シアターフォーラム    
シアターフォーラム 森光子主演『おもろい女』上演400回記念に豪華ゲスト 後編 
 ここで、特別ゲストの登場。来年、NHKの80周年記念番組として放映されるブラジルの移民を描いたドラマ「ハルとナツ」。主演の高倉ハルの現代パートを森光子さんが演じられますが、過去の成人部分を演じるのは米倉涼子さん。その米倉さんが花束を持ってお祝いに駆けつけました。
「森さん、本当に400回記念おめでとうございます。思えば53年からということは、私が3つの頃からこの『おもろい女』を演ってらっしゃるということなんですよね。私、初めて20日の日に『おもろい女』観させていただきました。これからもお元気な姿で500回、600回と演っていただきたいな、と思っております。私は森さんとはご縁がございまして、先ほどもご紹介がございましたように、来年の秋に放送されるNHKの放送80周年記念ドラマの「ハルとナツ」で森さんの若き時代の役を演じさせていただきます。ということは同一人物という事なんですけれども(笑)、凄くプレッシャーなんですね。ただ、森さんファンの私としては、とても幸運だなあと、しみじみ思っております。脚本は橋田壽賀子先生です。ブラジル移民のお話で、激動の時代を一生懸命生きているというハルと妹のナツという生き別れになった姉妹の役を演じさせていただきます。こちらのほうも是非是非ごらんになってください。とにもかくにも400回記念、森さんおめでとうございます。」

 続いて、特別ゲストの2人目、2005年3月で建て替えとなる芸術座の棹尾を飾る『放浪紀』で、森さん演じる林芙美子の生涯の友、日夏京子を演じる池内淳子さん。
「森さん、400回本当におめでとうございます。そこのお席で拝見していたのですけれども、私が演っているみたいで胸がいっぱいになりました。1700回の『放浪紀』は名古屋で拝見して、400回をここで拝見して、ご縁があってお声をかけていただき、来年、こちらで初めて森さんとご一緒させていただくことになりまして、もう、今から胸がドキドキしております。この『おもろい女』というのは、私は前から拝見したくて、拝見したくて、森さんに「早く舞台に掛けてください、芸術座にかけてください。」ってお願いしていたのがやっと実現しまして、拝見するのはこれで4回目でしょうか。本当に今日は大人のお芝居を堪能させていただきました。良いお芝居を拝見いたしました。上等なお芝居を拝見いたしました。今、胸がいっぱいでございます。これからも森さんにはさっき米倉さんが仰ったように何回も何回も上演していただき、お元気で居ていただいて。そしてまた胸を拝借したいと思います。本当におめでとうございました。」


 ここで突然、森さんにも知らされていなかったというビックゲストの登場。森さんの節目には必ず駆けつけるという東山紀之さんが、TVの生放送を終えて登場します。
「こんにちは。森さんの400回という事は凄い記録だと思います。『放浪紀』で1731回という、とてつもない記録を打ち立てた上に、また『おもろい女』でこうして400回を迎えるというのは、何と言う凄い人間力なんだろうと改めて思います。今回森さんは、おもろい女で、私は噂の男であります(一同爆笑)。昭和53年初演という事なんですけれども、世の中が凄く変わっても、森さんのお芝居のこの空間だけはずっと変わらない、何か真実の場所のような気がします。また、その真実をずっと僕は観続けていきたいなと思っていますし、舞台をやるものにとってはこの記録はイチロー君より凄いと私は思っております。ずっとずっと続けていって欲しいと思います。」

 そして東山さんから、さらに嬉しいゲストがお二人続けて紹介されます。
東山「米倉さんもいらっしゃっていますが、今日は「ハルとナツ」の森さんの孫に当たる役をいただきました今井翼も来ておりますので、ご紹介したいと思います。」
今井「孫役を演らせていただきます今井翼です。森さん、おめでとうございます。僕が生まれる前から有るこの作品の400回記念のお祝いに参加出来ることを僕も幸せで嬉しく思います。これからも森さんのエネルギーを分けてください。本当におめでとうございます。」
東山「そしてもう一人、自分では森さんの養子だと言っている、こんど義経を演ります滝沢も来ております。」
滝沢「森さんの息子です。滝沢です。森さん、本当におめでとうございます。森さんは今まで数々の数字の更新をされてきまして、僕ら若者も負けないように、森さんを見習って頑張っていかなければと、毎回毎回思い知らされています。僕は来年「義経」の放送がありますけれども、森さんの応援をしながら、僕のこともちょっと応援して欲しいな、と思いますので、宜しくお願いします。
 きょうはちょっとプレゼントを持ってきました。僕と翼からは森さんが毎日170回のスクワットをやられているということなので、ジャージを。」
東山「私からはスニーカーなんですが、お金を出したのは全部僕です(会場笑)。ありがとうございました。」

