シアターフォーラム    
シアターフォーラム ローラン・プティ 珠玉のバレエ作品集 『ソワレ Soiree de Dance Roland Petit』

 日本を代表するバレリーナである草刈民代の企画プロデュースにより、世界的な振付家ローラン・プティ作品の魅力をふんだんに観る事が出来る『ソワレ Soiree de Dance Roland Petit 〜 ASIENCE Discovers the Asian Beauty in Ballet』。
 2006年9月にパリのシャンゼリゼ劇場でスタートする公演は、上海・台湾・香港のアジアツアーの後、11月16日の東京・ゆうぼうと簡易保険ホールでの公演を皮切りに、日本全国8都市での公演が行われます。

 ピカソやコクトーなど20世紀を代表する偉大な芸術家と交流を持ち、ハリウッドではアステアの映画の振付をするなど、82歳になる今日まで世界各地で活躍し続けているローラン・プティ。世界が認めたその作品は『ピンク・フロイド・バレエ』『デューク・エリントン・バレエ』など日本でも大成功を収めています。

会見風景

 今回この公演の企画プロデュースを手掛け、出演もする草刈さんは、「プティ先生は私の積んだ経験を花開かせてくれた方で、先生が10年前に『若者と死』で私に死神の役を与えて踊らせてくださったことで、私の踊りの幅がかなり広がりました」と師への思いを語り、プティ氏もこの会見に向けて作られたビデオメッセージの中で、「彼女が見せた『若者と死』は、これまで踊ったダンサーの中で最高のものでした。」と絶賛。こうした信頼関係が今回の公演を生み出すことになりました。

 「2年前、公演の無い時にたまたまパリに行って、そこからジュネーブにお住まいのローラン・プティ氏にお目にかかりに行ったのですが、その時に「今後私はどういう活動をしていったらいいのだろうか」とお話したところ、「何か自分で公演をやってみるのも一つの方法だよ。もしそういうことを自分でやるならば協力する。」と仰っていただいたのがきっかけで、その言葉を信じて、一歩踏み出さなくてはいけないのかな、踏み出してみたいという気持ちが高まり、2年かかってこのプログラムにたどり着きました。」と、そのキッカケを語る草刈さん。

 今回の企画意図については「プティ先生の描く女性は官能的だったり、強い個性をもっていたり、凄い悪女だったりして、その強い女性をアジア人が演じるという事で、その表現を通じて“アジアンビューティ”というのを模索すると言うのを一つのテーマにして作品を選びました。
 女性を表現する事を考えると、男性との関わりは不可欠で、ローラン・プティ先生はフランスの方なので、作品もアジアを意識して創られたものは全く無い筈ですけれども、そうやって出来上がったものを私とワンさんが踊る事によって、何かまたヨーロッパの方たちとは違う表現というものを打ち出せたらいいかな、と思っています。」と、そのコンセプトを語り、
 「曲目もジャズとかロックからクラシックまで幅広くありますし、登場する女性も『コッペリア』でコッペリア伯爵が自分の理想として作ったお人形と踊るシーンも入っています。そういう女性を並べていくということもプティ先生の個性が反映されていると思いますし、今回の公演では「女性を表現する=“アジアンビューティ”を表現する」と言うことを一つの軸において作品を並べてみましたが、他の今までのプティ先生のガラ公演とは一味違って、プティ先生の作品集として纏まりのあるもの、そして色んな側面でお客様に楽しんでいただけるものになっていると思います。」と、企画プロデュースの面でも自信を覗かせます。


 その「“アジアン・ビューティー”を表現する」女性ダンサーとしては、草刈民代のほかに中国中央バレエ団のプリンシパル、ワン・チーミンの参加が決定。
 「プティ先生の作品と言うのは生命力を凄く感じて、劇的なストーリー性を持った作品であると思っています。今回私と一緒に、パートナーとして中央バレエ団からリー・チュンがやって参ります。二人で力を合わせ、また今回の作品に参加する女性は私と草刈さんの二人だけですので、そういった意味でも一生懸命成功するように頑張りたいと思っております。」というワンさんを、プティ氏は「透明感があって、他のダンサーには無い何かを持っています。同世代のダンサーの中で十本の指に入るでしょう。」と評します。

 「プティ先生の作品は、世界中の素晴らしいダンサー達が過去に伝説的と言ってもいいような瞬間を沢山残していると思うんですけれども、そこを目指そうと思っても、アジア人のダンサーというのはどうしても変わってしまうものを持っていると思うんですね。。その特性というのが、役柄を演じることによっていい形で出るように私自身は模索して踊りたいと思います。それが“アジアンビューティー”として認められるような形になったらいいな、と思っております。」と草刈さんが語るように、草刈民代とワン・チーミン、世代の異なる2人の競演は、今回の作品コンセプトである“アジアン・ビューティー”にふさわしい華麗な舞台を実現することでしょう。

