「イザナギ、イザナミ」「因幡の白兎」「八俣の大蛇」……幼い頃に誰でも聞いたことのある日本の神話。そこには、大らかで、冒険心に富み、生きる知恵に溢れた、いにしえの日本人の心が散りばめられています。
この日本神話の元になっている「古事記」に題材を取り、日本各地の神社の社をステージにして、女優の浅野温子さんが読み語りをするひとり舞台『浅野温子語り舞台 日本神話への誘い』が、10月4日の伊勢神宮内宮(三重県・伊勢市)を皮切りに全国5ヶ所で上演されることとなり、その製作発表会見が行われました。
今回の公演は、「古事記」の中でも主に神々の物語で構成される前半部分から題材を取り、そこにオリジナルな解釈を加えて脚色した、いわば“浅野温子版神話物語”とでも言うもので、
第一話「イザナギ・イザナミ 〜愛と憎しみの黄泉の国」
第二話「天の岩屋戸にお隠れになったアマテラス 〜ツクヨミの語れる」
第三話「スサノオとオオクニヌシ 〜父が与える最後の試練」
の三篇の演目が予定されています。
記者会見の席で浅野温子さんは「幼い頃に読んだり聞いたりしていた神話や説話が現在では失われていると感じ、その原典である古事記を次の世代に継承する必要がある、という強い思いでこの企画を立ち上げました。「語り」というスタイルを選んだのは、自分から発信して「自分の言葉で自分の物語を語ってみたい」。自分がやってみたいことを一人で出来る、他人を巻き込まないと思ったからですが、ここまで大げさになると思いませんでした。」と、これまでの経緯を語ります。
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この浅野さんの主旨に共感して、「実行委員会」として集まることになったのが日本の神々をまつる神社の関係者・神職の方々。
過去にも、熊本中江村の神楽を始めとする、神楽・神事芸能の発掘・劇場公演を行ったり、平成6年にはミュージカル『スサノオ』を製作、サンシャイン劇場(東京)、中日劇場(名古屋)、南座(京都)で計105回の上演を行い8万5千人の観客を動員した実績のある有志のグループが参集したことで、神社を巡る今回の公演が実現の運びとなりました。
現在、全国には約8万社の神社があるそうですが、「八百万八幡(やおよろずはちまん)全ての神社を回りたい。」と浅野さん。「一応20年を区切りと考えてはいますが、それでは無理なので、宮司さんたちと力を合わせて、何年かかっても必ず全ての神社を回って、ずっと続けていきたい。必ず実現できると強く思っている。」と、自らのライフワークとして語り続ける意気込みを見せます。
「将来的には、語る土地にまつわる話なども含め、ヴァリエーションを増やしていきたいが、舞台装置なども大げさにならないようにして、シンプルに話の面白さを伝えたい。1時間20分くらいでまとめられたらいいな、と思っているが、頑張って良いものにしていきたい。」とプランを語る浅野さん。
「神社は小さい頃に遊んでいた、一番自分の子供の時に親しんだ場所で、そこで演りたいと思った」そうで、神話に縁の舞台を得ての公演に夢は膨らみます。
「日本の神話には面白い話がいっぱいあることを次の世代に伝えたいし、大人の人にも思い出して伝えて欲しい。20年続けた時に生活の会話の中に神話がきちんと存在するように出来たらいいな。」と力を込めて語る浅野さん。
熱い思いの詰まった公演が、今年の秋にその第一歩を踏み出します。
左より:小串和夫(製作副代表・熱田神宮宮司)、浅野温子、田中恆清(ゼネラルプロデューサー・石清水八幡宮宮司)
公演は
伊勢神宮内宮(三重県伊勢市) |
10月 4日(土) 18:30開演 |
出雲大社(島根県大社町) |
10月 7日(火) 18:00開演 |
太皷谷稲荷神社(島根県津和野町) |
10月10日(金) 18:00開演 |
防府天満宮(山口県防府市) |
10月13日(月) 17:30開演 |
赤崎神社楽桟敷(山口県長門市) |
10月15日(水) 18:00開演 |
各公演の詳細につきましては『浅野温子語り舞台実行委員会』(03-3402-0706)までお問合せください。