1987年に製作された映画『イーストウィックの魔女たち』
ニューイングランドの田舎町・イーストウィック。女として乾ききってしまったシングル三人組が、突然の落雷と共に現れたダリルと出会い、魔法のように恋に落ち、女としての魅力を取り戻して生まれ変わっていきますが、同時に三人には不思議な力が宿り始めます。そして・・・
ジョン・アップダイク原作のこの作品は、2000年に『レ・ミゼラブル』のプロデューサーとしても名高いキャメロン・マッキントッシュのプロデュースにより、ロンドンでミュージカル版として製作され、その年のオリビエ賞の最優秀新作賞にもノミネート、その後も各国で上演されてきました。
そして、そのミュージカル版『イーストウィックの魔女たち』が今回、日本版として帝国劇場で十二月に上演されることとなり、メインキャストが揃っての製作発表が都内で行われました。
映画でジャック・ニコルスンが演じた謎の大富豪・ダリルを演じるのは、これが東宝ミュージカル初登場となる陣内孝則さん。『リトルショップ・オブ・ホラーズ』(84年)、『Buddy』(97年)などミュージカルの実績もある陣内さんが、下品な言葉を遣いながらも、どこか魔力的な魅力の有る人物に挑みます。
そして三人の女性には、小さな小石に女の裸ばかり描き続ける36歳のバツイチ彫刻家・アレクサンドラ(映画版:シェール)に一路真輝さん。三年前から戻らない夫から「離婚届」が送られてきた38歳の小学校音楽教師・ジェーン(映画版:スーザン・サランドン)には涼風真世さん。仕事場の上司といい仲になっている35歳の地元の新聞記者・スーキー(映画版:ミシェル・ファイファー)には森公美子さんと、いずれも華も実力もあるキャストが揃いました。
会見では陣内さんが「初めて言いますが、帝劇出演は夢でした。詳しくはいずれ自伝に書きます。」と冒頭から語るなど、終始笑いの絶えない楽しいもの。ミュージカル・コメディらしいテンションの高いやりとりに、出席者からも集まった報道陣からも、しばしば爆笑が湧き起こります。
また、今回は一路真輝さん、涼風真世さん、森公美子さんの三人がフライングに挑むのも話題のひとつ。演出の山田和也さんによると「舞台からふわりと浮き上がって、客席の上をたゆたう様に飛ぶ。二階席の目の前までいく」とのこと。一路さん、涼風さんは「高い所は大好き。とっても楽しみです。」と目を輝かせますが、森さんは高い所は苦手ということで「練習方法があったら教えてください。下のお客さまもスリルがあると思いますが・・・」といささか不安の顔つきで、取り敢えずダイエットに励むとか。このロンドン産の最新フライング機構のためには帝劇の天井を補強するなど4000万の費用が掛かるそうで、大掛かりなものとなりそうです。
さらに、舞台装置は日本版独自に創られ、昨年の伊藤熹朔賞を受賞するなど、今もっとも注目されている舞台美術家、松井るみさんの手によるユニークなもの。
「帝劇では見た事の無いものにしたかった」という山田さんの希望で創られたそうですが、こちらも話題を呼ぶのではないでしょうか。