シアターフォーラム    
シアターフォーラム 鹿賀丈史ファイナル!! 2007年『ジキル&ハイド』製作発表

鈴木蘭々 鹿賀丈史 マルシア
左より:鈴木蘭々、鹿賀丈史、マルシア

 1997年4月にブロードウェイ・プリマス劇場で上演がスタートし、大ヒットを記録したミュージカル『ジキル&ハイド』。
 日本で初演された2001年の舞台では、その年の「月刊ミュージカル」誌において、作品賞、男優賞(鹿賀丈史)、女優賞(マルシア)、演出家賞(山田和也)の4冠を獲得、また同年の文化庁芸術祭賞・演劇部門新人賞にマルシアが選出されるなど、高い評価を受けました。

 その後、2003年、2005年と再演を重ねて来たこの舞台。2007年の4回目となる公演でファイナルステージとなりますが、その製作発表会見がオーディエンスの方々も招いて11月7日に行われ、主演の鹿賀丈史さんをはじめ、マルシアさん、そして2005年の上演に引き続き参加の鈴木蘭々さんが出席、軽部真一フジテレビアナウンサーの軽妙な司会進行で、楽しいトークを繰り広げました。

 今回で鹿賀版『ジキル&ハイド』の最終公演となるこの上演、さらに磨き上げられた舞台が期待されると共に、今まで東京・日生劇場のみで行われて来た公演が、初めて大阪・梅田芸術劇場、名古屋・中日劇場で上演されるのも、ファンにとっては嬉しいところ。

 これまでの上演回数は104回。2007年では東京公演30回、大阪公演4回、名古屋公演12回の公演が予定されており、名古屋の千穐楽で合計150回の区切りを持って、文字通り幕を降ろすことになります。

 トークショー形式で行われた今回の製作発表会見。最初に今回の公演に対する意気込みを問われて
 「足掛け7年で4回目になりますが、この作品は人間の中身を扱っていて、音楽も重厚で心の叫びをそのまま音楽にしたような激しい音楽なので、毎回毎回「これ以上の意気込みは持てないだろう」というような気持ちで演っています。丁度1年おきに演っていますが、これまでの3回の経験を生かしつつ、少しでも新しい所を見つけて、層の厚い、深みのある作品にしたいなと思っております。」(鹿賀さん)
 「また心を白紙にしてゼロから創り直したいなと言う気持ちと、4回目なので重ねて来たものもございますので、更にステップアップ目指して、ちょっと幸せなルーシーも演じたいなと思います。今までも努力はしてきましたが、もっとハッピーなルーシーにチャレンジしたいという気持ちもございます。」(マルシアさん)
 「同じ舞台を踏むというのは私にとって初めての経験なので、どんな風に自分が変わるのか未知のところですが、皆さんとまた創って行く中で新しい発見をしながら、新しいエマをまた演らせていただきたいと思っています。一つ私も歳を取っていますし、少しは大人になっていると思うので、もう少し皆さんと対等な感じで(笑)、接せられるかな、と思います。」(鈴木さん)
 と、それぞれに新たなステップに向かって意欲を燃やす出席者たち。

 特にマルシアさんにとっては、ミュージカルスターへの第一歩となったこの作品。初演時を振り返って
 「丁度30代に入ったところで、何か30代で自分の人生の中で大きな変化を起こしたかった時に、ミュージカルと言う世界の大きなチャンスが目の前に現れて、――日本に来た時もそうでしたが、――チャンスは自分で掴むしかないし、そのチャンスを大きくするか、ダメにしてしまうかも自分の力と運だと思います。そこでミュージカルと出会って、「こんな世界があるのか!」と思うくらい音楽の魅力に取りつかれて、――音楽のレベルも高くて当時の自分にはとても手の届かない存在でしたが、――勉強させていただいた、30代の大きな1ページを創ってきたのがこの作品ですので、今回最後と言うのは寂しいけれども、心に残るものにしたいです。」と感慨深げなコメント。

