現在、東京・帝国劇場で3か月に渡るロングラン上演中のミュージカル『エリザベート』。残すところ10日余りとなった公演は既に全席完売という大盛況で、連日大勢の観客が話題の作品を観に劇場に足を運んでいます。
そのヒット・ミュージカル『エリザベート』に出演中の一路真輝さん、内野聖陽さん、山口祐一郎さんの3人が、4月26日の昼公演終了後に三井住友VISAカード主催によるトークショーを行いました。
2000年6月からの初演以来、各地で上演を重ねている『エリザベート』ですが、こうしたトークショーが行われるのは初の試みということで、定員200名を募集したところ5000名を超える応募が殺到。当日は抽選で選ばれた幸運な280人の方々が、その貴重な時間を楽しみました。
トークショーは、熊谷麻衣子さんの司会で進行。最初は台上にしつらえられた、各々個別の椅子とテーブルという、まるで記者会見のようなスタイルに戸惑っていた3人ですが、会場の温かい雰囲気にも助けられて、やりとりは徐々にヒートアップ。
昼公演を終えた直後ということで、いささか疲労の色が見える一路さんと内野さんに対し、「その間、ベッドでゆっくりしていた僕が喋りましょう」と山口さん。時には身振り手振りを交えて熱弁を奮い、時には静かに語りかけるような口調で、会場を大いに盛り上げます。
『エリザベート』との出会いについて、一路さんは「最初にウィーンで観た時には、暗いテーマなのに何故若い観客が盛り上がっているのか解らず、日本での上演は無理かも・・・と小池先生と話したのですが、結局上演が決まって、シーンを足したり、装置・演出を日本版にアレンジしたりして成功したんです。」と、最初にトートを演じた宝塚歌劇団での初演を振り返ります。
内野さんは「取材で「背中が寂しい悪魔が演りたい」と言っていたら、小池先生から話があり、宝塚の公演を観て、自分が求めていた悪魔だと思いオーディションを受けました。」と語り、「初めてのミュージカルで、よくこんな難しいものを選んだわね」と一路さんに言われたと打ち明けます。
「CDを最初に聞いて、ブロードウェイとロンドンの良い所取りだと思った」というのは山口さん。「80〜90年代のフレーズを纏めて、懐かしく演じて心地良いし、時代にマッチした舞台に巡り合った。」と語ります。
また山口さんは、劇中でマントを脱ぐ際に下のシャツまで脱いでしまったハプニングを披露。内野さんも「ドレスの裾を踏むのはしょっちゅう」だし「階段も踏み外しそうになる」と語ると、一路さんが「フランツも私をエスコートするために階段に居るのに良く落ちるんで、私が力で引き戻すんです。」と暴露。さらに「トートが馬車に乗る時も車体が揺れるので、私が上から手を置いているふりをしながら、フランツを掴んで支えてます。腕力は有りますから」と、元男役らしい力強いエピソードを語り、これには両トートも「申し訳ない」と平謝りで、会場は大爆笑の一幕も。
普段は殆ど顔を合わせる事が無い、という内野さんと山口さん。それでもこれまでにはNHKのドラマで兄弟役を演じたこともあるそうで、山口さんが「内野さんにはTVでの演技を教えて貰うなど、色々と助けられました」と話すと、『エリザベート』が初のミュージカル出演となった内野さんは、「山口さんにはワイヤレスマイクでのお芝居を沢山教わりました。」とお返し。そして「山口さんの話はあちこち飛んで長いんだけど、ついつい聞いてしまうんですよね。」と、そのトークの面白さに感心の様子。
最後にはそれぞれ「今日は凄い倍率から当選した強運の方たちからパワーを貰って帰ろうと思っています。ありがとうございました」(一路さん)「トークショーは苦手で、今日が憂鬱でした(笑)。死神担当としてこの作品の暗さが好きなので、これからも妖しく黄泉の世界に誘って行きたい」(内野さん)「こうして皆さんの前でお話できたことが、明日から良い意味で舞台に影響すると思います。魅力的な一時を過ごせて幸せでした。」(山口さん)と挨拶して締めくくりとなりました。