ひょんなことで、ヤマキという男に連れられ、死んでもいないのに“天国の本屋”でアルバイトすることになったサトシ。その本屋では不思議な魅力のあるユイという女のコがレジ係で働いていた。
「お兄ちゃん、これ読んで!」本屋に遊びに来る子供たち。この本屋には、店員が本を朗読するサービスがあったのだ!
2000年12月に発行された119ページの単行本『天国の本屋』
不思議な天国の書店を舞台に、ファンタジックなラブストーリーが展開するこの本は、全国各地の書店の人たちや出版社の営業マンから支持され、新聞、TV、雑誌などで取り上げられるなど反響を呼んでベストセラー作品となり、2001年1月には舞台化されて青山円形劇場で初演。さらに2002年3月には博品館劇場で再演され、そして2003年12月、三度目となる上演が東京・博品館劇場を皮切りに各地で行われることとなり、その製作発表会見が都内で行われました。
舞台版『天国の本屋』は出演者3名とキーボードの生演奏によるファンタジックな物語。今回は、ヘブンズブックサービスのレジ係でこの物語のキーパーソン、瞳の綺麗なユイに元宝塚歌劇団・雪組トップ娘役の紺野まひる。ヘブンズブックサービスのバイトにして店長代理、子供たちに絵本を読んであげる係のサトシには、「NOEL」「HOOPS
MENSOUL」と主演映画の公開が続き、「仮面ライダー龍騎」でブレイクの須賀貴匡。一見いいかげんな店長に見えながらも、二人の運命にしっかり関わってくるヤマキに、ここ数年特に舞台での活躍が目立つルー大柴が二度目の登場、とキャストが揃いました。
会見に臨んだ原作者のお二人は「3度目の上演ですが、年々パワーアップして規模が大きくなってきて嬉しいし、一観客として観るのを楽しみにしています。」「博品館劇場という場所が良いし、今年は地方にも行けるので色々な皆様に観ていただけます。」「舞台化については、一切注文は出していません。小説も泣けるが、舞台はもっと泣けると思います。」とスタッフ・キャストを全面的に信頼している様子。
今回が宝塚歌劇団を卒業後、初めての舞台となる紺野まひるさんは「前の舞台を観た方や本をお読みになった方の期待に恥ずかしくない舞台にしたい。男性と舞台に立つのも初めてなので楽しみです」と明るい笑顔で語ります。
また、須賀貴匡さんは「最初に原作を読んでから、ファンタジーでリアルな世界観が好きで、初演も再演も観ています。今回、この席で3年前からの縁を感じています。」と語り、「新鮮なものを創っていきたい。」と新たな創造へ意欲を見せます。
前回から引き続き出演のルー大柴さんは「前回に続いて3回目もということで、今までのTVのイメージとは変えたいし、より多くの観客に「本当にルーなの?」と言われるような迫力で演じたい。」と抱負を語ります。
この作品では、劇中で本を朗読するシーンがあり、童話、落語など様々な本が読まれますが、演出の中村龍史さんは「朗読をエンターテインメントにする。」と宣言。「一つ一つの作品の朗読に、それぞれ音楽が付きます。おとなしいミュージカルと言っても良いくらい素敵な音楽が入る特別な作品です。」と、ミュージカルも数多く手掛けている中村氏らしいコメント。
「若い方、カップルはもとより、幅広く沢山の方に観ていただきたい作品」と語る出演者の3人。
新しいスタイルの舞台が、新たな感動を呼ぶ公演となりそうです。
また、製作発表の後、都内の書店にて原作者の松久淳さん、田中渉さんと出演者による公演記念サイン会が行われ、こちらも多くのファンで賑わいました。
なお、「天国の本屋」は「うつしいろのゆめ」「恋火」とシリーズ化されて3作品が発売されており、来年には竹内結子さんの主演で映画化されて公開されることも決定しています。