シアターフォーラム    
シアターフォーラム 菊田一夫演劇賞・受賞者挨拶 2
一、菊田一夫演劇賞   松平 健 さん
    (『用心棒』の桑畑三十郎の役の演技に対して)
松平健
 本日は選考の先生の皆様、ありがとうございました。私もこの賞と言うものを25年ぶりに頂きまして、――まあ新人賞以来なんですけれども、――まあ、一生懸命地道にやっていれば、こうして見て頂けるんだな、と25年経ってしみじみ心に感じますけれども、今回『用心棒』という芝居で頂いた訳ですけれども、この映画で大変有名な『用心棒』が舞台になって、舞台の脚本として斉藤先生が大変素晴らしい脚本に仕上げて頂きまして、またそれを水谷先生の演出のお力で、大変素晴らしい作品になりました。そういった作品に巡り逢えたことに大変感謝いたしまして、そのスタッフの皆様、そして一緒に出演して下さいました共演者の皆様に心から感謝致します。本日は本当にありがとうございました。

一、菊田一夫演劇賞   高畑 淳子 さん
    (『越路吹雪物語』の岩谷時子の役の演技に対して)
高畑淳子  本日は嬉しい賞を本当にありがとうございました。私には悪い癖が有りまして、こうして沢山の人の前に立ってしまいますと、何かちょっと異常な興奮状態になって、何かずーっと延々と喋ってしまうという悪い癖が有ります。その異常な興奮状態になる前に、この作品を支えてくだいました全ての方に、本当に高い所からではございますが御礼申し上げます。この作品を立ち上げてくださいました新宿コマ、松竹の皆様方、スタッフ、キャストの皆様、そして鬼の演出家、宮田慶子さん、そして劇場に足を運んでくださいましたお客様、本当にありがとうございました。それから何度も稽古場の方に足を運んでくださいました岩谷先生、本当にありがとうございました。初めて先生とお逢いした時に、「なんて華奢で、生きた観音様かいな。」と思いました。「宜しくね。」と先生は握手の手を差し出されました。その手が白魚の様に華奢でいらして、「あ、こちらこそ。」と差し出した自分の手がグローブの様に大きくてですね、「私がこの方を演るのは、これはちょっと、何と言うことだろう。」と、その時思いました。先生も本当にご心配だったと思います。「この目の前のこのガサツな大女が私を演るんかいな。」とご心配なさったんじゃないかと思います。沢山の時間を費やして、越路さんとの想い出話をお話下さいました。私もそのうち図々しくなって、こんなことを聞きました。「あの、先生は越路さんからマネージメント料を貰っていないと言う噂が有るんですけれど本当ですか?」ってお聞きしました。先生はまた観音様の顔でこう仰いました。「そりゃ貰わないわよ。あげることは有っても。」と。「はぁ、こういう人が居るのか。」と思いました。あの、色々不思議な女性にはお逢いしましたけれど、岩谷時子先生ほど不思議な生き物を・・・あ、スミマセン。「生き物」なんて申し上げて・・・私は存じ上げません。その辺りから、この身体で演じることが怖く無くなりまして、本番になりますと・・・すみません、また異常な興奮状態になっておりますが、続けさせて頂きます・・・あの、ピーターさんが越路吹雪さんをなさったんですけれど、ホントにそっくりで、私は袖からそれを見ていると自分が誰なのか、何を見ているのか解からない状態のまま、「あ、これだったんだな。」と思いました。越路さんが唄っているのを見ることが掛け買いの無い、――それは犠牲的精神とか、そういう事では無く――大きな豊かな喜び、それを喜びだったんだな、と。その人を私は演じればいいんだ、身体が大きくてもいいんだ、と。その境地に至った次第です。どうひっくり返っても私は人を支えるのを喜びにするタイプではございません。支えられることが喜びの人間です。ここに居る沢山の方に、これからも支えて頂き、精進を続けたいと思います。今後ともどうぞ、――長くなりました――宜しくお願いいたします。ありがとうございました。

   

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