 また鈴木さんも再演に向けて「率直に言ってとても嬉しいです。結構上がり症の所があって、去年は30ステージもあったのにいつも上がっていて、いつも「どうしようかな」と考えている自分が居たんですね。なので、今回は本当にもっとリラックスして自由に演って行きたいな、というのがありますね。」と、新たな課題に向かい合います。

そして今回、ジキルの親友アターソン役に初挑戦の戸井勝海さんはビデオでのメッセージを寄せて、
 「僕も何度か舞台を拝見させていただいて、自分の人生とか、人とはとか、色んな事を考えさせていただいた舞台です。新たに役者も何人か変わりまして、また新しい『ジキル&ハイド』が生まれると思います。是非それを客席で感じていただけたら、最高に幸せです。」と、これまで段田安則さん(2001年)、池田成志さん(2003年)、石川禅さん(2005年)と引き継がれて来た役へのチャレンジに意欲を見せていました。


 この『ジキル&ハイド』は、鹿賀さんが上演を強く望んだ作品ということで、その出会いについて、
 「21世紀になる前でしたが、本当に素晴らしい音楽で、――その時は舞台になっていなくてCDだけでしたが、――それを聴いて「何て凄い音楽なんだろう。」「何とドラマ性が有る音楽なんだろう。」「人の心の思いというのが、これだけストレートに感動的に、よく音楽に乗るものだな。」という思いで、一刻も早く演りたいと思っていたが、中々話が進まなくて、50才を過ぎてしまったんですね。「ジキルといったら30代後半くらいだろうな、50才になって演るのはちょっとキツイけれど」みたいなところもあったのですが、とにかく演ってみようということで、50才の時に初演を開けました。」と話す鹿賀さん。
 「やってみますと聴くと演るとは大違いで、本当にこちらがエネルギーを出せば出すほど、お客さまがそのエネルギーを吸い取っていくようなお芝居なので、一回終わるとカス状態と言いますか、その位エネルギーを使うんですね。ですから、この間演った時も「もう少し楽に演った方がいいんじゃないの」と仰る方も沢山居られたのですが、なかなかそうはさせてくれない舞台なんですね。そこが『ジキル&ハイド』の面白さ、魅力ではないかと思っていますので、来年4月に向けて身体を鍛えなおして、発声練習をして、歌の勉強を一からやって、また創り直そうと思っています。」と、新たな気持ちで4度目の公演に臨む姿勢を語ります。


 「ミュージカルのCDも沢山聴くが、『ジーザス・クライスト・スーパースター』『レ・ミゼラブル』そして『ジキル&ハイド』の3本は、自分の中で突出した作品であり、その3作品に関われた事を俳優として幸せに思う。」という鹿賀さん。

 それだけ思いのある舞台に今回でピリオドを打つことについて問われると
 「別に止めなくてもいいんじゃないか、続けた方がいいんじゃないか、という声もいっぱいありますし、俳優にとって一つの作品を長く演ることも非常に大事な事で、努力の要る、力の要ることだと思うんですが、ひとつ自分で在る意味納得したと言いますか、自分でやれるだけの事はやったな、と思った時に、次のステップに行ってみようかという決断も俳優にとって非常に大事なのかな、と思っています。
 前回の公演時に作曲者のワイルドホーンさんが楽屋に来てくれまして、――非常に誉めてくださったのですけれども、――彼の作曲で新しく、スケールの大きい『シラノ・ド・ベルジュラック』というミュージカルを書いたんですね。それをやってみないか、という話が出まして、――これはまだ音楽だけで舞台になっていませんし、来年になるか再来年になるか解りませんけれども、――そういうモノも控えているというか、そういうモノに向けても『ジキル&ハイド』はここで一区切りにしようかな、と言う風に思ったのが正直なところです。」と、サプライズな告白。
 これにはオーディエンスをはじめ、司会の軽部さんも「鹿賀さんの口から、ひとつ大きなニュースが明らかにされました。」と興奮を隠せない様子で、会場は一段と熱気に包まれました。

