ヘンリー・フォンダ主演の映画「黄昏」の原作・脚本でも著名なアメリカの人気作家、アーネスト・トンプソンが
「黄昏」の後、より深い人生の哀歓を表現した作品『ウェストサイドワルツ』。
1981年にロサンジェルスでのプレミア公演後、ブロードウェイでキャサリン・ヘップバーン主演で上演されたこの作品は、その後日本でも上演され、また1995年にはシャリー・マックレーン、
ライザ・ミネリらの出演で映画化もされました。
生きてきた時代背景の違う3世代の3人の女性。彼女らは皆人生の課題を抱いています。その課題は現代の多くの人たちに共感できるテーマ…、出会い、結婚そして離婚、仕事、挫折、老い、都会の孤独、明日への希望…。
3人の女性と彼女らを見守る2人の男性。それぞれの人生のワルツ、「決して人生は甘くない。だから生きる価値がある!」。
ピアノの旋律に乗せて贈る人生の賛歌、それが『ウェストサイドワルツ』。
3世代の女たちは時にぶつかり、時にいたわりながら、互いの人生を称え合います。
出演は、誠実で誇り高いピアノ教師・マーガレット・メアリーに翻訳劇初挑戦の若尾文子、 美人で情熱的ながらもどこか退廃的な女優志望・ロビン・バードに浅野温子、
愛と好奇心の持ち主・カラ・ヴァーナムに寿ひずるという豪華キャスト。
演出は昨年上演された『黄昏』に引き続いて高瀬久男氏、また、音楽監督に今最も注目される若手ピアニスト稲本響氏を配して、この都会に生きる人間の愛と孤独を詩情豊かに描いた作品に挑みます。
製作発表会見で若尾さんは「翻訳劇は良く読んでいて前から演りたかったのですが、今までチャンスが無くて諦めていたので、生まれて初めてのオファーに、考える前にとにかく演ろうと思って、直ぐに出演を決めました。」と初の翻訳劇へのチャレンジに意欲満々。「引き受けた後、少し不安で憂鬱になってきましたが、頑張って面白くて楽しい良い舞台にしたい。」と語りました。
また、浅野さんは「去年(2003年5月)『黄昏』に出て、また同じ劇場で演らせていただくようになって思い出すのは、『黄昏』の杉浦直樹さんや八千草薫さんの事で、きっと今回も3人で積み重ねて行くことが楽しみです。」と笑顔でコメント。
寿さんは「読めば読むほど難しい本ですが、悩んでいてもしょうがないので突き進みたいです。ヴァイオリンを弾きながら喋る場面もあり、不安ですが頑張って、自分の人生に重ね合わせてこの役を演じる事が出来ればと思います。」と、力が篭ります。
さらにこの公演では、幕間を音楽監督を務める稲本さんが作曲したピアノ曲の演奏で繋いで行く他、劇中で若尾さんがピアノを弾くシーンも登場しますが、その演奏には1800年代後半にカーネギーホールがオープンした時に実際に使用されていたピアノが使われるそうで、その温かな音色も話題の一つとなりそうです。