シアターフォーラム    
シアターフォーラム 2005年5月21日OPEN!“吉祥寺シアター”竣工・ラインナップ発表

 東京駅を始発に新宿から中野・高円寺・阿佐ヶ谷を通って西に伸びるJR中央線、渋谷から明大前・下北沢など若者の多い街を結ぶ京王井の頭線。その2つの路線が交わる街で、カルチャー都市としても知名度の高い吉祥寺駅から徒歩5分ほどの場所に、2005年5月、新しく現代演劇・ダンスを中心とする舞台芸術のための劇場施設“吉祥寺シアター”がオープンすることとなり、その竣工とオープニングステージ(柿落とし公演)ラインナップの発表が2月9日に行われました。


 冒頭、挨拶に立った土屋正忠武蔵野市長は「武蔵野市は23区と市部の接点に位置し、生活型の核都市としてスポーツ・文化にも力を入れてきました。吉祥寺は武蔵野市の表玄関とも言える駅であり、“吉祥寺シアター”は若い人の登竜門、そして一流の人たちの密度の濃い実践の場として利用して頂きたいし、専門劇場としてしっかりとしたプログラムを組んで行きたい。」と、新たな文化の拠点のスタートに力が入ります。


 この小劇場を作るにあたって、世田谷パブリックシアターや、俳優座劇場など各劇場の関係者を集めて討論したという関係者。芝居とダンスの劇場として、最大客席数は239名。内部は高さ9m、13m×16mの直方体のブラックボックス型で、ステージと客席は90cm×180cmのユニットで構成されるため、その形状や高さ、切り穴の設定などが自由に出来、また2層のバルコニー、キャットウォークなどを備えます。壁は竹炭の塗料で黒く塗られ、吸音性と共に空気清浄効果もあるとのことで、「ベニサンピットとシアタートラムを足したような施設」と胸を張ります。

 また運営面でも、休館日を月に1日とし、利用日数に制限を設けないために一度の申込で最大2ヶ月までの利用が可能。また5日以上の利用には料金の割引が適用されるなど、これまでの公共施設とは一味違った配慮がなされているとのこと。


 注目のオープニングは、5月21日(土)に開館記念式典が関係者・招待者を集めて行われ、舞台開き委嘱作品として、女性2人によるダンスユニット「ほうほう堂」(新鋪美佳・福原麻里)による新作が披露されます。そしてその後、6月10日よりオープニングシリーズとして4本の作品が企画されているという事ですが、この日はそのうち3本の内容が発表されました。

 オープニングステージは、吉祥寺に何らかの縁の在る方、吉祥寺シアターのために新しいモノを創ってくれる方にお願いしたということで、その第一弾となる『カラフト伯父さん』は、新宿梁山泊時代、“吉祥寺シアター”から100mくらい離れた映画館で稽古をしていたという鄭義信さんの作・演出。

 この作品に出演する俳優の岡田義徳さんは「初めて新しい劇場を使えるというのは凄く光栄なことで、それと同時に凄くプレッシャーも感じますし、皆さんのお力添えが凄く必要になってくると思います。僕は役者ですので作品を通して皆さんに劇場の良さと、その空気の良さというものを伝えて行くことしか出来ませんが、だからこそこの一回目の公演『カラフト伯父さん』に関しましては、物凄く力を入れて、いい作品に仕上げていきたいな、と思っています。それとやっぱり、僕くらいの年代の方が、劇場に行ったりすることが結構減ってきていると思うので、その若い人たちも気軽に入ってこれるような劇場になっていけばと思い、作品を創って生きたいと思います。物凄く良い作品にしたいと思いますので、皆さん宜しくお願いします。」と、その意気込みを語ります。

