日本を代表するプリマ・バレリーナである草刈民代さんが、初めて企画・プロデュースを手掛け、自らも出演するバレエ公演『ソワレ Soiree
de Danse Roland Petit 〜ASIENCE Discovers the Asian Beauty
in Ballet』が、11月16日に東京・ゆうぽうと簡易保険ホールで日本公演の幕を開け、皇后陛下もご観覧になりました。
さらに津川雅彦さんをはじめ、映画「Shall we ダンス?」で草刈さんと共演した役所広司さん、南原清隆さん、神田うのさん、栗山千明さんら多くの芸能人が来場し、舞台を堪能しました。
この公演は「ノートルダム・ド・パリ」「デューク・エリントン・バレエ」「ピンク・フロイド・バレエ」などの公演が日本でも大成功を収めた、フランスが生んだ世界的振付家ローラン・プティ氏の作品の中から名作中の名作をセレクトする他、新作も加えて上演されるもので、草刈さんが「新しいことに挑戦をしてみたい」とプティ氏を訪ね、その熱意が実って実現したもの。
出演は草刈さん、そして中国中央バレエ団に所属する期待の若手プリマドンナである、ワン・チーミンさんの2人の女性ダンサーと、プティ氏が信頼する5名の男性トップダンサー。
演目は、草刈さんとリエンツ・チャンが踊る新作『神も悪魔もなく』を始め、『コッペリア』などの古典から、『ピンク・フロイド・バレエ』や『ダンシング・チャップリン』、『デューク・エリントン・バレエ』などの現代バレエまで厳選された15作品が、約2時間に渡って披露されます。
終演後、舞台の感想を求められた女優の栗山千明さんは、
「凄くスタイリッシュだしモダンだし、思っていた以上に面白くて観易かったです。あとは、身体の美しさだったり、「こんなに、しなやかに身体って動くんだ。」と言うことに対して、驚きが有ったりもしました。「チャップリン」が凄く面白くて笑わせてくれたので、そのイメージがありますし、草刈さんの可愛らしさとか美しさが踊りの中に出ていて、それも素敵でした。」と満足げ。
自身も特技はクラッシックバレエと新体操という事で、実際に自分で舞台で自分で動きたいな、と思いましたかと聞かれて、
「今日観たのはあまりにも凄すぎて、とてもじゃないですけれど「自分はもう全然敵わないな、比べるのも失礼だな。」と思いました。」と謙遜しますが、
「私はアクションだったり、お芝居の中で見せる事をやっていますので、参考にさせていただきたいな、と思いました。」と、得る所も多かった一夜のようでした。
また小さい頃からバレエに親しみ、1990年東京新聞バレエコンクール入賞、1992年中部全日本バレエコンクール・ジュニア部門1位などの受賞歴を持つ、神田うのさんは
「凄く楽しめましたね。色々な作品を抜粋して混ぜているので、古典バレエの昔からある全幕物、『コッペリア』からワンシーンとか、『カルメン』から寝室のパ・ド・ドゥのワンシーンとか、その古典バレエもあれば現代バレエもあるし、ちょっとコミカルで小さな軽い作品も入れ込んで来て、バレエを知らない方でも笑ったりして楽しめるんじゃないかな、と思いましたね。」と、こちらも楽しんだ様子。
「非常に楽しくて、草刈さんらしいと感じましたね。草刈さんの持つ女性らしさであったり、セクシーさであったりとか、あとエレガントさとか、そういったものが全部この一つの舞台に出ていたな、と思いましたね。」と、感想を語ります。
そして、「あと、私が注目したのは中国人の若い彼女で「これから楽しみだね」って思いましたね。「アジア人でこういう子が出てきたんだ」って感じで、後は表現力。まだ若いので、これからもっと表現力が着くと世界のトップバレリーナになる素質が彼女にはあると思うので、凄く楽しみです。特に「カルメン」が良かったし、来て良かったですね。」と慧眼ぶりを見せたうのさん。
さらに最近ではデザイナーとしても活躍している衣裳について問われると
「舞台衣装ですから、古典の場合はこういう役にはこの衣裳と決められた中から自分のオリジナルを創っていくので、それほど遠いところには外れないんですね。
例えば「カルメン」だと大抵は黒と赤のコンビネーションになるんですが、今回は黒にちょっとブルーのラインというのは新しいな、とか、あと現代バレエ、ローラン・プティさんの振付のものは総タイツとか身体を見せるバレエで、あまり“衣裳”というのは彼の作品では余り無いんですね。だから総タイツで、いかに身体の動きを見せていくか、という振付が多いので、「あ、またこういうタイプのもので来たんだな」と思っていると、最後はオレンジのスカートにヒールを履いて薄いタイツがセクシーで、非常にバランスが取れて、よかったなと思います。」とこちらでも観察の鋭さを披露してくれました。
9月8日にパリのシャンゼリゼ劇場で幕を開け、11月3日からは上海・台湾・香港とアジアツアーを経て、待望の日本公演がスタート。
この東京公演を皮切りに、全国8都市で公演が行われている『ソワレ Soiree de Danse Roland Petit』。
残る公演も半分となりましたが、世界的なレベルの作品を身近に感じられる構成で仕上げたといえる今回の作品。
バレエ愛好家の方はもちろん、これまでバレエに余り関心を持たれなかった方も、一度足を運んで見る価値のある舞台といえそうです。
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