文豪、W・シェイクスピアの書いたロマンス悲劇『ロミオとジュリエット』。これまでもジーパン・Tシャツといった服装で演じられたり、「ウェストサイド物語」のようにアメリカの人種間の対立に状況を置き換えたミュージカルが創られるなど、この名作には様々なアプローチがなされてきました。
そして今年、ミュージカル『モーツァルト!』で鮮烈なデビューを果たした中川晃教さんという超新星を得て、同作品の演出家でもあった小池修一郎氏が新たに現代の日本に舞台を置き換えて脚色、島健氏が音楽を担当してオリジナルミュージカル『PURE
LOVE』を創りあげました。
相手役となるヒロインの選考は難航し、150人もの面接を行っても決まりませんでしたが、小池氏の知人の紹介でオーディションを受けた19歳の大学生が、その瑞々しい感性で注目され、歌・演技・面接を経て、初舞台ながらの大抜擢が決定。これがデビュー作となる大和田美帆さんです。
今を生きるハイティーンの若者たちがクラブに集う
VJ(ヴィジュアルジョッキー)・純(中川晃教)とタレントの卵・有希(大和田美帆)が出会い、所属事務所同士の対立、ダンサー同士の対立の構図の中に、巻き込まれていく。
共演者には、純の敵役となる榊原京介にNIRO、クラブのオーナーで純の理解者でもある漣に曽我泰久(東京公演)/堀込聰(大阪公演)、さらに伊東弘美、石川禅、tekkan、朝比奈慶、旺なつきら、実力のあるメンバーが揃いました。
最後の舞台稽古を前に開かれた記者会見で、小池氏は「若い二人と舞台を作ってきて、お客様の反応が楽しみです。若さ溢れる舞台を楽しんで欲しい。」とのコメント。初舞台の大和田さんについては「度胸が有って、的確な演技力がある。中川君とのコンビネーションも良い。」と評価します。
その大和田さんは「苦しいくらいドキドキしています。緊張していますが、自分の力が100%出せるように頑張ります。」と初日を前にさすがに落ち着かない様子。それでも「初めての事ばかりで不安になりながら稽古場に行きましたが、中川さんに「『モーツアルト!』では周りに支えられたから、今度は支えてあげたい。」と言っていただいてパワーが沸いてきました。他にも影響を大きく受けています。」と相手役に全面的な信頼を寄せます。
そして、これが2作目のミュージカル出演となる中川さんは「印象の良い劇場で、稽古をしていても気持ちが良かったです。描かれているものがカッコ良く素敵に空間の中で表現されているので、心で感じて欲しい。2作目のプレッシャーは、これまでの過程で小池先生と沢山話をしてきたのでありません。」と、やるべきことはやった、という雰囲気。「自分の中で現代のロミオとジュリエットとしての認識がしっかりしていれば大丈夫」と自信を覗かせます。
音楽家としては台湾でのデビューも決定したという中川さん「日本からアジア、そして世界へというのが僕の大きな目標ですが、スタッフ・関係者の力を得て実現的出来て光栄です。楽しみにしています。」と、舞台に、音楽に全力投球です。
総勢24人の出演者のエネルギッシュなパワーと輝き、そして主演の2人の純粋な愛の強さが劇場の空間いっぱいに広がる、そんな公演となりそうです。