1999年に舞台『ボーイズ・タイム』で本格デビューを果たし、その時の演出家である宮本亜門氏から「どんなダンスでもこなしてしまう、恐るべき15歳」と言われた森山未來さん。
その後も『ママ・ラヴズ・マンボ』(2000・2002)『こくまろな女達』(2001)『ライアー・ガール』(2002)などミュージカルを中心に活躍してきましたが、2003年のTVドラマ「ウォーター・ボーイズ」で一躍注目を浴び、2004年の大ヒット映画「世界の中心で、愛をさけぶ」のサク役では第47回ブルーリボン賞新人賞に輝いて、人気若手俳優としての地位を確実なものにしています。
その森山未來さんがミュージカル初主演を務める『BATBOY
THE MUSICAL』(バット・ボーイ ザ・ミュージカル)が2月23日に東京・北千住のシアター1010で初日の幕を開けましたが、その初日に先立って、当日の昼間に公開ゲネプロと記者会見が同劇場で行われました。
この『BATBOY THE MUSICAL』は2001年にオフ・ブロードウェイでスタートし、2004年秋からはロンドンでも上演された作品で、今回が日本での初演となります。
この舞台がヒットしたのは、まず第一にその奇想天外なストーリー。主人公は洞窟で発見されたこうもり少年! そのルックスも行動も全てが意表をついたもの。
また音楽面でもにロックをベースにポップス、ゴスペル、ラップ、カントリー・・・と幅広いジャンルの音楽を網羅。さらに奇抜なキャラクターと設定でありながら、実は奥深いメッセージ性を併せ持っている点も人々の心を捕らえる要因となりました。
そんな舞台の最終稽古を前に記者会見に臨んだのは、森山未來さんの他、バットボーイを溺愛する獣医の妻を演じる杜けあきさん、その夫の獣医役の福井貴一さん、二人の娘でバットボーイと恋に落ちる少女役のシューさんの4人。
初日を前に「昨日の夜は普通に御飯を食べて早めに寝ました。今日も朝御飯をしっかり食べて家でのんびり過ごしていて、特に何をしたりジンクスはないです。」と自然体の森山さんはバットボーイのメークについても「最初から歯を付けていたので、この歯とか耳がないと演りにくいと言うところまで来ていて、逆に無いと違和感を感じるくらい。」とすっかりこの役柄に馴染んでいる様子。
そして特徴的なヘアスタイルについても「台本を貰った時点で、最初にこういう髪型にしたいと思ったんです。オフ・ブロードウェイでは坊主だったんですけれど、それもどうかなと思って、自分で考えてこういう髪型にしました。」と言う事で、「今回の役柄と出会えて良かったと思っているので、楽しんで演れたらいいと思っています。」と、ちょっと特殊な設定の役どころにも自信を覗かせます。
そんな森山さんと、バットボーイを迎える一家を演じる三人は、報道陣からの質問に冗談を交わして笑いながら答えるなど和気藹々。「稽古場でも毎日笑ったり怒ったり泣いたりしていて、面白い事が沢山ありすぎて今日になってしまいました。」と杜さんが話せば、「早くお客さんの前で演りたいな。」と福井さんも出来映えには十分の手応えを感じているよう。
「この舞台に立つ一人としてのプレッシャーはありますが、スタッフ、キャスト皆で作っている感じがあるので、初主演として一人でプレッシャーを感じる意識は無いですし、そう言う部分では恵まれています。皆さんに支えてもらって、演りたい放題に演らせて貰ってます。」と森山さん。
「脚本にはシリアスな要素を感じるのですが、それをシリアスに演るのではなく、あくまでライトに創っていく感じがありますので、凄くヒューマン的なストーリーをガンと受け止めて、という風に見てもらうよりも、ひとつのショー的なものとして楽しんで見て貰えたら良いな、と思います。」と、エンターテイナーとしての自覚を覗かせます。
コウモリ少年を演じると言う事で「コウモリの形的なものから入ったり、鳴き声もネコとか聞いたり見たりしながら創りました。今回はダンスシーンは殆ど無いですが、無いからどうという意識はないですね。」と得意のダンスは今回は見られないようですが、「飛んでいるような動きなので、跳躍力のない人には出来ないです。ダンスが上手くないと。」(杜さん)「バットボーイの未來クンは絶対未來クンにしか出来ない、本当に動物になっているんです。」と共演者もその動きには太鼓判を押します。
会見の最後にはそれぞれが
「バットボーイ役の森山未來です。このミュージカルは、いわゆる表面的な音楽だったりだとか、見た目だったりだとか、そう言う部分でも凄く楽しめる作品でも有るし、内面的な部分でも、お話としても凄く筋の通ったしっかりした作品なので、どう同言う風に観て貰っても、どういう切り口で観て貰っても凄く楽しめる作品だと思うので、良ければ皆さん観に来てください。」
「メレディス役の杜けあきです。本当にブロードウェイに負けない日本人のエキスがふんだんに盛りこまれた素晴らしい作品に出来上がった気がします。老若男女問わず皆さんに楽しんでいただけると思いますので、是非いらしてください」
「パーカーを演ります福井です。未來が全部言ってしまったので・・・、お客さんと一緒にこのミュージカルを創っていきたいと思いますので、皆さんのお越しをお待ちしています。」
「シェリー役のシューです。このバットボーイを本当に沢山の方に観ていただいて、今まで感じ取れなかった心の中を発見してもらいたいな、という物語なので、是非皆さん、家族みんなで来て貰っても良いと思います。待ってます。」
と呼びかけのメッセージを送って締め括り、舞台稽古へと向かって行きました。
主演の4人はもちろん、アンサンブルにも歌・演技ともに実力を家ね揃えた豪華メンバーを揃えて、レベルの高い舞台に仕上がったこの『BATBOY
THE MUSICAL』。
洞窟のコウモリの中で生まれ育った生き物が、一家族に迎えられて人間としての知識、素養を身につけて行く中で、自分の中で人間として居られない部分との葛藤に悩み、そして・・・。
これは楽しみながらも、最後には人々の心に問題を提起する、そんな舞台となりそうです。