ワンシチュエーションで30分の男女二人芝居、異性を意識した感情の絡んだストーリーという条件の下で、サタケミキオ、蓬莱竜太、三島ゆきという新進気鋭の劇作家3人により書き下ろされた舞台『LOVE 30 〜女と男と物語〜』。
　 昨年11月に渋谷・PARCO劇場で3話オムニバス形式で上演され、30分という限られた時間の中で男女の心の微妙な機微を描いて、高い評価を受けた公演です。

　そして2007年夏、同じ条件により新たな作家、新たなキャストを迎えての第2弾、『LOVE 30 VOL.2 〜女と男と物語〜』。今回の脚本を担当するのは、演劇ユニット グリング主宰・青木豪、THE SHAMPOO HATで作・演出を手掛ける 赤堀雅秋、ONEOR8の主宰・田村孝裕の3人。
　 それぞれに舞台の世界では既に実力が認められ、今後はさらに映像などの世界にも活躍の場を広げていくであろう彼らが、どのような女と男の物語を紡ぎ出すのでしょうか。

　青木豪：作『北向きの女』は分譲中のマンションの一室が舞台。女性に対して売り込みに必死の男ですが、逆につっこまれてしどろもどろになり、ついに「先輩！　降参！」とギブアップ！。この二人、実は不動産会社の先輩と後輩なのですが、いろいろ話が進む内に、いつしか入社時の昔話から、今の生活のことになり、そして・・・

　先輩社員を演じるのは、宝塚歌劇団元花組娘役トップスターで、在団中にはＮＨＫ連続テレビ小説のヒロインも務め、退団後は舞台、テレビ、映画、ＣＭなどで活躍の純名りさ。その後輩には大人計画、阿佐ヶ谷スパイダースといった小劇場から、彩の国シェイクスピアシリーズ、新橋演舞場まで、幅広い舞台で活躍の内田滋。

　赤堀雅秋：作『アルゼンチンにて』の舞台は、高校の同窓会の二次会場だったカラオケボックスの一室。なぜか残っている二人は一時は結婚まで考えた恋人同士でしたが、カメラマン志望の彼の上京の時に彼女は付いて行かなかったのです。そして、それ以来初めて顔を合わせた二人・・・

　女を演じるのは、「相棒」シリーズ（テレビ朝日）や「新選組！」（ＮＨＫ）などテレビ・映画を中心に活躍し、舞台出演は2005年にＰＡＲＣＯ劇場で上演された三谷幸喜作・演出の『十二人の優しい日本人』以来となる鈴木砂羽。男は、大林宣彦監督の映画では常連の顔であり、テレビでも「タイガー＆ドラゴン」「女王の教室」「特急田中3号」などで、幅広い役柄を演じる尾美としのり。

　田村孝裕：作『箪笥の行方』では、引越しの荷造りが殆ど済んだアパートの一部屋。3年間一緒に暮らした男と女は同棲を解消することになり、引越し屋のトラックが来るのを待っているのだが、何故か箪笥に関してはお互いに自分が持って行くと言って譲ろうとしない。その裏には・・・

　もうじき30歳になるという女性を演じるのは、1998年にＮＨＫ連続テレビ小説「やんちゃくれ」のヒロインをオーディションで射止めてデビューし、以後もテレビドラマやＣＭ、そして舞台でも活躍を続けている小西美帆。一方の40歳になる男性を演じるのは、野田秀樹主宰の夢の遊眠社出身で、テレビ・舞台と活躍し、ストレートプレイからミュージカルまでこなす羽場裕一。

　それぞれに男女の心の機微を細やかに描く中にも、人間の心の弱い部分や、ちょっぴりずるい部分が顔を出す少しシニカルな3本の作品を演出するのは、前回も大胆さと細やかさが巧みに入り混じった演出で、男女の心模様を鮮やかに舞台上に浮かび上がらせた宮田慶子。

　そして、このシリーズには欠かせない稲本響のピアノが、登場人物たちの心情を優しく、暖かく、包み込むように支えます。

　今回も　休憩無しで連続上演される3本のストーリーは、言葉だけでは語りつくせない「女と男の物語」を観客の心に伝えてくれるのではないでしょうか。

PARCO presents
『ＬＯＶＥ ３０　☆VOL.2』〜女と男と物語〜
　　 「北向きの女」（作：青木豪）　　　　　純名りさ×内田滋
　　 「アルゼンチンにて」（作：赤堀雅秋）　鈴木砂羽×尾美としのり
　　 「箪笥の行方」（作：田村孝裕）　　　　小西美帆×羽場裕一