 また同じく『カラフト叔父さん』に出演する女優の富樫真さんは「岡田さんが喋っていただいたことと殆ど同じ事を私も思っております。大変光栄なことで、芝居を本当に精一杯演るしかないと思っています。多くの方に芝居というものを本当に身近に感じてもらえて「明日芝居でも観に行こうか」って日常の会話でも言ってもらえるように、演劇をもっともっと多くの人に広めて行きたいと思っております。頑張ります。」と挨拶。
 富樫さんは、最初の演劇養成所時代の初舞台が、武蔵野市に在る芸能劇場での『楽屋』(清水邦夫・作)だったというエピソードを明かし、「吉祥寺にはバスか自転車でショッピングに来ますが、演劇仲間が多く好み、住んでいる良い町だと思います」とその印象をコメント。

また、第3弾公演『3年2組』(仮題) の構成・演出を担当する振付家の矢内原美邦さんは「吉祥寺と言えばライブハウス=RCサクセションの歌のイメージ。ロックンロールな町だと思っていました。」と言うことで、今回の舞台については「丁度、“身体と言葉”について深く考えるようになり、この吉祥寺シアターを使って新しいモノを創っていこうという姿勢です。」と新たな空間から産まれるイメージで、「身体」と「言葉」を結びつける「7つのキーワード」を基に「身体」と「言葉」が自由に空間を行き来する作品を構成すると語りました。


 「個人の個性でやるのではなく、自由な雰囲気を創っていきたい、ということから芸術監督は置かずに、街の流動的な要素、ごった煮的な味を出したい。」と語る関係者。
 公共ホールということで、貸館として広く門戸を開くと共に、ワークショップやセミナーなどを含め、自主事業も徐々に企画して行き、市民との交流の場にしたいとの事。

 1980年代、90年代に劇場として、大人計画、燐光群などを含め数多く利用されていたバウスシアターが、90年代後半から映画館となって途切れてしまった吉祥寺の劇場文化。
 近年、公共施設・ホールにおいて、演劇・舞台芸術に対するさまざまなアプローチを試みる自治体が増えてきましたが、この武蔵野市の“吉祥寺シアター”は、今後果たしてどのような<方針>で運営されていくのか。
 その使い勝手と共に、関係者の注目が集まるところとなりそうです。


土屋正忠・武蔵野市長


劇場外観

劇場内観

劇場模型


ほうほう堂


左より:岡田義徳、富樫真、矢内原美邦
トム・プロジェクト プロデュース
 『カラフト伯父さん』
MIKUNI YANAIHARA project 第一弾!
 『3年2組』(仮題)


KERA・MAP #004
 
『ヤング・マーブル・ジャイアンツ』(仮題)
  作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

吉祥寺シアター
「オープニングステージ」

トム・プロジェクト プロデュース
 『カラフト伯父さん』
  作・演出:鄭 義信(チョン ウイシン)
    出演:岡田義徳、富樫 真、ベンガル

  日程 2005年6月10日(金)〜6月19日(日)
  料金 4,000円〜4,500円(予定)
  前売 2005年4月上旬 開始予定


KERA・MAP #004
 『ヤング・マーブル・ジャイアンツ』(仮題)
  作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
    出演:フルキャストオーディション

  日程 2005年6月25日(土)〜7月3日(日)
  料金 2,000円〜2,500円(予定)
  前売 2005年4月下旬 開始予定

会見風景
左より: 佐藤尚巳(設計者)、福田重雄((財)武蔵野文化事業団)、土屋正忠(武蔵野市長)、岡田義徳、富樫真、矢内原美邦

MIKUNI YANAIHARA project 第一弾!
 『3年2組』(仮題)
  構成・演出:矢内原 美邦   映像:高橋啓祐   音楽:スカンク
     出演:矢沢誠、関寛之、山本圭祐、三坂知絵子、稲毛礼子、他

  日程 2005年7月15日(金)〜7月17日(日)
  料金 3,500円(予定)
  前売 2005年5月中旬 開始予定


武蔵野市サイト  
武蔵野文化事業団サイト  


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