『欲望と言う名の電車』(A Streetcar
Named Desire)。演劇ファン、映画ファンでなくても、作品の題名を聞いたことのある方は多いと思います。
アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズ(1911-83)の書いたこの名作戯曲は、日本でも数多くの上演が行われ、故・杉村春子さんが生涯の代表作の一つとしたのを始めとして、近年では樋口可南子さん、大竹しのぶさんが演じて話題を呼びました。
また、1951年に作られたビビアン・リーとマーロン・ブランドの主演映画でも知られています。
そして今回、2001年に引き続いて主人公の女性・ブランチを演じるのは篠井英介さん。現代劇の女形として活躍する篠井さんですが、実はこの『欲望と言う名の電車』のブランチ役は1992年にZAZOUS
THEATER公演として企画されながら、直前にウィリアムズの遺族から「男優の演じるブランチは認められない」と上演許可が降りず、急遽他の作品に差し替えられたという経緯があります。
それ以来、篠井さんにとって念願の役となったブランチですが、演出の鈴木勝秀さんともどもの熱意が実り、2001年に上演が実現。円形のステージと、全方向から出入りの出来る劇場の機構を活かした演出、そしてパンツルックで軽やかに演じられたブランチは、評判を呼びました。
再演となる2003年は、スタンレー役に前回の加勢大周さんに代わって古田新太さんが参加、前回に引き続いてとなる、ステラ役の久世星佳さん、ミッチ役の田中哲司さんらと共に、更にヴァージョンアップした『欲望と言う名の電車』が期待されます。