最初のカーテンコールでも大きな拍手を浴びた別所さん。一度袖に下がって、花束が投げ入れられた舞台に戻ってくると、上から「別所哲也さん　お帰りなさい!!」と書かれた大きなボードが降りてきて、客席、出演者からは更なる拍手と大歓声。この仕掛けはご本人には知らされていなかったようで、別所さんは何度も上を見上げ、そして満場の歓声に応えます。

　客席からの「お帰り！」の声に、「ありがとうございます。帰ってきました。ただいま。」と応えた別所さん。深々と一礼すると満場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれました。

　「すみません、こんなパネルまで作っていただいて(笑)。」と頭を掻いたさん。続けて「ご存じでない方も居ると思います。私、実は12日の同じこの舞台で、「アメリカン・ドリーム」の最後の方で怪我をしまして、――あまり自慢出来る事ではないんですが、――初めて救急車に乗りまして、手術を受けてしばらく休演させて頂いておりました。
　半月版という右側の膝の関節を除去する手術をしまして、入院は3日間ほどで済んだのですが、本当に色々悩みまして、舞台に出られなくなるのは俳優としては本当に辛い、ただ、ここで決断をしないとまた戻って来られないかもしれないということもありましたので、思い切って手術を受けました。今日こうやって舞台に戻って来ることが出来て、本当に嬉しく思っています。ありがとうございます。（一礼。満場拍手）」と、改めてこれまでの経緯を語ります。

　「友人の中には半月版と言うとお皿のことだと思って、（膝を指して）右側のここに有るお皿が無くなった、という人も居たのですが、そうではありません。お皿はあります。（場内笑）それに役者仲間や、それからプロのスポーツ選手の中にもたくさん同じような経験をした人が居ると聞いています。（出演者を指し）この中にも同じような辛い目にあったことが有る人が居るかもしれません。僕もこれから俳優として一生懸命頑張りますし、短い3日間という入院でしたが、入院してみて「ああ、舞台に立つのはやっぱりいいな、舞台が恋しいな」と毎日のように思っていまして・・・・・、感無量です。どうもありがとうございました。（一礼。満場拍手）」と、しばし言葉に詰まる場面も。

　「まだ、「ミス・サイゴン」は続きます。僕は10月の終わりまで務めさせて頂きます。11月の終わりまでこの熱い舞台は続きますので、ぜひ皆様の熱いご声援で僕達を育てて頂けたらなと思っております。僕達も色々な感動を皆様に与えられたらなあと思っております。今日は本当にありがとうございました。」と挨拶をして、約半月ぶりとなった舞台を締めくくり、その後も4回に渡るカーテンコールに笑顔で応えていました。

　その後に行われた会見で、今日の舞台について聞かれ「慣れているはずで稽古もしたのですが、怪我をした場面に近づくにつれてその時のことが思い出されてしまって、思いの他緊張しました。」と答える別所さん。

　膝はトレーナーにテーピングをして貰っているそうで、終演後にはアイシングをしているとのこと。「今は痛みは無いし、内視鏡手術で1時間ちょっとだったので、体力も大丈夫でした。でも、足の筋肉が3日で落ちてしまい、翌日から松婆杖で歩いたり、3〜4日後から簡単な仕事はしていましたが、舞台の復帰は今日まで万全を期していました。」と、この日が待ち遠しかった様子です。

　楽屋では共演者から「お帰りなさい」と迎えられたそうで、「松さんからは「いざとなったら私に掴まって」と言われて頼もしいと思いました。初めての経験なので、休むのは動揺しましたが、共演者、スタッフに支えて貰って、終わった瞬間、拍手と仲間の声でウルッと来ました。特にこういうロングランの作品では御客様の拍手に育てて貰っていますね。」と、改めて舞台に立つ喜びを噛み締める様に語ります。

　「沢山の方からお見舞いの言葉やメールを頂き感謝しております。多くの方が応援してくれているんだというのを改めて今回のことで実感したと同時に、凄く舞台が好きなんだな、ということも改めて感じる事が出来、これを一つの機会にしてこれからも頑張りたいと思います。これからも『ミス・サイゴン』を応援して下さい。」と、最後にはファンに力強くメッセージを送り、今後の更なる挑戦を誓っていました。

このカーテンコールと会見の模様は、動画でもご覧いただけます。どうぞそちらもお楽しみください。