッドブラザースの三浦浩一、ノーマンとエセルの心を和ませるビルの息子・ビリーに期待の新人中村友也、チェルシーの幼馴染で平穏な湖を守る郵便配達人チャーリーに蜷川作品の実力派飯田邦博と、豪華な顔ぶれが揃いました。
ツアー初日を前にして行われた舞台稽古の記者会見では、「初日と言うとやはり凄くドキドキして、不安と緊張が入り混じるんですけれど、きっと良い舞台になると思いますね。是非皆さん期待してご覧になっていただきたいと思います。」と、笑顔で語った八千草さん。
相手役となる長塚さんも「稽古の一番良かった時の様に出来たらと思いますけれども、初日は緊張もするし、無事に済んでくれればいいと思います。」ということで、やはりベテランといえども初日は特別の様です。
お二人は「大昔にテレビで一回すれ違うくらいしか縁が無かった。」ということで、事実上の初共演となりますが、八千草さんが「最初は初めてなので少し、何となく遠慮したりしていましたが、普段も何か夫婦と言う感じがして、今はもう・・・」と話せば、「もう夫婦も同然ですよ。今回はとても良い稽古が出来たと思いますので、皆さんの関係もとても正しく良い運びになっていると思います。」と続ける長塚さんと、息もぴったりの様子。
そして、共演者の方々。
お二人の娘役を演じる賀来さん、「本当に私にとっては14年ぶりなので、もうドキドキなんですけれど、これから30公演演らせていただくと言う事で、後30回しか出来ないんだと思って演らせていただこうと思っています。舞台の勘を取り戻すのは未だ心配ですけれど、皆さんと本当に楽しく充実したお稽古が出来たので、心を込めて演りたいと思います。」
その恋人役の三浦さん、「稽古に行くのが本当に楽しくてしょうがなかった、という感じですね。僕はワンシーンしか出番がないのですが、とにかくお二人の芝居、それから皆さんの芝居を稽古場で見ていて「うわぁ、何て良い芝居なんだろう」と本当にファンの一人になってしまいました。僕は長塚さんとの一対一の男の勝負なんで、今回はその勝負に全公演――負けるのは解っていますけれど(笑)――勝とうと努力しようと思います。本当に良いお芝居だと思います。」
三浦さんの息子を演じる中村さん、「あまり言うことが無いというか(笑)、とにかく舞台が初めてで解らない事だらけで、本当に皆さんの力に助けられて稽古をやってきて、一回一回頑張って、その都度何かを感じて演っていこうかな、と思っています。僕はデビューから大先輩に囲まれることが多かったので、慣れているという訳ではないんですが、負けないようにではないですけれど、一生懸命自分の色を出せたらいいな、と思います。」
と、それぞれのコメントからは、充実した稽古を経て手応え十分の舞台に仕上がった感触が伺えます。
また、今回は東北から九州まで全国を廻って公演が行われるということで、
「東京に居て、いろいろな地方の皆様にお会いすることがありませんので、楽しみですし、きっと皆さんも待っていてくださると思いますので、精一杯良い舞台をお見せしたいと思っております。」と語る八千草さんをはじめ、「僕は地方都市が好きなので、お楽しみで待っていてください。」(長塚さん)、「キャストもスタッフも凄く素敵なチームなので皆で地方に行けるのが、また絆が出来そうで嬉しいです。」(賀来さん)など、揃って各地での公演を楽しみにしている様子でした。
高齢社会や核家族化が社会問題となっている今、セカンドライフをどう過ごすか、両親の老いを子供がどう受け入れていくか、という身近な問題に一つの回答を与えてくれるであろうこの作品。
幅広い世代が一緒に観て、感動を分かち合うと共に色々と語り合う事が出来る。そんな舞台と言えそうです。
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