1912年4月10日にスコットランドからニューヨークに向けての処女航海に出てから僅か4日後、ニューファンドランド島沖で氷山に激突し、海の底へと消えた豪華客船タイタニック。
人類の歴史において今なお、“史上最悪の海難事故”として人々の記憶に残るこの事件は、これまで度々映画や小説の題材となってきました。近年では1997年に全米公開されたジェームズ・キャメロン監督作品がアカデミー賞で11部門を受賞する大ヒットとなり、日本でも大人気となりましたので、ご覧になられた方も多いと思います。
しかし、そのケタ外れのスケール故に「舞台化はありえない」と考えられていました。
そんな予想を裏切り、ブロードウェイでミュージカル化されたのは、奇しくもその映画と同じ1997年。脚本は『ミズ・今年最高の女性』(1983)でトニー賞に輝くピーター・ストーン、作詞・作曲は『ナイン』(1982)や『グランドホテル』(1989)で絶賛されたモーリー・イェストンが担当。史実に基づくエピソードを細やかに組み立てたストーリーと、オペラを思わせる壮大で格調高い楽曲に彩られえた舞台は高い評価を受け、その年のトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞、脚本賞、作曲賞、編曲賞、装置賞の5部門を受賞する栄誉に輝きました。
そして2007年1月15日、ブロードウェイでの初演から10年を経て、ついに『タイタニック』日本公演が開幕。初日には多くの著名人も観劇に訪れ、開演を前にして、それぞれに期待のコメントを寄せました。
今陽子さん
「演出のグレンさんは、『キャバレー』(2004)の時に演出してくれた方ですし、出演者の皆さんは、ご一緒した知り合いの方ばかりなので楽しみに拝見します。」
前田美波里さん
「ブロードウェイで拝見してから何年も経ってますので、日本で素晴らしい役者さんでこの作品を拝見できることに楽しみにやってきました。ブロードウェイでは、映画を見てすぐ観劇したものですから、とまどいもありましたけれど楽しい作品でした。」
西川貴教さん
「ゲネプロを観ましたが観ごたえのある作品でしたし、キャストもそうですけれど、何か圧倒されるものがありましたし、最後まで、あっという間でした。
実は、松岡さんは僕が大阪でバンドをやっていた時のローディだったので、そういう意味では身近な後輩が舞台に挑戦しているのを見ていて、すがすがしい感じがしました。同じ舞台人として、僕が松岡さんに言う事は何もないです。彼に負けないような舞台を作れたらと思っています。
素晴らしいキャストの皆さんで、舞台装置を含めて観ごたえのある作品になっているので沢山の方に見ていただきたいです。ついでに僕の舞台(ハウ・トゥ・サクシード)も観ていただければ嬉しいです。」
湖月わたるさん
「映画の大ファンでしたので、舞台でどのようになるのかが楽しみなんですけれど、先輩の紫吹淳さんも出演されていますので、それも楽しみですね。先ほど紫吹さんの楽屋に伺いましたら、「女を演じるのは大変よ」と仰って、「(湖月さんに)頑張ってね」と励ましてくれました。」
安良城紅さん
(須藤さんと2人で手を広げて、映画のシーンを真似て)これを期待していたんですけど、違うみたいですね。舞台というナマでドキドキ感を得られるのが楽しみです。」
須藤温子さん
「元々、映画と全く違うと聞いてきたので、とにかく楽しみです。演出家の方が日本人らしさをなるべく出さないように演出されていると伺いましたので、どうなるんだろうというもの楽しみの一つです。」
また初日を控えて最後に行われた舞台稽古の後には、主な出演者が会見を行って、この公演に対する意気込みや、稽古の模様などを語りました。この会見の模様は動画で掲載いたしておりますので、是非こちらもご覧いただいて、その雰囲気の一端を味わっていただければと思います。
事故の遠因となるドラマが船長室を中心に進行する一方、“世界の縮図”とも言える1等から3等までに分かれた客室で描かれる、それぞれの境遇での人間模様。オープニングの出航シーンでキャスト全員が歌い上げる「♪ゴッドスピード・タイタニック」を始めとするスケールの大きい感動的なナンバーの数々は、<タイタニック組曲>とでも言うべき迫力で客席を圧倒します。
2007年の幕開けをダイナミックに飾る『タイタニック』。あなたも蘇った「タイタニック沈没」伝説の目撃者になってみませんか。

左より:藤本徹(テイラー/バンドマン)、浜畑賢吉(ウォーレス・ハートリー/バンドマスター)、矢野太一(ジャック・セイヤー/ジョン・B・セイヤーの息子)、板垣辰治(ブリコックス/バンドマン)
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