これまでに“翻案をしない本格ミステリーの上演”として、『そして誰もいなくなった』（1999年・2000年）、『蜘蛛の巣』（2001年）、『検察側の証人』（2002年）とアガサ・クリスティーの作品を取り上げ、観客の支持を得てきたポイント東京。

　そのプロデュース公演の第4弾として、2004年11月18日より、東京・銀座の“ル テアトル銀座”で『ナイル殺人事件（Death on the Nile）』の上演が行われています。

　この作品は数多いクリスティー作品の中でも、人気投票で常に上位に挙げられている代表作の一つ。ナイル川を航行する観光船の中で繰り広げられる密室ミステリーで、小説として発表された後、アガサ自身の手によって舞台脚本として書き直され、1946年にロンドンで上演されました。

　この作品が世界的に有名となったのは1978年、ジョン・ギラーミン監督により英国で製作された同名の映画によるもので、ミア・フォロー、デイヴィッド・ニーブン、オリビア・ハッセー、ジョージ・ケネディといったそうそうたる顔ぶれの出演者に加え、エジプトの美しい映像も魅力となり、今でも根強いファンの人気を保っている作品です。

　今回の上演では舞台脚本としてアガサが残したものが使われており、ストーリー中には探偵エルキュール・ポアロが登場しないなど、小説とは違った展開で、既に映画をご覧になった方や、小説を読まれた方でも楽しめる仕上がりとなっています。

　出演は、この舞台が30年ぶりの翻訳劇出演となる北大路欣也さん、ベテランの淡路恵子さん、舞台・ＴＶと幅広い活躍の岩崎良美さん、宝塚歌劇団出身の森ほさちさん、ＴＶ番組仮面ライダーで親子共に夢中にさせた友井雄亮さんなど、豪華で多彩な顔ぶれ。

　今回の舞台に向けて北大路さんは「『ナイル殺人事件』に接して、哀しみを持ちながら、哀れみを持ちながら、希望を持ちながら、たゆまず流れるナイルを背景にしてロータス号の船旅をしています。
そういう旅を皆様と共に共有できたらなぁと思っています。」とコメント。

　また淡路さんは「ミステリアスなアガサ・クリスティーの世界へどうぞ皆様お出かけ下さい。」、岩崎さんは「久しぶりのストレートプレイです！！　今まで会ったことのない新しい私に出会えると自分自身ワクワクしています。」とそれぞれ語り、この名作に挑む意気込みをみせていました。