草刈民代
草刈民代

ワン・チーミン
ワン・チーミン

周防正行 草刈民代 ワン・チーミン

 そしてその“アジアン・ビューティー”2人を支えるのは、プティの片腕として知られるルイジ・ボニーノを始めとする5人の男性トップダンサーたち。
 この公演では、数多いプティ作品の中から、草刈さんとワンさんにふさわしい演目を中心に全部で12曲が予定されていますが、『カルメン』『アルルの女』『タイス』などのプティの代表作とも呼べるパ・ド・ドゥをはじめ、『ピンク・フロイド・バレエ』からの「Run Like Hell」「Great Gig in the Sky」や、『チャップリン』『コッペリア』など、魅力的なラインナップが揃いました。

 さらにこの公演では、リシャール・ガリアーノ作曲の「シャピットル」にインスパイアされたという新作が披露されるとの事。
 この音楽に関してプティ氏は「私がとりわけこの曲を気に入っているのは、ジャヴァから発想を得ているからです。ジャヴァは20世紀初めにフランスで流行したダンスの音楽のひとつで、男性が相手の女性の腰を抱え、身体をターンさせるというとても愉快なダンスです。それをバレエに置き換えることに熱中しています。」と語り、まだまだ衰えぬ踊りへの情熱を感じさせます。


 「踊るだけではなく、その前のバレエを製作する事に初めから関わる事は、公演と言うものが何を目的にして行われるべきか、という事から考えなくてはならないので、自分の中で、その軸がないと中々先に進まないという事がこの2年掛かって解ってきました。私は去年の愛知万博でもプティ先生の短い公演をプロデュースしましたが、それを通して、お客様が観たいもの、お客様が喜んでくださるものは何なのかということをまず考えて、そこに焦点を合わせて自分も踊る、踊る行為というのもそこに合わせて考えるべきだと言うのが凄くはっきりしてきました。実際に愛知万博の後では「舞台に立っている姿が違ってきた」と主人から言われましたし、舞台の上に立つという事の心構えと言うか、意思がもっと明確になってきているような、何のために踊るか、自分のためだけではなく観ている方にとっての踊りとは何か、と言うような事も考えられるようになったので、踊るという事自体が、「何故踊るのか」ということが自分の中ではっきりしてきているような気がします。」と、語る草刈さんは、ますますその存在感と輝きを増しているように感じられました。

 なお、この舞台の製作の過程は映画監督の周防正行氏によりドキュメンタリー番組として制作され、今秋の公演にあわせてフジテレビ系列で放送されるとのこと。
 草刈さんの夫君でもある周防氏は「普段バレエに馴染みの無い人たちに、バレリーナの普段から稽古、どうやって舞台に仕上げていくのかを具体的に見せながら、振付の言葉を探してみたい。新作の振付をどうやっていくのかを解りやすく伝え、バレエの製作過程を知っていただきたいし、二人のバレリーナの魅力を伝えたい。」と、別の側面からのサポートとなるこの番組制作に意欲を燃やしていました。


 「とにかく『ソワレ』では、皆にいろいろな挑戦をしてもらいたい。そして素晴らしいバレエ公演を作り出したいです。」と語るプティ氏。
 「ローラン・プティ作品をとおして、是非踊りの楽しさを皆様に感じていただきたいと思います。」という草刈さん。
 この二人を中心とした才能がどんな響き合いをしてどんな振付になるのか、通常のガラ公演とはちがった、新しい雰囲気で楽しめる作品が誕生しそうな予感がして、この秋の公演が大いに楽しみとなりそうです。

周防正行
周防正行

『ソワレ』
  Soiree de Dance Roland Petit 〜 ASIENCE Discovers the Asian Beauty in Ballet
    演出・振付:ローラン・プティ  企画プロデュース・出演:草刈民代

《 海外公演 》
公演地
日時
会場
  パリ    2006年 9月 8日(金)・ 9日(土)   シャンゼリゼ劇場
  上海    2006年11月 3日(金)   上海大劇院
  台湾   2006年11月 6日(月)   国家戯劇院
  香港   2006年11月11日(土)   香港文化センター

《 日本公演 》
公演地
日時
会場
  東京    2006年11月16日(木)・17日(金)   ゆうぽうと簡易保険ホール
  名古屋   2006年11月18日(土)   愛知芸術劇場 大ホール
  広島   2006年11月19日(日)   広島厚生年金会館
  福岡   2006年11月20日(月)   福岡サンパレス
  札幌   2006年11月23日(祝・木)   北海道厚生年金会館
  盛岡   2006年11月25日(土)   盛岡市民文化ホール 大ホール
  大坂   2006年11月27日(月)・28日(火)   フェスティバルホール
  横浜   2006年11月29日(水)  神奈川県民ホール

  料金  S席 12,000円 A席 10,000円 B席 8,000円 C席 6,000円 (全席指定・税込)
  前売  2006年6月24日(土) 日本公演チケット一斉発売
お問合せ  テレドーム 0180-993-545 (24時間テープ対応)

公式サイト 

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