平成12年のデビュー曲「箱根八里の半次郎」がミリオンセラーとなり、一躍人気歌手に。その後もヒット曲を連発し、またNHK朝の連続テレビ小説「まんてん」のレギュラーなど、役者としても活動の幅を広げている氷川きよしさん。
その氷川さんが、伝統ある新宿コマ劇場で初の座長を務める公演、『氷川きよし颯爽公演』が10月1日に幕を開け、場内を埋め尽くした満員の観客から熱い拍手と声援が送られました。
今回の公演は、第一部が、時代劇作家として最も注目を浴びている直木賞作家・山本一力氏の原作による『草笛の音次郎』。呉服屋の手代の頃の雰囲気が抜けない新米の渡世人・音次郎が、親分の名代としての初旅で事件に遭いながらも持ち前の度胸と気風の良さで成長していく姿を明るく楽しいタッチで描くというもの。原作にはない音次郎の祖母を登場させることで、家族の絆を描いた物語ともなっています。
共演は音次郎の母に三浦布美子さん、旅先で知り合う駕籠屋の隠居に江原真二郎さん、さらに正司照枝さん、田口計さんなどのベテラン陣が若い座長を盛り立てます。
そして第二部は「氷川きよしコンサート in 新宿コマ劇場」。デビュー曲から最新の「白雲の城」までのオリジナルナンバーを始め、さまざまなジャンルの曲を持ち前の歌唱力で披露します。また、一部の芝居を題材にした観客とのやりとりや、10月1日に発売された中村玉緒さんとのデュエット曲「ラブリィ」を客席と歌うコーナーなど、盛りだくさんで暖かいステージが繰り広げられます。
終演後に会見した氷川さんは「やはり、昨晩は緊張しました。」と初日を無事に終えたことにホッとした様子。今回のお芝居ではカツラを用いず、地毛で演じることについても「(北野)たけしさんの「座頭市」と同じで、そのままの雰囲気で観て欲しい」と、自然体で演じることを楽しんでいるよう。「お爺さんやお婆さん、両親を大切にすることを感じて欲しい」と真剣な眼差しで語る姿も、幅広い年齢層から支持される理由の一端かもしれません。
これから一ヶ月間に渡る長期公演にも「大丈夫です!」と力強く答えた氷川さん。これからの新宿コマ劇場の歴史に名を刻んでゆく、第一歩の公演と言えそうです。