今回の公演について、歌劇団の理事長である小林公一氏は「洋楽で日本物を演じるという、宝塚ならではの作品を今回皆様にお目に掛ける事が出来て、梅田芸術劇場のお客様にも宝塚の良さが解って頂けるのではないかと思っています。春野源氏の醸し出す妖しく優しく美しい雰囲気で劇場の在る茶屋町界隈を覆い尽くしてみたいと思っています。」と、宝塚ならではの作品であり、自信作であることをアピール。
また、脚本・演出を手掛ける草野旦氏は「今から7年前の2000年にこれを上演いたしましたが、4月の上演で桜が咲き、源氏の世界にふさわしい季節でした。それが今回もう一度日の目を見ることになり、作者としてこんなに嬉しい事はありません。当時、春野は私が創作した“刻の霊(ときのすだま)”という役を演じてくれて、桜乃は当然、影も形もありません(笑)。壮は新人公演で頭の中将を演じましたが、今回は本役で演ることになります。真飛は当事星組で関係していませんでした。時の流れを感じるところです。」と7年を経ての上演に気持ちも新たな様子で、
「前回は光源氏が須磨に流された後、京の都に帰ってきたところからやりました。今回はもう一つ前、彼の母親である桐壺が亡くなったところからやります。従いまして、4歳の光源氏から始まり、最後に53歳で亡くなるまでをやりますので、人間関係が複雑に絡んでくると思います。ちなみに彼の初恋の人は藤壷で、その面影を追って一生いろんな女性と恋の遍歴を重ねるのですが、藤壺に良く似た紫の上を見つけ、生涯愛する話に纏めようと思っております。前よりももっとミュージカルしたものと理解していただければと思います。」と、新たな書き下ろしに意欲を見せます。
そして出演者の面々も
春野寿美礼「この度、光源氏役を演らせていただきます。沢山の先輩方がこの美しい光源氏を演じてこられまして、その役が今回、私の所にこうして巡って来たというのは、非常に驚きもありますし、素直に嬉しいと言う思いもありますし、挑戦できる事に本当に喜びを感じております。どのように演じようかとか、まだ細かいことは全然自分の中で整理出来ていないのですが、とにかくこの喜びをこれからお稽古して行くという情熱に変えて、頑張っていきたいと思います。そして安らぎを求めて愛し続けた光源氏の姿を大切に描いていきたいと思います。」
桜乃彩音「今回、藤壺の役と、紫の上の役をさせていただきます。「あさきゆめみし」は学生の頃に何度も読み返した、大好きな作品ですので、今夏出演が決まりとても嬉しい気持ちで一杯でございます。紫の上という孤独や嫉妬や独占欲と戦いながらも生涯一人の男性を愛し抜いた一途な想いを表現出来たらと思います。また藤壺の役にも挑戦させていただきますので、一つのお芝居の中で二人の女性をしっかりと演じ分けられますよう精一杯頑張りたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。」
真飛聖「今回私は、前回の公演では春野さんが演じられていた刻の霊をさせていただきます。原作の「源氏物語」には登場しない、宝塚のオリジナルのキャラクターでもありますし、人間ではない役柄ということで、自分自身イメージを膨らませて、日本物の雅な世界の中では多少異質な感じで存在していくと思うので、そこら辺のところを創り上げていきたいと思っております。」
壮一帆「7年前は花組に在籍しておりまして、その時『あさきゆめみし』の公演で源氏の従者・良清という役をさせていただいておりました。そして新人公演では――先ほど草野先生も仰っていた通り、――頭の中将役をさせていただいたのですけれど、今回雪組から花組に戻って参りまして2作目となります『あさきゆめみしII』で、新人公演でさせていただいた頭の中将役を演じるということにあたって、新たに緊張する思いもあり、不思議な縁を感じ、そして大変光栄に思っております。春野さんと親友役ということで、また前回の大劇場公演とは違った新鮮な気持ちで取り組んでいきたいと思います。」
と、それぞれに気合の入る今回の舞台。
2008年に千年紀を迎えるとされている平安王朝絵巻「源氏物語」が、宝塚歌劇ならではのミュージカルとして鮮やかに蘇る宝塚ミュージカル・ロマン『源氏物語 あさきゆめみしII』。
この公演は大阪・茶屋町の梅田芸術劇場メインホールのみでの公演となります。
梅雨空と夏の暑さが交錯する季節ですが、時を越えた涼やかな「あさきゆめ」を見に、お出かけになってはいかがでしょうか。 |