1969年、イギリスで人気絶頂のロックバンド“ザ・フー”が発表し、全世界で500万枚以上をセールスしたストーリー仕立てのアルバム「TOMMY」。この2枚組のアルバムは、幼い頃のトラウマで“見えない・聞こえない・話せない”の三重苦に陥った‘トミー’という一人の青年があることをきっかけに三重苦から解放され、自由を掴むまでを描いたロックオペラ。
1975年には、ケン・ラッセル監督が更なるエピソードと楽曲を加え、全編を通して歌とロックで物語を運ぶという斬新な手法を用いて映画化。ドラッグや宗教問題や自閉症など現代にも通じる深い物語性と、奇跡を信じる力や自由を謳い、カンヌ映画祭に出品されるや大きな話題を呼んで、世界中で爆発的なヒットを記録しました。更に1992年にはブロードウェイでミュージカル化されてトニー賞5部門を受賞、2006年3月にはブロードウェイ版の来日公演が行われましたので、ご覧になった方もいらっしゃると思います。
そのロックオペラの最高峰『TOMMY』が、いよいよ日本版として初舞台化。『SHIROH』上演の際には「『TOMMY』のようなロックオペラにしたい。」と語り、「『TOMMY』が日本で上演される際には演出を手がけるのが自分でなければ悔しい」とさえ話すほど、この作品にリスペクトしているいのうえひでのりが、自身初の海外作品挑戦となる今回、どのような『TOMMY』を創りあげるのか。
またシンガーソングライターとして、そしてミュージカル俳優として、力強く、透明感溢れる天性の歌声で観客の心を揺さぶり続けてきた中川晃教が、『SHIROH』に続くいのうえとのタッグで、三重苦に陥り感情を無くしてからも奇跡的な自由を手にするトミーを、どのように演じるのか。 |