米倉涼子
米倉涼子


池内淳子
池内淳子








挨拶をする森光子

 多くのゲストを迎えて、会場も大いに沸いた特別カーテンコールも終わりに近づき、最後に森光子さんがご挨拶に立ちます。
「ありがとうございます。40回だと思ったら400回だったんですね(笑)。こうやって回を重ねていきますと、何が一番大事なのか、いつも自分で考えております。私達の仕事は皆様にご覧いただかなければならない仕事ですので、今日も昨日もおとといも死んでからはお客様のことを考えておりました。嵐の日も地震の日も、いらしてくださるお客様、私達の命のような方々です。こんなに幸せな日、憧れの方ばかり、しかし、米倉涼子さんと私の身長の差は何なんでしょうか(笑)。でも皆さん優しくて困ってしまいます。
 ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ワカナさんとは映画を3本、舞台を2本ご一緒したことがございます。とても私よりも細くて、私よりも・・・細やかな、もっと私よりもずっとずっと他人様の事を考えてくださる方でした。で、私にはいつも「森光っちゃんが居れば100人の良いお客様が居るのと同じだわ」って大阪弁で仰ってました。私が良いお客様というのは、とても敏感に反応して、笑って、拍手して、そういうことなんじゃないかと思いますが、いつも西のほうの生まれですのに、着物の袂の中にクサヤの干物を持ってらしたんです(会場笑)。どういうわけなんでしょうか? お好きなんですね。それをしょっちゅう映画の撮影の合間に袂から出して、紙に包んだクサヤを食べてらしたんです。「森光っちゃん、食べる?」「いいえ、結構です(笑)」言ったんですけれど。
 あの方が36歳で亡くなるその日、私も西宮球場へご一緒しました。京都からハイヤーでご一緒に行ったんですけれど、乗って直ぐ「森光っちゃん、これ持ってて」って渡されたのが白いハンカチに包んだヒロポンだったんですね。今でも私はそのハンカチの包みの大きさなんかをちゃんと覚えております。重さとかそういうのも覚えていて、あれを渡さなければ、まだお元気だったのかなあ、なんて思っておりますけれども、何か尽きない糸がずっと繋がっているような気がします。そのワカナさんのお芝居をこんなに沢山のお客様に長くご覧いただけるようになったのは皆さんのお陰です。そして、後ろの皆さんは戦友のようなもので、いつも一緒に少しでもお芝居を良くしようと皆で努力しあっている仲間です。今回は芦屋雁之助さんがお亡くなりになってどうしようかと思っていた時に、段田さんが交渉を受けて直ぐ即答してくださって、もう絶対断られると思っていた私は欣喜雀躍しましたけれど、皆さんご覧の通り、本当に打てば響く太鼓のように名演技です。漫才なんて普通直ぐには出来ないんですけれど、びっくりしてしまうほどの反応を示してくださいました。アコーディオンも稽古なさって、凄く素敵な相棒が出来たと喜んでおります。ありがとうございました。
 もうあと何日もありません。寂しい気持ち、そしてまた先へ向かっての気持ち、いろいろございます。「ハルとナツ」では私が現在のハルなんですけれども、若い時(米倉涼子)はあんなに綺麗で素敵(笑)、本当に美しい方でした。池内さんとは来年3月にここでご一緒できる訳です。こんなに幸せなことばっかりでバチが当たりそうですけれど、とにかく私は400回死んで来たんですから、その分また元気をいただけて、そしてその元気の一部を皆様にお返しして、皆様にも元気でいつまでもいらしていただけるようにお願いします。
 東山さんはいつも来てくださいますよね。初日とか、もう約20年ですか・・・20年私は追っかけをやっております。今井翼さんはもちろんのこと、滝沢さんはテレビにお出になった最初が、私の養子になる役でございました。その養子を里親システムで私はいただいて帰るんですけれど、そこの所長が赤木さんでございました(会場笑)。こんな糸がいっぱい絡んで、こんな素敵な皆さんの前に居る訳です。今井さんは私のディナーショー・・・私が生まれて初めてディナーショーをやりました時に、13歳で出てくださって、もう勿体無い話ですけれど、そんなご縁が一杯あります。
 そして今日は客席に、「♪きっと君は来ない〜」という名曲をお作りになって歌ってらしゃいます山下達郎さま、そして奥様の竹内まりやさん。もうこの400回の日はいっぺんに幸せがまとめて来た様な気がします。
 本当にこういう交友関係を・・・「こういう、こうゆう・・・」だんだん漫才になってきましたね(笑)。一生懸命稽古した漫才も、大分何気なく演れそうですけれど、でも今日は一つ失敗をいたしました。私は序幕で“サカサクラゲ”と言ってしまいました。本当は“ヒョウタンナマズ”と言う(会場爆笑)・・・。しっかりしていそうでしょ、私。しょっちゅうこういう事をやっているんですよ。だから長生きできるのかな。
 これからもどうぞ小さな失敗をお許しいただいて、またこの芸術座、・・・芸術座は2年半の工事のあと再開する予定でございます。ですから2007年でしょうか、その前に『放浪紀』で来年立ちます。愛しい私のゆりかご。ここでまたお目にかかれますように祈っております。長いことお喋りして、本当に恥ずかしいんですけれど、皆様のご厚意に溢れたこの400回のカーテンコールを締めさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。」


深々と頭を下げた森光子さん。
満場の観客の惜しみない拍手が鳴り止まない中、音楽と共に幕が降りて、日本の演劇史上にまた新たな金字塔を打ち立てた『おもろい女』400回記念特別カーテンコールは終了しました。

東宝現代劇9・10月特別公演
  『おもろい女』

公演は2004年9月1日(水)〜10月31日(日)
 (既に終了)
東京・日比谷の芸術座にて


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