鹿賀丈史
鹿賀丈史

マルシア
マルシア

鈴木蘭々
鈴木蘭々

軽部真一 軽部真一


 演出を手掛ける山田和也氏もビデオメッセージで
 「何よりも鹿賀さんはセクシーで、舞台の上で色気が有る俳優さんはそうそう多くないですし、それがこの作品にとって大変に重要で、鹿賀さんとこの作品をやれたことは本当に幸運だと思って感謝しています。」と絶賛するほど、当たり役となった『ジキル&ハイド』

 その山田氏の発言を受けた鹿賀さんは「舞台の登場人物は皆どこか魅力的でありセクシーであったほうが素敵な訳で、この話は善と悪ということになっていますが、ハイドがただの悪ではなく、やっぱりどこか非常に人間臭くセクシーな部分を持った、悪の要素を持ったキャラクターであるということをより一層強く出して、果たしてどちらがジキルでどちらがハイドか、解らないくらい近付いた2つの存在になっても面白いんではないでしょうか。最初の頃はジキルはジキル、ハイドはハイドという演じ分けをすることに一生懸命でしたが、紙一重のところで2つのキャラクターがちゃんと成立していると言うスリリングさを試してみたいなと、思っているところです。」と、今回の演技プランの一端も明かしてくれました。

 トークショーの後は会場との質疑応答も行われ、オーディエンスとの交流も行った出席者の方々。
 「これからインフルエンザの季節なので、特に喉のケアなど秘策が有ったら教えて下さい」という質問には、
 「まず第一は“一年間健康であるように祈る”(笑)、ではなくて運動で、クラブに通って走ったりするのと、世界中の良い物をこまめにチェックしていて、漢方薬など喉のために良い物があります。」と答えたマルシアさん。
 「水をとにかく飲むことで、NYでのヴォーカルレッスンの先生の教えの元に、レッスン中で2リットル飲んだりしています。」という鈴木さんは、「今回の時期は花粉症の季節なので、どうすればいいのか。」と心配顔。
 その鈴木さんにはマルシアさんが「空気清浄機を何台も入れると良いのよ。私はそうしている。」とアドバイスを送ります。
 そして鹿賀さんは「最近、“ベッカムマシン”とも呼ばれる酸素カプセルを買って、家に居るときは家で入り、芝居中は楽屋に持ち込んで、疲れた時に1時間くらい入っているとかなり元気で効いているようです。後は良く寝ること、運動、食べ過ぎないこと。」ということで、それぞれが自己管理に気を使われている様子が伺えるなど、興味深い製作発表会見となりました。

 なお、この製作発表会見の模様の一部は、動画での掲載を予定して現在作業を進めておりますので、改めてご覧いただいて、当日の会場の雰囲気を味わっていただければと思います。



ブロードウェイミュージカル
  
『ジキル&ハイド』

日程  2007年4月5日(木)〜4月29日(日)
会場  日生劇場
料金  S席 12,000円 A席 6,000円 B席 3,000円 (全席指定・税込)
前売開始  2006年11月11日(土) 一般前売開始
チケット  ホリプロチケットセンター  03-3490-4949
東宝テレザーブ 03-3201-7777  ほか プレイガイド

《 大阪公演 》
日程  2007年5月11日(金)〜5月13日(日)
会場  梅田芸術劇場 メインホール
料金  S席 13,000円 A席 8,500円 B席 5,500円 (全席指定・税込)
前売開始  2007年3月17日(土) 一般前売開始
チケット  梅田芸術劇場  06-6377-3800

《 名古屋公演 》
日程  2007年5月18日(金)〜5月27日(日)
会場  中日劇場
料金  S席 12,000円 A席 6,000円 (全席指定・税込)
前売開始  2007年3月3日(土) 一般前売開始
チケット  中日劇場  052-263-7171(代)


主催・企画制作 東宝ホリプロフジテレビ 


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