●改めて、『エリザベート』誕生の経緯を教えてください
シルヴェスター・リーヴァイ「私のパートナーであるミヒャエル・クンツェが、まず最初に「ルドルフ」という素材を扱ってミュージカルを創ろうと考えておりました。この考えが、他の登場人物のキャラクターをリサーチして深く掘り下げて行くうちに、皇后エリザベートの方がずっと興味深い人物であるという結論に至りまして、その後で私に電話をして「一緒にやらないか」と言われたので、私も「やりましょう」と答えた訳です。」
●『エリザベート』が世界的に成功した理由は何だと思われますか
マヤ・ハクフォート「この『エリザベート』という作品が、なぜこれだけの成功を収めたかというのは、エリザベートという人物が深く関係しているのだと思います。エリザベートは言ってみれば非常に難しいキャラクターの人物であり、非常に夢多き人間で、詩も書きましたし、作家としても非常に活躍をしています。また彼女はとても柔らかい心を持っていた人間であり、その柔らかい心というのは理想主義と結びついていました。そのことによって彼女自身は落胆や苦い経験をする訳ですが、そういった感情をエリザベートとして舞台で持つ事は非常に素晴らしい仕事だと思っています。ルキーニがこのドラマを語り部として進行するというのは、非常に素晴らしいアイデアで、この作品を少し柔らかくしていると思います。そしてトートとの、言わばエロティックな夢というかトートに対する自分の憧れというのが、この作品をまた違うレベルのものにしているのではないかと思いますし、この作品の内容が非常に緻密に出来ていることも、この作品がこれだけの成功をした理由だと思います。この作品が存在している事に対して私は感謝をしたいと思いますし、この作品がその時代と未来を結びつけ、私たちの心も結びつけてくれるもののだと思います。」
マテ・カマラス「この作品の成功というのは、――マヤが色々な事を沢山話してくれましたが、――人間というのは、子供がメルヘンを愛しているという事ではなくて、人間全てがメルヘンを愛していると思います。この作品は本当にパーフェクトな作品だと思いますし、ひとりひとりのキャラクターが本当に色々な形で紹介され、舞台でそれがきちんと説明されています。また私の思うのには、この作品の成功というのは「心が動いている」ことで、その心を私たち出演者自身が感じ、この作品を動かしている事だと思います。この心というのが自分たちがこの作品を上演することに繋がっていると思います。」
マヤ・ハクフォート「私が出演した舞台の中で、これほど多く出演した作品はありません。しかし、私がこの作品で舞台に登場するときは、本当に毎回楽しみ喜んでおります。この音楽は非常に高いレベルのものであり、これを歌うことが自分を別のレベルに高めてくれるということだと思います。」
ルカス・ペルマン「自分自身にとって作品の成功というのは、観た人が人間自身をその作品の中に見る事が出来れば、それは成功だと思います。そしてこの『エリザベート』という作品は、演劇でミュージカルであっても、その中に本当の人間を見つける事が出来る素晴らしい作品であると言えると思います。またこの『エリザベート』という人物像は、言わば一つの狭いコルセットの中に固められたような人物だと思いますけれども、そういう人物がこの作品の中で素晴らしく語られているということが、この作品の成功の秘密だと思います。トートに対してエリザベートが感じている愛の物語、あるいはルドルフとの間における落胆、そしてルキーニを通じて自分の死というものを自分が見つける、そういった事が全てこの作品の中で語られているのが、この作品が成功している理由のだと思います。」
●来日記念コンサートで指揮をされることについてどう考えられていますか
シルヴェスター・リーヴァイ「私が今回の来日記念コンサートで指揮を執るというアイデアは、私たちのパートナーである日本の方から提案がありました。これまで我々の作家チームと観客の皆さんの関係を考えた時に、非常に身近な関係になっていると私は思っていますので、コンサートで私が客演指揮者として参加する事が実現できるならば、これがさらにその関係を強める事になるのではないか、と考えました。
また私にとりまして、彼ら3人とこのコンサートを指揮できるという事をとても名誉に思っております。ただ私は、この事を非常にナーバスに感じておりまして、それも申し上げておきたいと思います。」
ルカス・ベルマン「今、リーヴァイ氏がナーバスになっていると聞いて、我々が舞台でナーバスになるだけではない事を、とても嬉しく思っています(笑)。」
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