シアターフォーラム    
シアターフォーラム 天才漫才師の壮絶人生、森光子主演『おもろい女』製作発表

会見風景
 1930年〜40年代に掛けて大活躍をした天才漫才師、ミス・ワカナ。
立て板に水のミス・ワカナのしゃべりに対し、相方の玉松一郎(たままつ・いちろう)が大きな図体でアコーディオンを持って突っ立っているという構図がなんとも可笑しかった、と言います。この実在の漫才師を描いた舞台『おもろい女』は、1978年に初演され、翌年の再演では芸術祭大賞(森光子、芦屋雁之助)を受賞、以降も上演が重ねられてきた作品です。

 ミス・ワカナが相方、玉松一郎と出会い、戦争を乗り越えながら、たちまち人気の頂点を極め、やがて若くして命を落とすまでをドラマティックに描いたこの舞台で、森さんは冒頭に安来節を踊り、ジャズを歌い、漫才師となってからは各地の方言を駆使する「しゃべくり漫才」や「泣かせ漫才」を披露します。


 これまで、玉松一郎を演じてきた芦屋雁之助さんが今年4月7日に逝去されたため、今回の公演からは、これまでに森さんとは何度か共演の実績もある段田安則さんが新たに玉松一郎役を演じることになりました。共演は、初演以来2度目の出演となる赤木春恵さん、再演時から出演の米倉斉加年さんを初め、山田まりやさん、西川忠志さんが2人の弟子の漫才コンビとして登場するなど、話題が豊富なキャストとなります。

 実際にミス・ワカナと同じ舞台に一緒に立ったこともあるという森さんは、記者会見で当時の事を「ミス・ワカナという人は、映画に出れば大入り、舞台を演れば超満員、漫才師というよりはスーパースターだと憧れておりました。」と振り返ります。
 「最後になった西宮球場の舞台にも一緒に出ていましたが、その頃の多くの芸人、ミュージシャンなどと同じく彼女は覚せい剤に溺れ、夜は寝るためにナルコポンを注射するという心臓に悪い生活をしていました。ただ、“おもろい”だけではない、面白く哀しい、激しい女の人でした。」と、今でも深い思いが有る様子。

 そして、「雁之助さんの後を段田さんが引き受けてくれて、本当にありがたかったです。漫才があるし、アコーディオンも弾かなくてはならない役を、良く引き受けていただきました。私も新しい亭主を得て、新しい芝居だと思って挑戦します。」と、6年ぶりとなる再演に意欲を新たにします。


 さらに「(作者の小野田勇氏は)優しい先生で、私の役をいつも可愛くて愛される女に書いてくださっていましたが、この作品では、どうしても段々に出世して、薬に溺れて性格が変わっていくところが大事だと思って、直訴をして、「そんなことをしたらお客さんががっかりする。」というのを、――自分も覚せい剤で性格が変わる、大事な事を忘れる、心臓にくる、眠れなくなる、など辛い事が一杯有るのを見聞きしていましたから、――私は作家の先生に注文を出したことは無いのですけれど、この時だけは「それを外したらこの役は何もならないから、どんなに憎まれてもいいから、そう書いてください。」とお願いしました。」と、この役に賭ける強い思いを語った森さん。
 「その部分は今でも大事に演じたいと思っています。」とコメントにも力が入ります。


 今回で上演回数が400回を超え、森光子さんの代表作の一つとも言えるこの作品。波乱万丈、涙と笑いに客席が包まれる、迫力の舞台が秋の芸術座に展開されることでしょう。

 
左より:森光子、段田安則
 
左より:赤木春恵、米倉斉加年
 左左より:山田まりや、西川忠志

 

森光子、段田安則


 なお既報の通り、芸術座は2005年3月末で東宝本社ビル建替のために休館となります。現芸術座最後の公演は、森光子さん主演の名作『放浪記』に決定しています。
 また、新しいビルでの新劇場のお披露目は2007年11月が予定されています。



東宝現代劇9・10月特別公演 『おもろい女』

公演は2004年9月1日(水)〜10月31日(日)  東京・日比谷の芸術座にて
チケットは  東宝テレザーブ(03-3201-7777)  他にて発売中です。

東宝サイ


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