自分を「ブスなオバさん」と思っていた平凡な主婦が、歌に出会うことによって変わっていく変身の物語。11・12月の芸術座は、松坂慶子主演、数々のヒット曲と演劇が合体した楽しい舞台『奥様の冒険−わたしバカよね−』。
最後の通し稽古を前に劇場で開かれた記者会見では、原作・脚本・演出を手掛けたなかにし礼さんが「作品の面白さを出し切りたいと思って、全力で取り組んだ。今まで見たことの無い松坂慶子の魅力を120%引き出せた。期待して欲しい。」と力強く宣言。
さらに「自分が今まで書いてきたヒット曲が、この芝居のためにあったのかと思うくらい違和感も無くピッタリ。」と、出来あがりに万全の自信を覗かせます。
なかにし礼さんといえば、これまでに四千曲に及ぶ作詞・訳詞を手掛け、昭和の歌謡史に大きな足跡を残したヒット・メーカー。その氏も昭和の終焉とともに流行歌の世界を離れ、現在は作家としても直木賞を受賞されたほか、多方面で活躍中の才人。
そんななかにし氏に引っ張られるように松坂さんも「本来は引っ込み思案なのですが、なかにし先生には前に押し出されるように、強さ、前向きさを要求されるので、それを演ることで自分にも自信が生まれます」と全幅の信頼を寄せます。
劇中では黒の下着姿で「時には娼婦のように」を熱唱する場面もある、という松坂さん。「ご主人は大丈夫ですか?」と突っ込むレポーターに、なかにしさんは「興味翻意ではなく修行僧が滝に打たれるような試練として観て欲しい。」とコメント。松坂さんも「作品として、一番相応しい衣裳を相談して決めましたから」と笑顔で応えます。
「誰でも日常の姿は幻想・錯覚で、どこかに隠れている自分が居るかも知れない。」と語るなかにし氏。この舞台をご覧になると、あなたも華麗に大変身するキッカケになるかも知れません。
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