1930年代のシカゴにあるさびれたホテル――
そこに泊まり合わせた3人の女と、クラブの男性シンガーが各々の部屋で人生のストーリーを歌い上げる。
タイトル曲「ブルース・イン・ザ・ナイト」をはじめ、出演者4人のアンサンブルによるハーモニーを通じて、アメリカの音楽ルーツであるブルース、ジャズ、スタンダード、全27曲が次々と歌い継がれてゆく。
1982年度のトニー賞ベストミュージカルにノミネートされた作品『BLUES IN
THE NIGHT』が10月3日から東京・新宿のシアターアプルを皮切りに、神戸・山口で公演されることとなり、その舞台稽古が公開されました。
5人編成のジャズバンドの生演奏に乗って、登場する人物は4人。
旅のレディ〔レディ・フロム・ザ・ロード〕
=中島 啓江
暖かく、きっぷのいい黒人女性の彼女には、素晴らしいユーモアと、豊かな人生経験がある。彼女はブルースというものに含まれるすべての人生を経験していることからも、彼女の存在そのものがまさにブルースなのだ。
上流の女〔ウーマン・オブ・ザ・ワールド〕
=マリーン
美しく、スタイリッシュな彼女は年齢不肖。他の二人よりも、はるかに豪華な上流の暮らしも知っている。彼女の本質は、いつも上品なベールに隠されているが、時には非常にユーモラスに、官能的に、そして情熱的にそのベールをはがすこともある。
若い娘〔ガール・ウィズ・ア・デイトー〕
=入絵加奈子
エネルギーと意気込みに満ちたこの若い娘は、過去のトラブルをすべて忘れて、この大都会でゼロからのスタートを切ろうとやってきた。彼女の声は、人間味にあふれているが、気分によって魅力的な側面やいやな部分とを見せる。
サロンの男〔マン・イン・ザ・サルーン〕
=ブラザー・トム
かつては魅力的で、ちょっと危険な男だった。彼はそんな自分のことをよく知っていて、これと思った女が舞台の上にいようと、客席にいようと逃すことはないと思っている。そんな彼の欲求不満の理由は、自分は本当は良い歌手で、もっと高級な所で歌う値打ちがあるのに、こんな安ホテルのしみったれたバーで歌っているという現実である。
舞台稽古の前に会見を行った4人の出演者たちは、「音楽が素敵です。」「歌の良さ、音の楽しさを味わって欲しい。」と口を揃え、自らも劇中で歌われる名曲の数々が持つ魅力に感動している様子。
殆ど科白も踊りも無く、歌で綴っていくミュージカルということで、「歌の中にドラマがある。」「生きて行くことがブルースで、お客さまが自分を反映できるそれぞれのブルースが発見出来ます。」と心の歌、魂の叫びであるブルースがもつパワーと普遍性をアピールします。
「楽しくて、泣けて、大笑いも出来ます。一杯飲んで、軽い感じで観に来て一緒に楽しんで欲しい。」と語る出演者たち。
「魂の響きを身体で感じられる大人のためのミュージカル」を味わいに、夜の街へ出てみませんか。